NDBデータを初公表‐降圧剤はARBが上位独占
ビタミン剤の処方も多く
厚生労働省は、医科や調剤レセプト等の情報を集めて格納した国の「ナショナルデータベース」(NDB)のオープンデータを初めて公表した。2014年度のレセプトデータ約18億8000万件を単純集計し、広く利用者が有効活用できるよう作成したもの。そのうち薬剤データについて、外来で院外処方された内服薬を見ると、糖尿病用薬は「メトグルコ錠250mg」が約11億錠と圧倒的に多く、血圧降下剤は「オルメテック錠20mg」などARBが処方数の上位を独占した。一方で、ビタミン剤など古くて安価な医薬品も多く処方されている実態が見られた。
NDBオープンデータは、これまで行政機関や研究者向けに提供してきたNDBデータベースの有用性をさらに生かすため、医科診療行為や薬剤などのデータを広く国民に情報提供し、様々な目的に応じて有効活用できるよう単純な集計表としてまとめたもの。14年4月から昨年3月までの1年間、レセプト情報データベースに格納された医科入院外レセプト、医科入院レセプト、調剤レセプトなどが対象となっている。
今回、新たに公表された薬剤データは、処方数量を薬効別に上位30位を選んだもの。そのうち、外来で院外処方された内服薬について、主な薬効別に処方数量の上位を見ると、糖尿病用薬は「メトグルコ錠250mg」が11億4078万9846錠と最も多く、次いで「エクア錠50mg」が3億3297万1242錠、「ジャヌビア錠50mg」が2億8869万4459錠と、古くから使われているメトホルミン製剤が圧倒的に多く処方されていたが、最近登場したDPP-4阻害剤も約6億錠程度と多かった。
また、高脂血症用薬は「クレストール錠2.5mg」が7億3948万8536錠と最も処方されており、血圧降下剤は「オルメテック錠20mg」3億6325万3110錠、「ミカルディス錠40mg」3億1089万8058錠、「ブロプレス錠4mg」2億2115万8570錠とARBが処方数上位を独占した。
消化性潰瘍用剤は、防御因子増強薬の「ムコスタ錠100mg」が6億6208万6515錠と最も処方されており、制酸剤「マグミット錠330mg」が9億5724万0968錠、肝機能改善薬の「ウルソ錠100mg」6億0276万1600錠、消化管運動促進剤の「ガスモチン錠5mg」も3億9523万2409錠などと多く処方されていた。
また、広くかぜの発熱時などに使われている解熱鎮痛消炎剤は「ロキソニン錠60mg」が4億8404万4009錠、古くから用いられている去痰剤「ムコダイン錠500mg」2億6966万9429錠、咳止めの「メジコン錠15mg」2億7971錠と根強い支持を集めている。さらに、抗凝固薬は「ワーファリン錠1mg」7億0947万2907錠、「ワーファリン錠0.5mg」9442万2498錠と、依然としてワーファリンの支持が厚かった。
精神神経用剤では「デパス錠0.5mg」が5億5955万6733錠と、精神安定剤も多く処方されており、抗不安剤では「ソラナックス0.4mg錠」1億7810万3763錠、「マイスリー錠5mg」1億7772万1113錠、抗てんかん剤も「デパケンR錠200mg」が2億5027万5573錠、「リボトリール錠0.5mg」1億0906万5055錠などとなっている。
その他のアレルギー用薬では、花粉症をはじめとするアレルギー性鼻炎などに使われる「アレグラ錠60mg」が2億5394万6946錠と最も多く処方されており、次いで「タリオン錠10mg」の2億3652万5475錠、新薬の「ザイザル錠5mg」も1億9722万5355錠と支持されていた。
一方、ビタミンB1剤の「25mgアリナミンF糖衣錠」が1億4142万8545錠、ビタミンB1を除くビタミンB剤は後発品の「メチコバール錠500μg0.5mg」が10億7747万4639錠、ビタミンK剤は「グラケーカプセル15mg」が5000万4544カプセル、ビタミンE剤「ユベラ錠50mg」が8011万7594錠などと、ビタミン剤も日常診療で多く処方されていることが分かった。
外用薬の消炎鎮痛剤は、「モーラステープL40mg 10cm×14cm」が8億4000万8238枚、「モーラステープ20mg 7cm×10cm」が6億2949万7804枚とモーラステープ群だけで約14億7000万枚も処方されていることが分かった。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省が医科や調剤レセプト等の情報を集めて格納した、国の「ナショナルデータベース」(NDB)のオープンデータを初めて公表しました。糖尿病用薬「メトグルコ錠250mg」が約11億錠、高脂血症用薬は「クレストール錠2.5mg」が約7億錠と、具体的な処方数量から傾向を見ることができるようです。