薬剤師会

歯薬連携で受診勧奨7割に~薬剤師が口腔機能を確認 栃木県薬剤師会

薬+読 編集部からのコメント

薬剤師が在宅患者に簡易的な口腔機能のチェックを行い、歯科医師へ受診勧奨する歯薬連携によるオーラルフレイル予防の取り組みを、栃木県薬剤師会が進めています。2023年度は薬剤師が「オーラルフレイルチェックシート」から口腔機能を確認した事例のうち、7割が歯科医師への受診勧奨に至りました。

栃木県薬剤師会は、薬剤師が在宅患者に簡易的な口腔機能のチェックを行い、歯科医師へ受診勧奨する歯薬連携によるオーラルフレイル予防の取り組みを進めている。昨年度は薬剤師が「オーラルフレイルチェックシート」から口腔機能を確認した事例のうち、7割が歯科医師への受診勧奨に至った。その中には、薬剤師による口腔機能のチェックから口腔カンジダ症の発見につなげる成果もあり、歯科と薬局がタッグを組み、予防・未病領域で好事例を生み出した。

 

フレイル予防に関する取り組みが進められる中、薬剤師、歯科医師、歯科衛生士が連携したオーラルフレイル予防事業は全国的に先駆的な試みと言える。昨年度1年間実施した事業では、栃木県薬が会員の研究協力薬局で同意を取得できた在宅患者に、オーラルフレイルチェックシートにより口腔機能を確認し、問題があれば「紹介状(情報提供書)」を用いて歯科受診勧奨を行った。薬剤師は受診勧奨の前に「オーラルフレイル薬剤の影響確認票」を用いて症状と使用中の薬剤を確認した。

 

その後、診察した歯科医師は紹介状の返信欄に診察の結果を、歯科衛生士は患者に実施した口腔ケア内容を記入し、薬剤師に情報提供した。

 

栃木県薬が情報を集計・解析した結果、オーラルフレイルチェックシートにより口腔機能を確認した事例は19件、そのうちチェック項目に該当し、歯科受診勧奨対象となったものは14件あった。実際に紹介状を活用して受診勧奨した事例は10件だった。

 

チェック項目では「硬いものが食べにくくなった」の該当者が9人と最も多かった。歯科衛生士からは、口腔ケアの実施状況や介護者へのアドバイス等の情報提供があった。

 

歯科医師に受診勧奨した事例の中には、薬剤師が口腔機能のチェックを行うことで口腔内疾患の早期発見につながった事例もある。パーキンソン病や認知症、陳旧性脳梗塞を罹患し、居宅療養管理指導で介入している患者で固形物の摂取が困難になったことから、薬剤師が受診勧奨したところ、歯科医師から口腔カンジダ症と診察された。診察後には患者に対して抗カンジダ薬「フロリードゲル」の使用が開始となった。

 

同事業は、2020年に栃木県薬から栃木県歯科医師会に連携を打診し、歯科衛生士も巻き込んでスタートした。

 

研究代表者の東京理科大学薬学部の鹿村恵明教授は、「作成した資材を活用したことにより、薬剤師、歯科医師、歯科衛生士がスムーズに連携できた」と強調する。

 

今回は在宅患者が対象となったが、「外来患者を対象としたオーラルフレイル予防にも取り組みたい」と意欲を示す。また、オーラルフレイル予防では「栄養士との連携も重要」と多職種連携も視野に入れる。

 

6月の診療報酬改定では歯科医師が医療機関に情報提供を求めた場合に算定が可能な「診療情報等連携共有料1」(120点)に薬局が追加された一方、薬局は歯科医師に情報提供した場合に「服薬情報等提供料1」(30点)の算定が可能になった。歯科も薬局と同様に予防に力を入れている施設が増加していることから、今回の事例が歯薬連携に弾みをつけることが期待される。

 

この取り組みは、さいたま市内で開催された日本薬剤師会学術大会のポスター最優秀賞に選ばれた。

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出典:薬事日報

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