認知率過去5年間で最低~副作用被害救済制度 医薬品医療機器総合機構
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、2024年度の医薬品副作用被害救済制度に関する認知度調査の結果を公表した。医療関係者向け調査では、薬剤師は前年度から0.4ポイント増の97.2%となった一方、看護師は8.8ポイント減少した影響で5職種全体で82.4%と過去5年間で最低となった。制度への関与度や利用の勧奨率も低下したことから、PMDAは関係団体等に制度周知に協力するよう要請する考え。
調査は、同制度の認知率や内容理解度、制度への関与度等について薬剤師、医師、看護師、歯科医師、今回から追加された医療ソーシャルワーカー計2410人と、20歳以上の一般国民計3094人を対象に実施したもの。
医療関係者では、同制度を「知っている」「聞いたことがある」を合わせた認知率は前年度比1.9ポイント減の82.4%で、過去5年間で最低となった。職種別で見ると、特に看護師は前年度比8.8ポイント減の56.9%で、今回調査で唯一、前年度より認知度が低下した職種となり、過去5年間で最低の数値となった。
PMDAは、来年度から適用される改訂版看護学教育モデル・コア・カリキュラムに触れ、「救済制度や薬害について看護学校で学習することになるため、この機会を生かして看護関係団体等に制度周知の協力を要請したい」としている。
薬剤師は0.4ポイント増の97.2%、医師は1.6ポイント増の92.6%、歯科医師は1ポイント増の84.2%、医療ソーシャルワーカーは74.5%だった。
制度の紹介や請求手続きへの関わりなど制度への関与度については全体で9.5%と前年度から2.1ポイント減少し、2年連続の減少となった。職種別では、医療ソーシャルワーカーの20.3%が最も高く、医師13.4%、薬剤師10.2%、看護師・歯科医師各4.2%で、医療ソーシャルワーカー以外の職種は前年度より低下した。
制度の利用を勧めたいとする勧奨率については、全体で前年度から6.1ポイント減少し、48.7%と過去最小を更新した。内訳は薬剤師60.4%、医師53.9%、歯科医師49.5%、看護師31.9%で、4職種いずれも過去最小の数値となった。
調査結果を踏まえ、PMDAは「制度自体の内容が正しく理解されていないため、出前講座やe-ラーニング講座を積極的に行っていきたい」とした。
一方、一般国民の認知率は26.3%で、過去最高となった前年度から6.3ポイント減少し、2年連続の減少となった。制度に対する関心度についても、前年度比3.8ポイント減の64.2%で過去最小の数値となった。
出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
PMDA(医薬品医療機器総合機構)が、2024年度の医薬品副作用被害救済制度に関する認知度調査の結果を公表。医療関係者向け調査では、薬剤師は前年度から0.4ポイント増の97.2%となった一方、看護師は8.8ポイント減少し、5職種全体で82.4%と過去5年間で最低となりました。