医療

【日病薬小委員会】「がん薬療体制加算」算定に壁~薬剤師の人員不足影響

薬+読 編集部からのコメント

2024年度診療報酬改定で新設された「がん薬物療法体制充実加算」(月1回、100点)について、200床未満では日本病院薬剤師会会員施設の約8割が未算定となっているという調査結果が公表されました。

2024年度診療報酬改定で癌化学療法における薬剤師の外来業務を評価する「がん薬物療法体制充実加算」(月1回、100点)の新設を受け、日本病院薬剤師会会員施設を対象に今年1~2月に同加算の取得状況を聞いたところ、200床未満では約8割が未算定となっている実態が、日病薬学術第7小委員会が実施した調査で明らかになった。診察前面談の実施施設は、外来化学療法で患者指導を行っている施設の50%程度にとどまり、人員や設備の面で実施が難しいとの課題が浮かび上がった。

 

同加算の取得割合は、昨年11月のデータによると「外来腫瘍化学療法診療料1」の算定施設中58%だったが、今回の調査でも同程度となっており、薬剤師の配置状況と比べると算定施設が少ない状況にあった。病床規模に応じて算定施設の割合が大きくなっており、400床未満では算定施設は半数以下にとどまる。同加算が新設されて約1年が経過したが、依然として算定のハードルが高い状況にある。

 

算定できない理由として最も多かったのが薬剤師のマンパワー不足で、施設要件、専門薬剤師の不足などが挙がった。一方、外来化学療法の関与体制については、93.7%の施設が何らかの形で患者指導に薬剤師が従事しており、そのうち72.7%で患者指導のみを行う薬剤師を配置していたことが判明した。同加算の算定施設に比べ、実際に薬剤師が患者に関与している施設は多いことが考えられた。

 

注射・経口抗癌剤の全例を対象に指導を行っている施設は約4割に上るものの、患者指導のみを行う薬剤師の配置数は病床規模に関わらず、1施設当たり1~2人にとどまった。

 

患者面談のタイミングについては、最も多かったのが「主治医の診察前または診察後の両方」の54.1%で、「診察後のみ」という回答も38.4%あった。指導を行っている施設で診察前面談を実施できているのは50%程度で、診察後に比べて診察前に面談を行うのが難しい状況にあることがうかがえた。

 

外来癌薬物療法の患者指導を行っている施設の50%程度で何らかの処方・検査代行オーダーが実施されており、そのうち66%の施設でPBPM(プロトコルに基づく薬物治療管理)が策定されていた。

 

また、薬剤師外来による診察前面談を実施する効果について薬剤師438人、医師104人、看護師130人に聞いたところ、薬剤師と医師・看護師が回答した項目に大きな差異はなく、多職種からは薬剤師による診察前面談を希望する声は大きかった。

 

医師・看護師が負担軽減になると考える業務は「患者の副作用モニタリング」「副作用についての指導」が上位回答となった。薬剤師に行ってもらいたい業務は「患者の副作用モニタリング」「支持療法の処方提案」「治療薬に関する服薬指導」の順に多く、「診察前面談の拡大」についても医師・看護師の6割が希望した。

 

薬剤師が関与している外来は「入退院センター」が67%、「手術前外来」が51%と多かった。これに対し、医師・看護師が関与を望む外来業務は「疼痛管理外来」が最多で7割が希望した。「糖尿病外来」についても、既に薬剤師が関与している入退院センターや手術前外来と同様に、半数以上の医師・看護師が薬剤師の関与を望んでいた。

 

調査結果は、オンデマンド形式で配信されている日病薬フューチャーファーマシストフォーラムで公表されたもの。

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出典:株式会社薬事日報社 

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