医療

OTC類似薬の範囲焦点か~保険給付除外に日医は反発

薬+読 編集部からのコメント

OTC類似薬の保険給付のあり方見直しの議論が今秋以降に本格化します。日本医師会は「OTC類似薬を保険適用から外すのは断固反対する」と再三にわたって表明しており、日本薬剤師会も「慎重かつ丁寧な議論が必要」と慎重な姿勢を崩していません。今後の議論では、約7000品目に上るOTC類似薬のうち、どの程度の品目を保険給付範囲として設定するかが焦点となりそうです。

 政治情勢の影響注視

年末までの予算編成過程で重要なトピックの一つであるOTC類似薬の保険給付のあり方見直しの議論が今秋以降に本格化する。参議院議員選挙では、国民民主党や参政党、日本維新の会がOTC類似薬の保険給付見直しを公約とし、参政と国民民主は大きく躍進した。これに対し、日本医師会は「OTC類似薬を保険適用から外すのは断固反対する」と再三にわたって表明。日本薬剤師会も「慎重かつ丁寧な議論が必要」と慎重な姿勢を崩していない。今後の議論では、約7000品目に上るOTC類似薬のうち、どの程度の品目を保険給付範囲として設定するかが焦点となりそうだ。

 

OTC類似薬の保険給付のあり方見直しをめぐって自民・公明の与党、維新による3党協議で合意。6月に閣議決定された骨太の方針で「2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて26年度から実行する」と記載されている。

 

保険給付見直しの対象となったOTC類似薬についての対応としては、保険給付範囲からの除外や償還率の変更、定額負担の導入などが考えられる。社会保障が争点となった7月の参院選でも、OTC類似薬の保険給付見直しを公約に掲げた3党のうち、維新の議席は伸び悩んだものの、参政と国民民主は大きく躍進した。

 

7月28日の経済財政諮問会議でも、民間議員がOTC類似薬の保険給付範囲の見直しにより「現役世代の負担を減らしていく議論を進めてもらいたい」と提案。今後の諮問会議の重点課題として議論の俎上に載せた。

 

こうした動きに対し、日医は反発。江澤和彦常任理事は6日の定例会見で「骨太方針や3党合意では保険給付の見直しと書いており、保険除外とは書いていない」と訴え、OTC類似薬の保険適用除外に反対する姿勢を表明。反対理由として、▽患者の経済的負担が大きい▽患者が薬局でOTC医薬品を買うことになれば診断・治療の遅れなど臨床的なリスクを伴う――などの問題点を挙げた。

 

日医は以前から、OTC類似薬の保険給付除外に反対する主張を行ってきた。今回改めて発信した狙いについて、江澤氏は「参院選を経ていろいろと政局が不安定な中、OTC類似薬に関する報道が飛び交っている。今一度、日医としての方針を示したいと思った」と語った。

 

保険給付範囲の見直しについて、維新は3党協議で具体的な薬剤名として28有効成分を挙げている。OTC類似薬の保険給付範囲をどこで線引きするかが今後の議論の焦点となる中、江澤氏は「個々の薬剤、患者さん、病態について議論が全くされていない。医療費抑制の金額が一人歩きしており、議論は白紙状態」と述べるにとどめ、日医として譲歩が可能なラインについては明かさなかった。

 

セルフケア・セルフメディケーションを推進する日薬も、OTC類似薬については骨太方針の閣議決定を受けたコメントで「国民の医薬品アクセスを阻害するようなことがないよう、慎重かつ丁寧な議論の上で実現可能性を判断することが不可欠であることは言うまでもない」と慎重な立場だ。

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出典:株式会社薬事日報社 

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