医療

【厚労科研】薬剤師2人以下製造所36%~管理者の職位低い人多く

薬+読 編集部からのコメント

医薬品製造販売業・製造業に従事する薬剤師が減少を続ける中、薬剤師の在籍数が2人以下の製造所が全体の36%に上ることが、厚生労働科学研究班の調査で明らかになりました。製造管理者の職位が係長以下の施設も20%程度確認されました。

薬剤師の在籍数2人以下の製造所が全体の36%に上ることが、熊本保健科学大学の蛭田修特命教授を研究代表者とする厚生労働科学研究班「医薬品製造業者等における品質問題事案の発生予防および品質の継続的な維持向上に向けた調査研究」で明らかになった。製造管理者の職位も係長以下の施設が約2割程度存在していた。

 

6日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で公表された。2~3月に国内に在籍する医薬品製造業者422製造所を対象に、製造所における薬剤師の従事状況について調査を実施した。その結果、製造管理者の職位は課長33%、部長26%、責任役員・工場長・本部長13%だった一方、一般社員13%、係長7%と、係長以下の施設も20%程度確認された。

 

医薬品製造販売業・製造業に従事する薬剤師は、2012年の3万1000人から減少し続け、22年は2万6000人となった。一方で、薬局、診療所・病院に勤務する薬剤師は増加傾向にあり、新卒薬剤師の就職先も同様の傾向を示している。

 

医薬品医療機器等法では、医薬品の製造所の製造管理者として薬剤師を置くことを要件としているが、生薬や医療用ガス類など、製造管理で薬剤師を必要としない医薬品の製造所に関しては、同法施行規則で薬剤師以外の技術者で代替可能としている。次期薬機法改正でも医薬品の製造所における製造所管理者の要件見直しが論点となっている。

 

厚生労働省医薬局の佐藤大作監視指導・麻薬対策課長は、「製造管理者はモノの品質に責任を持って対処する必要があるが、低い職位の人が相当数いる。この現状が製造管理に影響を与えていないか、社内の指揮系統を含めて大丈夫かどうか懸念がある」と述べた。

 

委員からは、薬剤師以外が製造管理者を担うことについて、医療用医薬品の供給不安が継続している現状や薬学教育が不十分な人が責任を負うことへの疑問から反対意見が相次いだ。

 

森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「後発品企業が何社も行政処分を受け、先発品・後発品を問わず度重なる製品回収と医薬品の安定供給に大きな支障が出ている中、なぜ要件を見直すのか理解できない」と疑義を呈した。

 

川上純一委員(浜松医科大学病院薬剤部長)も、製造業に限らず病院薬剤師も不足が課題とした上で、「薬学教育で薬機法、倫理、医薬品を使用する現場を学んでいない職位が高いだけの人が責任者を担うことに不安を覚える。法令の要件は5年ごとに見直す機会があるので、現在の供給不安が解消した後で良いのではないか」と提起した。

 

三澤日出巳部会長代理(慶應義塾大学薬学部教授)は、「新型コロナウイルスの影響もあると思うので、製造業における薬剤師数の推移はもう少し慎重に見定めてから議論した方が良い。その上で、薬剤師以外の資格要件のあり方について十分に時間をかけて慎重に検討すべき」とした。

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出典:薬事日報

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