学校薬剤師368人を認定~全国初の制度、広く発信 兵庫県薬剤師会

兵庫県薬剤師会は5月27日、昨年度から開始した全国初の認定学校薬剤師制度について、初年度は学校薬剤師候補者を含む368人を認定したと発表した。県薬会員約7800人のうち、学校薬剤師は3月末時点で916人、そのうち360人(39.3%)が認定された。今後、県薬認定の学校薬剤師であることを県や市町村の教育委員会や学校に向けて広く発信していく考え。
同認定制度の認定条件は、申請時点で必須研修である「薬物乱用防止等の社会課題に対応した研修会」の受講を年1回、また選択研修として▽県薬の学校薬剤師部が開催する研修会▽自殺ハイリスク者に関する研修会▽スポーツファーマシストに関する研修会▽災害に関する研修会を各2回以上――の受講者。
昨年度、県薬では必須研修を2回(延べ1164人が受講)、選択研修を9回(3045人が受講)実施しており、認定期間は認定日から3年間。更新は認定期間内に必須研修3回以上、選択研修6回以上の受講が必要になる。
同日の記者懇談会で三宅圭一会長(写真)は、兵庫県は小学校・中学校・高校において、学校での薬物乱用防止教室の開催数が全国でも低い現状であることを紹介した上で、認定の意義について「特に(オーバードーズなど)医薬品の乱用防止対策について、学校から依頼を受けても自信を持って実践できることが一つの目的」と説明した。
同認定制度を担当する福田忠浩常務理事は、「当初は100人程度の認定を想定していたが、その3倍以上となった。今後は県内の学校薬剤師に、認定制度へ向いてもらうことが課題。今年度中には60%まで引き上げ、最終的には100%を目指したい」と語った。
一方、4月からの組織変更では、従来の「薬局経営部」「地域医療部」を「薬局機能強化部」「薬剤師職能向上部」「連携推進部」の3組織に再編した。吉田太郎副会長は「個人、連携、器(薬局)で組織を分けた」と説明した。
具体的には、薬局機能強化部では薬局機能を強化し、機能を一般向けにも周知広報する。成立した改正医薬品医療機器等法に合わせて対応し、薬局が進むべき道を模索しつつ認定薬局の取得を進める。連携推進部では、開局と病院の薬剤師の連携を深める中で、コロナ禍で中断していた交換留学も進めるほか、地域包括ケアシステムにおける他職域団体や行政との連携を支援する。薬剤師職能向上部は、薬剤師職能発揮に向け、対応力向上に向けた薬剤師個人を強化する。
このほか、県薬として新たなモバイルファーマシーの導入検討を進めていることも明らかにした。現在、シスメックスなど3社で災害時における医薬品供給車両の無償貸し出しなどで協定書を締結している。三宅氏は「コンパクトで発災翌日から稼働できるタイプの車両の導入を別の企業と検討している。今年度中に追加したい」と話した。有事に県薬からの要請に合わせて車両の提供を受け、24時間後には出動が可能な体制を整える考えだ。
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出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
兵庫県薬剤師会が2024年度から開始した全国初の認定学校薬剤師制度について、初年度は学校薬剤師候補者を含む368人を認定したと発表しました。今後、県薬認定の学校薬剤師であることを県・市町村の教育委員会や学校に向けて広く発信していく考えです。