医療

【厚労科研】薬剤師介入で歯科受診率増~口腔健康サポートに効果

薬+読 編集部からのコメント

健康サポート薬局の薬剤師が地域住民の口腔の健康サポートを半年にわたって実施することで歯科受診率が上がり、受診によりオーラルフレイル(口腔機能の低下)でない者の割合が増加することが、2024年度厚生労働科学研究で明らかになりました。

健康サポート薬局の薬剤師が地域住民の口腔の健康サポートを半年にわたって実施することで歯科受診率が上がり、受診によりオーラルフレイル(口腔機能の低下)でない者の割合が増加することが、2024年度厚生労働科学研究(研究代表者:慶應義塾大学薬学部山浦克典教授)で明らかになった。研究開始時点で定期歯科健診受診者は、非受診者に比べて非オーラルフレイルの割合が大きかったが、薬剤師の介入により非受診者が受診行動を起こすことで非オーラルフレイルの割合が定期歯科健診受診者と同程度まで増えた。

 

厚労科研の1年目事業では、薬局薬剤師の口腔の健康サポート能力向上を目的に歯科医師監修のウェブ・実地研修で構成されたプログラムを構築した。

 

2年目となる24年度は研修を修了した健康サポート薬局の薬剤師39人に参加してもらい、27薬局の来局者のうち同意を取得した314人を無作為に介入群と非介入群に分け、薬剤師が両群に対して口腔の健康状態に関する調査とパンフレット配布を行い、介入群には口腔の健康サポートを行った。

 

介入内容は支援資材を用いた薬剤師による説明やセルフチェックの指導等となっており、6カ月間に初回、約3カ月後、約6カ月後の計3回行い、定期歯科健診の受診率向上と口腔の健康状態の変化等を比較した。

 

データ解析対象者は254人だった。初回時点で定期歯科健診の非受診者は介入群で31.8%、非介入群で28.8%だった。非受診者のうち6カ月時点で予約・受診をしていた者は介入群で34.1%、非介入群で16.7%と介入群のほうが有意に多かった。

 

一方、介入群と非介入群を合わせた対象者全体で解析すると、初回から6カ月後の非オーラルフレイルの割合の変化は、初回の非受診群のうち6カ月間で受診・予約した者では30%から60%へと有意に増加し、定期歯科健診受診者と同レベルまで改善した。

 

最後まで受診しなかった者の非オーラルフレイルの割合は、初回の33.3%から6カ月経過後では47.4%と受診者群に比べて小さい伸びにとどまった。

 

研究班は「定期的に歯科健診を受診していない人だけで見た場合に介入群の方が6カ月後までの受診・予約者が多く、薬剤師が口腔健康サポートすることで受診行動を起こす動機づけになる」と考察。

 

健康寿命延伸に向けた施策の一環として健康サポート薬局の活用が期待されるとした。

 

また、「薬局における非歯科健診受診者の洗い出しが重要」と指摘。現状では薬局において歯科受診を確認するのは薬剤師が意識的に口頭で行うしかなく、マイナ保険証の紐付けによる健診の確認が可能になるのと同時に、歯科健診の受診の有無に関しても確認できるような仕組みの構築を求めた。

 

一方、健康サポート薬局に勤務する薬剤師を対象に口腔の健康サポートに特化した研修プログラムを実施したところ、受講した薬剤師では口腔の健康サポートに関する自信が付き、薬局で口腔の健康サポートを行う意識が向上する効果も確認された。

 

今後、薬剤師向けの研修プログラムの内容や構成を検討し、研修を全国に展開していく必要性も示している。

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出典:株式会社薬事日報社 

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