高額療養費見直し議論再開~保険範囲の検討求める声も 社会保障審議会医療保険部会専門委員会
社会保障審議会医療保険部会内に設置された「高額療養費制度のあり方に関する専門委員会」の初会合が26日に開かれ、高額療養費制度の見直しに向けた議論を再開した。患者団体の委員は高額療養費の負担上限額を見直す方向性に対し、「高額療養費制度は医療アクセスのセーフティネット機能であり、医療費節減に資する他の代替手段を優先・十分に検討すべき」と主張した。一部の委員は、高額医薬品の相次ぐ登場が医療財政を圧迫している状況下で、「患者自己負担について一定の引き上げはせざるを得ないのではないか」と発言。高額医薬品について、保険給付の範囲や費用対効果の検証も含めた包括的な検討が必要とした。

高額療養費制度の見直しをめぐっては、3月に患者団体と面会した石破茂首相が実施を見合わせ、今秋までに改めて方針を検討し決定すると表明。医療保険部会の下に専門委員会を設置し、患者団体・保険者団体等からのヒアリングを通じて集中的に議論を行うこととなった。
この日の会合では、天野慎介委員(全国がん患者団体連合会理事長)が今後の検討プロセスについて、高額療養費の支給を受けた者の療養に必要な費用負担が家計に与える影響を分析し、考慮するよう求めた。
さらに、高額療養費制度の見直しを行う優先順位についても「医療費節減に資する他の代替手段を優先・十分に検討すべき。高額療養費よりも前に議論すべきことがある」と訴えた。
委員からは「高額療養費のセーフティネット機能と現役世代を含めた全世代の被保険者の保険料負担軽減のバランスが重要」と中立的な意見が相次ぐ中、菊池馨実委員(早稲田大学理事・法学学術院教授)は、「所得に応じた一定の引き上げは行わざるを得ない状況にある」と発言した。
高額医薬品の登場を背景に「財政状況との兼ね合いで自己負担が増えざるを得ない以上、負担能力に応じた負担の考え方を入れることは正当化される。問題はその程度をどうするかだ」と述べた。高額医薬品で長期療養を受ける患者が増えており、保険給付の範囲や費用対効果評価などもセットで検証する包括的な対応を求めた。
出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
社会保障審議会医療保険部会内に設置された「高額療養費制度のあり方に関する専門委員会」の初会合で、高額療養費制度の見直しに向けた議論が再開されました。参加した委員からは、高額医薬品について、保険給付の範囲や費用対効果の検証も含めた包括的な検討を求める声も上がりました。