医療

【厚労科研調査】箱出し調剤「実現困難」の声 ~ 薬剤師6割、処方制限懸念

薬+読 編集部からのコメント

処方単位に個包装された薬剤を開封せずに患者に交付する「箱出し調剤」の国内導入について、薬局や病院に勤務する薬剤師の6割以上が実施は難しいと考えていることが分かりました。実現に向けた課題としては「医師の協力」という意見が最も多く挙がりました。

箱出し調剤の国内導入をめぐり、薬局や病院に勤務する薬剤師の6割以上が実施は難しいと考えていることが、厚生労働科学研究班「地域共生社会における調剤業務の効率化に係る方策の有用性・安全性の評価・検討のための研究」による調査の中間解析で分かった。箱出し調剤では処方日数の選択肢が限られ、医師の処方自由度が狭くなるため、実現に向けて解決すべきことに「医師の協力」を挙げる薬剤師が多かった。薬剤師の立場から箱出し調剤実現への見解を聞いたところ「希望する」「希望しない」の回答が半分ずつを占め、意見は拮抗していた。

 


 

箱出し調剤は、処方単位に個包装された薬剤を開封せずに患者に交付する調剤のこと。欧州などで導入されている。調査では、箱出し調剤は国内で実施可能か聞いたところ、「全くそう思わない」「そう思わない」が6割以上を占め、「そう思う」を大きく上回った。実現に向けた課題として「医師の協力」を挙げる意見が最も多く、▽複雑な現状とのギャップ▽患者の理解▽法制度の問題――などの意見もあった。

 

薬剤師の立場から、箱出し調剤に期待するメリットとしては「薬剤調製時間を短縮できる」「薬剤調製のミスが減る」との意見が多かった。一方、デメリットとしては「医師の処方が個包装単位と一致しない場合の対応が必要になる」「個包装でかさばる」などの意見が出た。

 

箱出し調剤の導入で薬局の不動在庫や廃棄医薬品を減らせるか聞くと、6割以上は「そう思う」、約4割は「そう思わない」「全くそう思わない」と回答した。

 

研究班は昨年12月に一般市民を対象にした調査も実施した。医師が処方した薬を箱単位で渡されることを希望するかと聞くと、「希望する」34.6%、「どちらでも良い」27.6%、「分からない」27.5%、「希望しない」10.3%との結果になった。

 

希望しない人に対して、どのような場合であれば希望するかを聞いたところ、▽待ち時間が減るなら良い▽薬について毎回丁寧な説明をしてくれるのであれば良い▽さらなる医療サービスが薬剤師から提供されるのであれば良い――などの意見があった。

 

箱出し調剤への変更で薬の飲み忘れは「今と変わらない」78.2%、飲み間違いは「今と変わらない」73.9%との回答で、箱出し調剤への不安は「ない」と回答した一般市民は69.0%と多かった。

 

5日、研究班がオンラインで開いた公開シンポジウムで、研究代表者の入江徹美氏(熊本大学大学院生命科学研究部特任教授)が中間解析結果を発表した。一般市民対象調査を担当した武田香陽子氏(北海道科学大学薬学教育学分野教授)は「十分な説明、待ち時間の減少、さらなるサービスを前提として、箱出し調剤にポジティブな意見が多かった一方、ネガティブな意見や不安を持つ方への十分な説明も求められる」と述べた。

 

研究班は現在、箱出し調剤の影響を受ける関係者として日本製薬工業協会、日本ジェネリック製薬協会、日本薬科機器協会、包材供給企業、包装機器企業、日本医師会の意見聴取を実施中で、今月末までに回答が出揃う見込みだ。

 

入江氏は、製薬企業の見解について「実現には設備投資が必要となるが、コストをかけて最終的に患者にどんなメリットがあるのか明確に示してくれないと、その方向に持っていくのは難しいだろうと指摘を受けた」と言及。薬剤師の業務効率化の観点だけでなく、箱出し調剤による患者アウトカムの向上が求められると話した。

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出典:薬事日報

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