【小林製薬の紅麹問題】登録販売者、相談対応に苦慮~Dgsでは想定以上の影響も
小林製薬の紅麹関連製品で健康被害が発生した問題を受け、街のドラッグストアでは登録販売者が来店者からの相談に十分に対応できず、困惑している状況が見られている。同製品の撤去作業はほぼ完了した模様だが、その影響について関西中堅ドラッグストアは、「他の機能性表示食品の取り扱い品目を減らす予定はない」とする一方、ヘルスケア卸関係者からは「小林製薬の商品について、サプリメント関連品を全て取り扱い中止とするような動きも出ている」との声もあり、じわりと影響が広がっているようだ。
日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)によると、9日時点でJACDS会員企業において小林製薬の回収対象となった紅麹関連3製品を取り扱っているのは87社1万7163店舗。撤去作業はほぼ完了している模様だ。
ドラッグストアの対応も異なり、関西中堅ドラッグストアは「対象製品について店頭から撤去を行ったが、特に他の機能性表示食品に関して、現行の取り扱い品目数を減らすなどの予定はない」と説明。販売体制についても「店頭では従来通り、来店者の求めに応じて、薬剤師や登録販売者、管理栄養士が適切な相談対応を行っていく」とコメントした。
一方、ヘルスケア卸関係者からは「小林製薬の商品について、当該品だけでなく、サプリメント関連品の全ての取り扱いを止めるような動きが出ている。中には日用雑貨を含め全て店頭から外す極端な動きをしている企業もある」と影響を認める声も出ている。
JACDSは、今回の問題による会員企業の業績に与える影響は「ほぼない」としていたが、ヘルスケア卸関係者は「ドラッグストア向けの機能性表示食品と健康食品の売上がトータルで2割ほどダウンするなど、想定以上に影響は出ている」と話す。
ドラッグストアでは、薬剤師や登録販売者が紅麹関連製品に関する相談を受けるケースも増加しているが、「来店者の質問にうまく答えられずに困っている」など対応に苦慮している現状があるようだ。
埼玉県内の薬局に勤務する薬剤師は、かかりつけ患者から数件の相談を受けた。「患者さんには何が不安なのかをまず言っていただく。すぐに答えを言わないことを心がけている」と説明。こうした対応を行うことで、健康食品やサプリメントの買い控えは起きていないという。
また、健康食品やサプリメントを勧める場合には、検査データなど医療情報を持参してもらい、体調や食事、生活の状況などを確認した上で提案している。「患者さんが何を希望しているのか順位を付けてもらい、血糖値を下げたいのであればそれに合った健康食品やサプリメントを提案して、納得して利用してもらう」と述べ、患者一人ひとりに寄り添った丁寧な対応が必要との考えを示す。
登録販売者団体の幹部は、薬剤師や登録販売者の望ましい関与のあり方として「販売時の情報提供のみならず、使用した人をフォローし、健康食品で標榜されている機能が正しいのかの情報収集も大切。医薬品と同様に、有効性や安全性を確保していく制度に見直すことが必要ではないか」と私見を述べる。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
小林製薬の紅麹関連製品で健康被害が発生した問題を受け、ドラッグストアでは薬剤師や登録販売者が来店者の相談対応に苦慮するケースも見られています。ヘルスケア卸関係者からは、売上などへの影響を懸念する声も出ているようです。