医療

【IQVIA調査】若年層の後発品処方拡大~選定療養、高齢者は効果低

薬+読 編集部からのコメント

長期収載品に関する選定療養制度によって後発品処方が増加した属性を分析した結果、医療費無償化の対象となる若年層や患者負担が大きい薬剤で後発品使用促進効果が高く、高齢者層では後発品処方増加への効果が限定的であることが明らかになりました。

昨年10月にスタートした長期収載品に関する選定療養制度によって後発品処方が増加した属性を分析したところ、医療費無償化の対象となる若年層や患者負担が大きい薬剤で後発品使用促進効果が高いことが、IQVIAソリューションズジャパンの調査で明らかになった。高齢者層では後発品処方増加への効果が限定的であることも判明し、制度設計の改善余地が示唆される結果となった。

 

長期収載品の選定療養制度は、患者希望で先発品の長期収載品が処方される場合に先発品と後発品の価格差の4分の1を患者自身で負担するもの。今回の調査では、調剤薬局で処方される薬剤を対象に、制度導入により実臨床における薬剤使用が与えた影響を多角的に評価した。約1万1210店舗の調剤レセプトについて、昨年4月から今年3月までの期間で長期収載品の選定療養制度開始前後での後発品使用率、長期収載品のうち、選定療養として処方された割合の変化を経時的に評価した。

 

約3億1200万処方を対象に解析を行った結果、長期収載品の選定療養割合は昨年9月から今年10月にかけては5.7%で、その後の後発品使用率、選定療養割合は横ばいで大きな変化は認められなかった。

 

選定療養開始前後における後発品処方増減率を評価すると全体で6.7%増となり、特に患者年齢別での後発品処方増減率は医療費無償化の0~9歳で14%、10~19歳で15.7%増加した。20歳以降は大きな増加がなかった。

 

60歳以上では、長期収載品における選定療養割合が長期収載品処方のうち50%以上を占めた。長期収載品の薬価別では、薬価が50円を超える場合には後発品処方増減率が7.1%増、特に500円を超える場合には12.3%増加した。

 

さらに、後発品との薬価差の4分の1が25円を超える場合には後発品処方増減率が12.9%、特に50円を超える場合には13.3%増加した。

 

同社は、選定療養制度導入を契機に後発品使用率が急増したことから、後発品使用促進に一定の効果をもたらしたとの認識を示した。

 

一方、高齢者層では後発品処方増加への効果が限定的で、長期収載品から後発品への処方切り替えによる経済的インセンティブが小さいことが要因とされた。

 

同社の小林健也氏は「外用剤は先発品に戻ってきているものがあり、剤形ごとのインセンティブを考える必要があるかもしれない」と語った。

🔽 長期収載品の選定療養について解説した記事はこちら

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出典:株式会社薬事日報社 

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