薬機法

GMP不適合企業名を公表~ワーニングレター導入提案 厚生労働省

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省が、次期薬機法改正に向け、製造販売・製造業者の責任役員の変更命令やGMP上不適合となった製造所を特定した上で、これまで以上に詳細なGMP上の指摘事項を公表するワーニングレター制度の導入を求める対応の方向性案を、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に示しました。

厚生労働省は、次期医薬品医療機器等法改正に向け、製造販売・製造業者の責任役員の変更命令やGMP上不適合となった製造所を特定した上で、これまで以上に詳細なGMP上の指摘事項を公表するワーニングレター制度の導入を求める対応の方向性案を、5日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会に示した。相次ぐ製造不正事案に対する製造所への規制強化を図ると共に、製造管理・品質管理上の悪質な違法行為には課徴金制度導入も提案し、日本製薬団体連合会の委員をはじめ肯定的な意見が出た。一方、都道府県の事情に応じて医薬品医療機器総合機構(PMDA)がGMP調査を実施する案には否定的な声が相次いだ。

後発品など医療用医薬品における製造上の不正事案が続発している現状を踏まえ、製造販売・製造に携わる企業の法令遵守確保に向け、厚労省は前回の薬機法改正でも論点に上がった責任役員の変更命令を薬機法に盛り込むべきとした。品質管理業務の責任者である品質保証責任者(品責)についても、総括製造販売責任者(総責)と異なりGQP省令等で規定されている現状を踏まえ、薬機法に位置づけて法的責任を強化する必要があるとした。

 

GMP調査情報の公表も強化し、GMP調査における指摘事項のうち、業界への周知が特に有用と考えられる事例について企業名が特定されないよう加工した上で公表し、注意喚起を行うオレンジレターからさらに踏み込み、GMP不適合となった製造所の企業名を特定して公表するワーニングレター制度の導入を提案した。

 

また、医療用医薬品の虚偽・誇大広告に対する課徴金制度の運用開始以降、「不適切な広告行為の抑止力として機能している」として、製造管理・品質管理上の悪質な違法行為まで同制度を拡大する案も示した。

 

滝田諭参考人(日本製薬団体連合会安全性委員会委員長)は提案に賛同しつつ、「品責を法に規定することで総責と立場が同等となり、責任が分散してしまうことを危惧する。責任役員と総責の責務を明確にすることが法令遵守につながるのではないか」と指摘した。

 

課徴金制度の拡大に関しても賛同する意見が多く、花井十伍委員(ネットワーク医療と人権理事)は、安定供給の必要性から、不正の確認後も実際に営業停止に至った業者は多くないとして、「結果的にはペナルティにならない場合もあるので、課徴金の運用は極めて良い」とした。

 

一方、生物学的製剤など高リスクの品目以外のGMP調査は都道府県が主体として行っているが、県によって調査リソースにバラツキがあるため、厚労省は都道府県の事情に応じてPMDAが調査を実施できる制度の創設を提案したが、異論が多く出た。

 

中島真弓委員(東京都保健医療局健康安全部薬務課長)は、「適合性調査の件数が大幅に減少する可能性があり、リーダー的調査員の育成・確保が困難となり、調査体制の弱体化が懸念される」とした。

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出典:薬事日報

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