医療

薬剤師のキャリア形成支援~不足地域にプログラム活用 厚生労働科学研究班

薬+読 編集部からのコメント

薬剤師が不足する地域での人材確保と能力開発に向けたキャリア形成プログラムが、厚生労働科学研究班によってまとめられました。地域医療介護総合確保基金の貸与を受けた薬剤師や、地域枠を卒業した薬剤師などが対象です。修学資金の貸与期間の1.5倍以上(目安として9年程度)を基本に、原則として都道府県内で勤務することとし、大学・中核病院と薬剤師不足の医療機関・薬局をローテーションします。

薬剤師が不足している地域の薬剤師の確保と能力開発に向け、厚生労働科学研究「地域における効果的な薬剤師確保の取り組みに関する調査研究」(研究代表者:帝京大学薬学部安原眞人特任教授=写真㊧)の研究班は、地域医療介護総合確保基金の貸与を受けたり、地域枠を卒業した薬剤師などを対象としたキャリア形成プログラムをまとめた。原則として都道府県内で勤務することとし、大学・中核病院と薬剤師不足の医療機関・薬局をローテーションする。対象期間は修学資金の貸与期間の1.5倍以上(目安として9年程度)を基本に、薬剤師確保を特に図るべき区域での就業期間はプログラム期間の半分以上とするよう提案した。

同プログラムは、昭和大学薬学部の臨床研修薬剤師制度、地域偏在に対する石川県の取り組み状況を参考に、研究班がまとめたもの。同基金を活用した修学資金の貸与を受けたり、地域枠を卒業した薬剤師などが対象で、来年度から各都道府県で薬剤師確保計画がスタートすることを契機に、キャリア形成を通じた薬剤師の確保に同プログラムを役立てるのが狙いだ。

 

対象期間は修学資金貸与期間の1.5倍以上で、そのうち薬剤師不足地域での就業期間を半分以上とするなど、同地域の薬剤師確保と派遣される薬剤師の能力開発の両立を図った。ジェネラリストとしての薬剤師に必要な知識・技能・態度を修得するための臨床研修期間が2~4年で、その後専門研修や大学院博士課程など、様々なキャリア形成を選択できるようにした。

 

プログラムの到達目標として、昨年度に改訂された薬学教育モデル・コア・カリキュラムの「薬剤師の生涯にわたる到達目標」を共有し、卒前・卒後教育の一貫性を図る。対象となる薬剤師、薬剤師不足の病院・薬局、大学、基幹病院・薬局、薬科大学・薬学部、学会・職能団体、都道府県の役割を明示し、各構成員が連携して薬剤師のキャリアパス形成をサポートする体制を提案した。

 

安原氏は、大学薬学部の教育体制について「卒業後まで細かくフォローできていないのではないか。卒業生の生涯教育までフォローし、卒後3年間の離職率を調べている大学もあれば、そうでない大学もある」と指摘。卒前・卒後教育の一貫性確保を課題に挙げた。

 

一方、「医師は卒業した大学と関係を持ちながらスキルアップし、各医療機関をローテーションした研修体制もある。医療計画の中で医学部が医師偏在の問題にも積極的に関わり、大学単位で卒後研修プログラムを公表し、地域単位で動いている」と指摘。先行する医師の卒後研修を手本に、薬学部が卒後も地域の薬剤師キャリア形成に関われるようプログラムを作成した経緯を説明した。

 

また、地域医療における薬剤師の存在意義を見える化するためにも、キャリア形成プログラムが必要と言及。「行政や病院薬剤師会、地域薬剤師会、学会などが地域偏在問題、キャリア形成の支援に関わりながら、薬剤師が医療や社会でどう役立っているかアピールしてもらいたい。最終的には薬剤師のためだけではなく、地域や国民のための制度設計にしていくことが重要」と訴えている。

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出典:薬事日報

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