医療

共用試験公的化の検討を~実習生に法的位置づけ必要 第10回日本薬学教育学会大会

薬+読 編集部からのコメント

第10回日本薬学教育学会大会のシンポジウムで、大学間で評価の仕組みが異なる薬学共用試験「CBT」「OSCE」を公的化し、共用試験に合格した薬学生が在学中の実務実習で法的根拠を持って薬剤師業務を実施する「スチューデントファーマシスト制度」の導入を検討するよう求める意見が相次ぎました。

第10回日本薬学教育学会大会が23、24の両日に都内で開かれ、シンポジウムでは大学間で評価の仕組みが異なる薬学共用試験「CBT」「OSCE」を公的化し、共用試験に合格した薬学生が在学中の実務実習で法的根拠を持って薬剤師業務を実施する「スチューデントファーマシスト制度」の導入を検討するよう求める意見が相次いだ。

 

医学部では2023年に医学共用試験を公的化し、共用試験に合格した医学生が一定の条件のもと「スチューデントドクター」という資格で医行為を行う仕組みを設けている。一方、薬学生の薬剤師行為に法的根拠がないため、薬学共用試験を合格した薬学生を対象とした実務実習では、指導薬剤師の指示のもとで行う薬剤師行為に限り、無資格者による薬剤師業務の違法性が法的に阻却されるとの考え方で実施されている。

 

厚生労働行政推進調査事業「薬剤師国家試験のあり方に関する研究」では、スチューデントファーマシストの導入を提言し、共用試験を合格した薬学生の法的位置づけが明確になるよう求めた。

 

研究代表者の小澤光一郎氏(安田女子大学薬学部教授)は、「スチューデントファーマシストと位置づけることでいろいろなことができるようになる」としつつ、「実施可能な行為や責任体制などの検討が必要」と指摘した。

 

スチューデントファーマシストの導入には、大学ごとで異なる共用試験の公的化が前提となる。医学部では共用試験の導入から約15年の試行期間を経て、出題内容の標準化や評価方法の改善などを進め、共用試験の公的化を実現した。

 

昭和医科大学薬学部の肥田典子教授は、薬剤師と医師の免許を持つ立場から、「スチューデントドクターとして法的に認定されることで見学型の臨床実習が診療参加型に移行し、医師の指導下で問診や診療、患者説明など実践的に参加できた」と述べ、薬学でも共用試験の位置づけを再考する必要性に言及した。

 

和歌山県立医科大学薬学部の太田茂教授も「CBT、OSCEを公的試験にするためのプロセスは、医学では長い時間を必要として努力してきた。薬学も公的試験化をすることで、スチューデントファーマシストの設立をこれから先、考えてもいいのではないか。違法性の阻却だけでなく、薬学生のモチベーション向上、緊急時におけるワクチン接種の実施など、薬学のこれからの道になる」と賛同した。

 

一方、日本病院薬剤師会の武田泰生会長は「実習が半年では短い。スチューデントファーマシストの資格を持って実習をやるのであれば、卒前の実習期間は最低でも1年は必要。それが卒後の臨床や実務につながっていくストラテジーを考えるべき」と述べた。

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出典:株式会社薬事日報社 

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