処方変更の疑義照会不要に~抗菌薬供給で歯科と連携 八戸薬剤師会
八戸薬剤師会は八戸歯科医師会、三戸郡歯科医師会との間で、院外処方箋における抗菌薬の処方変更で、薬局から歯科診療所への照会を不要とする事前合意プロトコルの合意書を締結し、11月1日から実施する。第1群歯周組織炎、第2群歯冠周囲炎の第1選択薬はペニシリン系薬剤となっているが、歯科診療所から院外処方箋を応需した薬局が流通量の比較的多いマクロライド系のクラリスロマイシンを選択できるようにした。医薬品供給不足が長期化する中、地域薬剤師会と地域歯科医師会が共同して地域フォーミュラリを運用する動きは始まっているが、院外処方箋の処方変更で疑義照会を不要とする事前合意プロトコルを締結するのは珍しい。
医薬品の供給不安は医療機関や薬局のみならず、歯科診療所にも波及し、必要な抗菌薬を入手できない状況に直面している。薬局会員が圏外含め107%と組織率が極めて高い八戸薬剤師会は、地域医薬品提供体制の整備に取り組んできた。
八戸歯科医師会は79施設、三戸郡歯科医師会は20施設が入会している。医薬品供給が安定しない状況が長期化する中、地域の歯科診療所と互助する仕組みを構築することになった。
八戸薬剤師会の阿達昌亮会長は、「医薬品が供給不足の中、歯科医師がペニシリン系抗菌薬を使用することも多い。地域の患者が薬を入手できないケースも想定される」とした上で、「歯科診療所と薬局が協力することで、地域の患者さんが必要な時に必要な薬を入手できるようにするため、ようやく作り上げた仕組みになる」と強調する。
抗菌薬の処方変更を行う場合に、薬局から歯科医師に行う疑義照会の一部が不要となる。薬局は患者に十分な説明を行い、同意を得てから処方変更を実施する。プロトコルに合意した薬局は「合意薬局リスト」に掲載して公開する。プロトコル対象薬剤で処方箋に「グループ内変更可」の記載があれば、グループ内薬剤への処方変更が可能となる。
例えば、「第1群歯周組織炎、第2群歯冠周囲炎の第1選択薬としてペニシリン系の抗菌薬で妊婦・授乳婦でも使用可能とされる薬剤」のグループでは、ペニシリン系抗菌薬のアモキシシリン、アンピシリン、マクロライド系のクラリスロマイシンから薬剤変更を行える。ペニシリン系薬剤の在庫がない場合に備え、マクロライド系薬剤を選択できるようにした。
また、「第1群・第2群の感染症でペニシリンアレルギーの患者にも使用可能と思われる抗菌薬」のグループでは、ニューキノロン系のレボフロキサシン、マクロライド系のアジスロマイシン、第2セフェム系のセファクロルの中からであれば変更が可能だ。
処方変更を行う場合は同成分規格変更・剤形変更を優先し、それが難しい場合に他成分を変更する。「クラビット錠500mg」から「クラビット250mg2錠」など先発品でも相互に変更可能とし、「アモキシリン錠250mg」から「サワシリンカプセル125mg2錠」のように剤形変更も行えるようにした。
薬局は調剤した日のうちに決められたフォーマットを用いて処方元医療機関に報告するよう求めている。
🔽 疑義照会について解説した記事はこちら
出典:株式会社薬事日報社
 
                 
                         
         
                             
                             
                             
                             
                             
                         
                    


 
             
             
             
             
            
薬+読 編集部からのコメント
八戸薬剤師会は、院外処方箋における抗菌薬の処方変更で薬局から歯科診療所への照会を不要とする事前合意プロトコルの合意書を八戸歯科医師会、三戸郡歯科医師会との間で締結しました。2025年11月1日から実施が開始されます。