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【JACDS 森副会長】有資格者が売場に「常駐」~医薬品濫用対策で提案

薬+読 編集部からのコメント

厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で日本チェーンドラッグストア協会の森副会長が意見陳述し、医薬品の濫用防止に向けて薬剤師・登録販売者が売場に「常駐」して対応する考えを示しました。一方で、委員からは疑問を呈する意見も相次ぎました。

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の森信副会長は、5日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で意見陳述し、医薬品の濫用防止に向け、薬剤師・登録販売者が売場に「常駐」して対応する考えを示した。20歳未満の購入には写真付きの身分証等で氏名確認を行うなどとしたが、マンパワーの問題や従来のJACDSの取り組み不足を指摘する声など、疑問を呈する意見も相次いだ。

 

この日の部会では、濫用等の恐れのある医薬品の販売時における対応など、医薬品の販売区分・販売方法の見直しが論点となり、販売を担う立場から、参考人として意見陳述することを前回会合で強く求めていた森氏からヒアリングを行った。

 

厚労省の「医薬品の販売制度に関する検討会」の取りまとめでは、薬剤師など有資格者による情報提供や声がけの実効性を高めるため、購入者の手が直接届く場所に製品を陳列しないこととしている。

 

森氏は、カギ付き什器の設置場所の確保と設置費用等を懸念し、「実現不可能」とした一方で、濫用目的でOTC医薬品を購入することを防ぐためにJACDSが実現可能な取り組みとして、薬剤師または登録販売者が対象製品の販売コーナーやレジで、今まで以上に適切に販売に関与すると訴えた。

 

具体的には、20歳未満による購入の場合、氏名等を写真付きの公的な身分証等で確認すると表明。20歳以上が複数個または大容量製品を購入する場合は購入する理由を確認し、濫用目的や頻回購入が疑われる場合、購入者の氏名等を写真付きの公的な身分証等で確認するとした。

 

伊藤由希子委員(津田塾大学総合政策学部教授)は、「人の力を全国くまなく配置できるわけではなく、濫用者のために人を貼り付けるのは店舗経営の点から見て合理的ではない」と指摘。

 

山口育子委員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)も意見書で、「JACDSが全ドラッグストアに実行させる権限を持っていない以上、全店舗で確実に実施される保証はない。直接関係する団体として現段階で実施可能な努力をせず、今になって薬剤師等の関与によって防げると主張しても説得力に欠ける」と批判した。

 

森氏は「医薬品コーナーにおける有資格者の常駐はできていなかった」と率直に認めたが、佐藤好美委員(産経新聞社論説委員)は「有資格者を置いて声がけを徹底すること自体は良いが、本当に実施できるのか」と疑問視した。

 

北澤京子委員(京都薬科大学非常勤講師)は、「販売者だけでは対策として限界があり、国や製薬企業にももっとやるべきことがある」と提起。国に対してはパブリックコメントに寄せられた成分を濫用等の恐れのある医薬品に加えること、製薬企業には医学・薬学の進歩に合わせた製品改良を求めた。

 

また、村島温子委員(妊娠と薬情報研究会理事長)は、「オーバードーズ(OD)が問題の発端なので、ODで搬送された人がどんな経路で薬を入手したかについてから議論した方が効率的」とした。

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出典:薬事日報

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