医療

濫用薬規制方針に猛反論~JACDS・森理事「Dgs業界の意見入ってない」

薬+読 編集部からのコメント

厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に参考人として出席した森理事が、濫用の恐れのある医薬品の販売規制方針に対し「検討会取りまとめには、OTC医薬品全体の99%を販売しているドラッグストア業界の意見がほとんど入っていない」と強く反論しました。

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の森信理事は6日、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に参考人として出席し、濫用の恐れのある医薬品の販売規制方針に対し、怒気を含み強く反論した。購入者の手が届かない場所への商品の陳列、購入者情報の記録や管理を義務化することについて、「検討会取りまとめには、OTC医薬品全体の99%を販売しているドラッグストア業界の意見がほとんど入っていない」と語気を荒げた。

前回の部会に続いて参考人として出席した森氏は、「OTC医薬品は危険ドラッグではなく、使い方を間違って危険となっている。ほとんどの国民が利用して助かっている」とOTC医薬品のリスクが過大評価されていることに強い不満を表明した。

 

購入者の手が届かない場所に陳列するとした対応案には、「250~400品目をドラッグストアの店頭で販売しているが、それらを鍵付きの什器に置き、購入者が来るたびに資格者がそれを一つずつ開けさせて販売するというのは現場を分かっていない意見」と厳しく批判した。

 

その上で、薬剤師や登録販売者が販売時に購入者の確認から購入者情報等の記録・保管まで実施することになれば、「2人に1人がカスタマーハラスメントを経験している。従業員をカスタマーハラスメントにさらすことにもつながる」と訴えた。

 

今後の濫用防止に向けては、「これまでは情報提供が努力義務のため実施できていなかったが、医薬品販売コーナーに資格者を常駐すること。資格者を増やし、資格者が全てにおいて声かけをする。それ以外の方法はない」と強調した。

 

 特に検討すべき事項‐濫用薬対応で方針

この日の部会では、医薬品販売制度の見直しについて議論した。医薬品販売制度に関する検討会の取りまとめをベースに次期医薬品医療機器等法改正に向けた具体的検討を進める一方、両論併記となった濫用の恐れのある医薬品の対応などについては、方向性が固まっていないため、今後特に検討すべき事項として議論していく方針だ。

 

濫用の恐れのある医薬品の対応をめぐっては、20歳未満の若年者の販売でテキストのやり取りのみによるインターネットの販売を禁じ、双方向のやり取りが可能なオンラインか対面による販売方法に限定する方向性が示されているが、日本医師会や日本薬剤師会の委員は「購入者の年齢を問わず、テキストのみのやりとりとなるインターネットでの販売を不可とすべき」と、20歳未満に区切った販売規制案からさらなる規制強化を求めている。

 

一方、政府の規制改革推進会議では「年齢・購入量によらず現状のインターネット販売で販売可能とすべき」とルール緩和を要求しており、意見の隔たりが大きい。

 

若年者や複数個、大容量購入時には販売記録を取り、保管することを義務化する方向性に対しても、「全ての購入について義務化すべき」「販売方法で要否を設けるべきでない」と取りまとめの方向性とは異なる意見が出ている。

 

また、「直接購入者の手の届く場所に陳列しないこととする」とされた商品の陳列についても、医薬品アクセスを阻害するとして業界団体などが見直しを求めている。

 

これら事項について部会で議論し、重点的に検討を進めていく方針だ。

 

要指導医薬品については、オンライン服薬指導を可能とする制度に見直す方向性は部会でも意見が一致しているが、オンライン服薬指導の対象から除外する品目や、一般用医薬品に移行しない品目を設けることには一部委員が強く反発している。

 

そのほか、第2類医薬品と第3類医薬品の統合や医薬品の遠隔販売で管理店舗と受渡店舗を同一都道府県内に限定する地理的要件を設けることについても「慎重な議論が必要」との意見があり、今後の検討事項とした。

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出典:薬事日報

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