薬局の賃上げ未実施が半数~今年度実施予定も3割 中央社会保険医療協議会入院・外来医療等の調査・評価分科会

厚生労働省は21日の中央社会保険医療協議会入院・外来医療等の調査・評価分科会で、2024年度調剤報酬改定を踏まえた薬局における賃上げ状況の結果を公表した。昨年度に賃上げを実施した薬局の割合は45%で未実施の49%を下回った。今年度も賃上げの実施予定なしと未定を合わせた割合が7割と、実施予定の3割を大きく上回る結果となった。
調査は、日本薬剤師会が2月から1カ月間かけて実施し、491薬局から回答を得たもの。昨年度に賃上げを実施した薬局の割合は45%、「実施予定」は6%、「実施していない」は49%だった。また、今年度に賃上げを実施予定の薬局は30%、「予定なし」が37%、「未定」が33%との結果だった。
店舗数別に賃上げ状況を見ると、薬剤師の賃上げは「20~49店舗」が賃上げ率3.2%で最も高く、「1店舗」2.92%、「2~5店舗」2.78%で続いた。事務職員の賃上げは、「300店舗以上」の6.25%が、「2~5店舗」4.25%、「20~49店舗」4.1%などを上回った。「50~299店舗」の有効回答は得られなかった。
一方、賃上げを実施した薬局のうち、「経営者の給与減を実施」が99件、「経営者の個人資産で補填」が57件と、苦しい財政状況から捻出している実態も浮かび上がった。
調査結果を受け、津留英智委員(全日本病院協会常任理事)は、「日薬の調査だけでは中身がよく分からない。店舗数別の調査は、対象店舗数が219軒で、50~299店舗の有効回答もなく、実際に薬局社員の賃上げがどれほどできているか不明」と疑問を呈した上で、「経営者の個人資産の補填とあるが、中小病院でも同様に耐え忍んでおり、薬局に限ったものでない」と指摘した。
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出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
2024年度調剤報酬改定を踏まえた薬局における賃上げ状況について、約半数の薬局が昨年度に賃上げを実施していなかったことが分かりました。今年度も7割の薬局が賃上げの実施予定なしもしくは未定となっており、実施予定の3割を大きく上回っています。