”漢方”に強くなる! まるわかり中医学 更新日:2023.12.22公開日:2023.12.12 ”漢方”に強くなる! まるわかり中医学

知れば知るほど奥が深い漢方の世界。患者さんへのアドバイスに、将来の転職に、漢方の知識やスキルは役立つはず。薬剤師として今後生き残っていくためにも、漢方の学びは強みに。中医学の基本から身近な漢方の話まで、薬剤師・国際中医師の中垣亜希子先生が解説。

 第98回 「生姜(ショウガ)」の効能 温め&発散! 冷えや水のだぶつきを取り除く

日本人の生活にも馴染み深い生姜(ショウガ)。なんとなく、「身体に良さそう」「効果がありそう」といったイメージをもっている人が多いかと思います。今回は、中医学的なショウガの効能や使われ方を紹介しましょう。

1.生姜のはたらき

生姜は、薬でも食べ物でもある「はざま的存在の中薬」のひとつです。おいしくて・効能が強めで・入手しやすいため、薬膳にも頻繁に登場します。
 
中医学において、生姜は「辛温解表薬(しんおん・げひょう・やく)」に分類されます。辛温解表薬とは、その辛味と温かみの薬効により、風寒邪(ふうかんじゃ:冷えの邪気)を、温めつつ体外へ発散する薬物を指します。
 
「風寒邪がいる」状態とは、例えば、「寒気からはじまるタイプのカゼの初期」の状態のことで、背中がゾクゾクと寒気がして、発熱・悪寒が同時にみられる状況です。このようなときは、軽く発熱があっても不用意に解熱せず、「辛温解表剤(辛温解表薬が配合された処方のこと。処方例:葛根湯・麻黄湯・麻黄附子細辛湯・桂枝湯など)」を用いて、温めながら発散・発汗することで、冷えの邪気を追い出すとよいでしょう。
 
生薬や食べ物には四性(四気)と呼ばれる「寒・熱・温・涼」の4つの性質があり、さらに、温めもせず冷やしもしない、寒熱の偏りがないものは「平(へい)」と言います。生姜は「平」と「温」の間である「微温性」です。

 

■生薬や食べ物の「四気(四性)」

四性

生姜の四気五味(四性五味)は「微温性、辛味」なので、次のような作用があることが分かります。

 

● 微温性=温かい性質・温める性質。弱めの温性。
● 辛味=通(つう:通す)、散(さん:散らす)のイメージ。

 

また、生姜は「肺・脾・胃のグループ」に作用し、これを中医学では「肺経・脾経・胃経に作用する(帰経する)」と表現します。

2.生姜はどんな時に用いられるのか(使用例)

生姜の代表的な使用例を紹介します。具体的な例を見ていきましょう!

 

(1)ゾクゾク寒気からはじまるカゼの初期症状に
(2)“透明でサラサラと水っぽい”鼻水や痰に
(3)吐き気の緩和に
(4)生薬や魚介類に対する解毒に

 

(1)ゾクゾク寒気からはじまるカゼの初期症状に

生姜はその「辛味」と「温かみ(温性)」で、体表にある「風寒邪(ふうかんじゃ)=(風邪+寒邪)」を発散・発汗させて、体の外へ追い出します。
 
例えば、冬の寒さ・冷房による冷え・冷たい飲食・薄着による冷えなどがもたらす「寒気からはじまる風寒タイプのカゼ」の初期などに、生姜を用います。
 
「ゾクゾク寒気から始まって、悪寒と発熱が同時にみられる感染症の初期」の状況のことを「風寒表証(ふうかん・ひょう・しょう)」と言います。

 


 

軽い風寒表証であれば、後述のように簡単なショウガ湯などで対応できます。軽くなく、寒気が強い感染症の初期では、軽く発熱があっても不用意に解熱せず、ショウガ・桂枝・麻黄などの辛温解表薬を配合した処方「辛温解表剤(しんおんげひょうざい/例:葛根湯・麻黄湯・麻黄附子細辛湯・桂枝湯など)」を用いて温めながら発散することで、冷えの邪気を体の外へ追い出すとよいでしょう。
 
おおざっぱに言えば、「証(しょう)」は「病気の機序(=病機)」などのこと、「表証(ひょうしょう)」とは感染症の初期段階であること・病気の位置(病位:びょうい)が身体の表面であることなどを意味します。「表証」を決定づける特有の症状は、「悪寒・発熱」が同時にみられることです。
 
「表証」以外は、すべて「裏証(りしょう)」になります。「裏」とは、身体の深部、つまり、内臓のことを指します。中医学はいつも陰陽学説とともにあり、「表」が陽で、「裏」が陰になります。

 
🔽 陰陽学説について解説した記事はこちら

 

「六淫(りくいん・ろくいん/風・寒・暑・湿・燥・火の6つの邪気)」のなかで、「風邪」は「陽邪」であり、「陽位(ようい:陽の位置)」=「上の方、表の方」を侵しやすい性質、症状の変化がとても早い性質などがあります。
 
「風邪」は「百病の長」と言われるように、六淫の中でも主要な発病因子です。「風邪」は、そのほかの邪気と組み合わさって「風寒」「風熱」「風湿」「風燥」の邪となって人体を襲います。
 
私たち日本人が「感冒」「普通感冒」のことを、何気なく「風邪(カゼ)」と呼ぶのは、中医学のこれらの理論からきています。
 
ひとことでカゼと言っても、多くの証があり(=多くのカゼのタイプがあり)、選ぶ漢方薬も違ってきます。「カゼなら葛根湯!」「インフルエンザには麻黄湯!」と決めつけて飲んでしまうと、場合によってはむしろ悪化させることもあり、漢方のカゼ薬は「証」による飲み分けが重要です。

 
🔽 漢方と風邪について解説した記事はこちら

 

(1)漢方薬の飲み分けを間違えないこと、(2)おかしいなと感じたらすぐさま飲むこと、(3)できれば養生をプラスして効果を高めること、この3点がカゼをはじめとした感染症の初期対策の漢方薬を効かせるコツです。
 
西洋医学と違って、中医学では病名が分かっただけでは、治療方針や投薬内容を決定できません。症状や舌診・脈診などの情報から分析して、まずは証を明らかにします。証が分かれば、おのずと治療方針や処方が決定します。

 
🔽 中医学の診察法「四診(ししん)」について解説した記事はこちら

 

逆に言えば、病名が分からなくても証が分かれば、治療方針は立てられます。これが、病名がつかないような状況に、中医学が対応できる強みの根拠です。

 

(2)“透明でサラサラと水っぽい”鼻水や痰に

生姜は、寒邪による「透明でサラサラした水っぽい状態」や、湿邪による「透明~白色で粘稠(ねんちゅう:粘り気のこと)、かつ大量で、泡が立つこともあり、食後やたくさん食べた後に悪化しやすい状態」の鼻水、痰を治療する漢方薬に配合されます。
 
おおざっぱに言えば、上記のタイプの鼻水や痰は、体内が冷えていること(=寒邪)が原因なので温めながら治していきます。反対に、黄~緑色でネバネバした鼻水や痰は熱がこもっているので、冷やしながら治します。

 


 

同じ鼻水・痰でも内容が真逆なので、たいていの漢方薬局のスタッフは、鼻水や痰の「色・質・量・どういう時に悪化するか(軽減するか)」を念入りにチェックするはずです。でないと、漢方薬を選べません。そのため、漢方薬局の玄人の患者さんは、しっかり観察する習慣がついてきます。
 
例えば、「普段からタバコを吸っていて、感染症でなくても日常的に痰が黄色い」「朝一番は黄色いけれど、日中は透明…」などの情報も重要です。

 

(3)吐き気の緩和に

吐き気・嘔吐・げっぷなどは、本来なら下向きに働くべき「胃の気」が、「上逆(じょうぎゃく:本来と逆の上向きに働いていること)した状態」であると考えます。生姜は、逆向きになっている気を散じて嘔吐を止めます。特に胃が冷えて胃気(胃の気)が上逆している悪心・嘔吐に有効です。
 
このように、胃を温めて、嘔吐や吐き気を止める作用のことを「温胃止嘔(おんい・しおう)」と言います。胃が冷えている「胃寒の嘔吐」には、生姜が中心的な薬として用いられ、単味あるいは半夏(はんげ)などの他の止嘔作用のあるものと組み合わせて使われます。

 


 

胃に熱がある「胃熱の嘔吐」にも、胃熱を冷ます黄連(おうれん)や竹茹(ちくじょ)などと一緒に生姜が用いられます。脾胃(≒消化器系)の不調は、熱がある場合であっても(炎症や化膿がある場合も含む)、寒涼性の生薬に温める生薬を配合した方が、全体のコンディションが整いやすく治療効果が高まることが多いです。
 
以前、漢方薬局に、手慣れた様子で薬膳材料を購入しに来局した女性がいました。その方は抗がん剤治療中で、「色々試したが、私の場合は陳皮と生姜を煮て飲むのが、吐き気に一番効く」とおっしゃっていました。そして、放射線治療の副作用のほてり対策や気力・体力をつけるために、白きくらげ・なつめ・クコの実を煮て食べるとのことでした。どちらも中医学(薬膳)の臨床では有名な使い方です。

 
🔽 白きくらげの効能について解説した記事はこちら

 
🔽 ナツメの効能について解説した記事はこちら

 
🔽 クコの実の効能について解説した記事はこちら

 

(4)生薬や魚介類に対する解毒に

生姜は、半夏(はんげ)や天南星(てんなんせい・てんなんしょう)などの毒性のある生薬の解毒として、組み合わせて用いられます。そのほか、魚介類の中毒による下痢や嘔吐の解毒として、生姜を単味で、あるいはシソと組み合わせて用います。
 
代表処方は、香蘇散(こうそさん)です。お寿司やお刺身のそばに、ガリ(ショウガの甘酢和え)やシソが添えてあるのは、この毒消し・解毒も理由のひとつです。

3.生姜の効能を、中医学の書籍をもとに解説

ここでは中薬学の書籍で紹介されている生姜の効能を見ていきましょう。効能の欄には、四字熟語のような文字が並んでいます。一瞬ギョッとするかもしれませんが、漢字の意味から効能のイメージを掴むのに役立ちます。

生姜(ショウキョウ)

【分類】
辛温解表薬

【処方用名】
生姜・鮮生姜

【基原】
ショウガ科ZingiberaceaeのショウガZingiber officinale ROSC.新鮮な根茎。
日本では、乾燥していない生のものを鮮姜、乾燥したものを生姜あるいは乾生姜ということもあるので注意が必要である。

【性味】
辛、微温

【帰経】
肺・脾・胃

【効能と応用】
(1)散寒解表(さんかん・げひょう)
風寒表証(ふうかんひょうしょう)に、辛温解表薬(しんおんげひょうやく)の補助として用い、発汗を増強する。
方剤名)桂枝湯(けいしとう)・荊防排毒散(けいぼうはいどくさん)

(2)温胃止嘔(おんい・しおう)
胃寒による嘔吐に、単味であるいは半夏などと使用する。
方剤例)小半夏湯(しょうはんげとう)
胃熱の嘔吐にも、黄連(おうれん)・竹茹(ちくじょ)などと用いる。
方剤例)橘皮竹茹湯(きっぴちくじょとう)

(3)化痰行水(かたん・ぎょうすい/けたん・ぎょうすい)
風寒による咳嗽・白色で希薄な痰などに、紫蘇(しそ)・紫苑(しおん)・杏仁(きょうにん)・陳皮(ちんぴ)などと用いる。
方剤例)杏蘇散(きょうそさん)・参蘇飲(じんそいん)

(4)解毒
半夏(はんげ)・天南星(てんなんせい・てんなんしょう)の解毒に、生姜で炮製する。半夏・天南星の中毒で喉舌がしびれたときには生姜汁を冲服するか生姜を水煎服する。
魚蟹の中毒による嘔吐・下痢に、単味であるいは紫蘇と用いる。

【参考】
(1)調味開胃するので大棗とともに補益剤に配合する。
(2)日本では、「生姜」として中国で言う「乾姜」を使用していることが多く、薬効上問題である。また、生のものの用量を乾燥品の量と間違えると、辛くて服用できないだけでなく、悪い作用が起こることもあるので、十分に注意が必要である。

【容量】
3~9g。煎服。

【使用上の注意】
傷陰助火するので、陰虚火旺の咳嗽や瘡廱熱毒には禁忌である。
 
※【分類】【処方用名】【性味】【帰経】【効能と応用】【参考】【用量】【使用上の注意】は『中医臨床のための中医学』(医歯薬出版株式会社)より部分的に引用(【臨床使用の要点】は省略しています)

このように、生姜は身体を温め、発散力が強いのが特徴です。その発散力・発汗力により、風寒邪を外に追い出します。寒湿邪が原因で透明~白色の鼻水や痰がある(+そのせいで咳やくしゃみが出る)、吐き気や嘔吐、お腹が冷えている状況に対して、辛味と温熱性により体内を乾燥させてダブついた水を解消します。

4.生姜の注意点

日本でも一般的に「生姜は体によい」というイメージがありますね。ふつうの薬味程度・調味料程度に使うのであれば、その理解・感覚でよいように思います。
 
以前、冷え性だからと3食どのお料理にも大量の刻み生姜をかけて食べるという人をテレビで見たことがあり、ビックリしました。そのような生活を長年して、冷え性が本質的に良くならないのであれば、そもそも治し方が間違っているかもしれません。
 
冷え性を引き起こす機序はけっこう種類がたくさんあり、複雑で、治療法もいろいろです。基本的に生姜の使い方はそこまで神経質にならなくてよいのですが、使い方や使う量を間違えれば弊害があることをいちおうお知らせしておきます。

 


 

温熱性で辛味のある薬食は、強く温めて体内を乾燥させるため「傷陰(しょういん)=潤いを傷つけて損なう」、「助火(じょか)=火を助ける=不必要な火、邪気の火を増やしてしまう」恐れがあります。これは、唐辛子・桂皮(≒シナモン)・ヒハツ・乾姜・丁子・胡椒・小茴香・山椒など、多くの「辛味・温熱性のスパイス」に当てはまります。
 
特に、「陰虚(いんきょ)=清らかな潤い不足」「陰虚火旺(いんきょ・かおう)=潤い不足のせいで相対的に火が生まれている人」は、もともと体内が乾燥して枯れている上に、なにかと火がともりやすい体質です。生姜などの辛温性、唐辛子などの辛熱性のもの(上述のスパイス類)は多く摂り過ぎないようにしましょう。
 
同じ理由で、赤く炎症・化膿しているような皮膚病や、そこまでいかなくても赤みのある皮膚トラブルのある人は、辛熱性・辛温性の薬食(薬物や食事)によって、悪化するリスクが高いので注意が必要です。例えば、唐辛子などの辛味で温熱性の香辛料類(上述)、にんにく・長ネギ・玉ねぎ・ニラ・らっきょうなどの辛味のある野菜類などは控えるとよいでしょう。
 
また、脾胃虚弱の人(≒消化器系の弱い人)は、生姜で発散するだけでなく、生姜+なつめ、生姜+山芋類のように、脾胃の働きを助けるものと組み合わせて用いるとよいでしょう。

5.生の生姜と乾燥生姜の使い分け 

中国では(中薬学の教科書では)ナマのショウガを「生姜(しょうきょう)」、乾燥させたショウガを「乾姜(かんきょう)」と言います。漢字の意味そのままですね。しかし、日本ではなぜかナマも乾燥も「生姜」としがちです。「生=ナマ」と書いてあるのに……!
 
生姜と乾姜の効能は似ていますが、使い分けがあります。ざっくり言えば、生のショウガのほうが発散力が強く、より表(体の表面)に効き、乾姜(乾燥したショウガ)のほうがお腹などを温める作用が強く、より裏(体の内側・深い部分)に効きます。生のショウガが微温性であるのに対して、乾姜は温める作用がかなり強い大熱性です

6.生姜は「刻んで冷凍」が楽ちん

ナマの生姜は青果店やスーパーで、乾燥した生姜は漢方薬局で刻んだものや粉末が手に入ります。漢方薬局では医薬品レベルの高品質のものが安く手に入るのでおすすめです。ちなみに、ナマの生姜をスライスして、日干しや電子レンジ加熱などで乾燥させれば、乾燥生姜が自作できます。
 
チューブ入りや瓶詰めの生姜はとても便利ですが、私は買ったことがありません。私のように添加物が苦手&安くすませたい&手間はかけたくない場合は、チューブの代用になる【冷凍刻みショウガ】を作ってみてください! いつも生姜を使いきれない人にもおすすめです。
 
一度作っておけば、魚を煮るときも、肉を焼くときも、カレーを作るときも、スープや炒め物を作るときも重宝します。お料理に合わせて刻み方を変えるような丁寧さはありませんので、あしからず…! 長く保存し過ぎると霜がつくので、そこだけ注意です。

 

【チューブの代用“冷凍刻みショウガ”】
(1)ショウガ1袋を洗って、ちょっと汚いところを除く(除かなくてもOK)。
(2)粗みじん切りにする。フードプロセッサーやすりおろし器、包丁でも良いですが、「手動式のみじん切り機」が一番ラク。安いもので300円くらいから見つかります。
(3)チャック付きの保存袋に入れて平らにして冷凍する。
(4)使うときは、必要量をポキポキ折って使う。

 

冷凍刻みショウガ
(我が家のショウガ。汚くてごめんなさい)

7.ゾクゾク悪寒に特効! 刻み生姜のスープ

この原稿を書いているときに、夜遅くにトイレットペーパーを買いに半袖で外出したら、風寒邪にやられたようです。悪寒と頭痛がはじまったので、上述の冷凍刻みショウガを使って、超カンタンなスープを作りました。

 

生姜スープのレシピ

 

【レシピ:ゾクゾク悪寒がするカゼの初期対策スープ(超簡易バージョン)】
マグカップに“冷凍刻みショウガ”大さじ1くらい、塩・胡椒・醤油を適当に加え、熱湯を注いで出来上がり! 生姜はもっと多くてもOKです。

 

【レシピ:ゾクゾク悪寒がするカゼの初期対策スープ(もう少し美味しいバージョン)】
マグカップに“冷凍刻みショウガ”大さじ1くらい、塩・胡椒・味噌・無添加の粉末だし・ちぎったシソを適当に加え、ごく少量のゴマ油をたらし、熱湯を注いで出来上がり! 生姜はもっと多くてもOKです。塩や味噌の代わりに、塩麹や醤油麴にするとなお美味です。
 
調味料を入れるのすらしんどいときは、インスタントのお味噌汁やスープに生姜を足すだけでOKです。その際は、消化に負担がかからないよう、また、邪気を追い出す足かせにならないよう、こってりしていて油っぽいものは避け、さっぱりしていて具が少ないものを選んでください。

 

生姜スープ
(昨晩つくったもの。お土産の椎茸茶の粉末も入れてみました)

 

スープをふうふうして飲みつつ、首にタオルをまいて、首筋にかけてカイロなどで温めるとよりよいでしょう。汗をかくので、身体が冷えないように事前にタオルや着替えを準備しておくとよいですね。それらが寒い場所にあるなら、他の人に持ってきてもらえると新たに寒邪を受けずに済みます。私はこの方法で、じわっと汗をかいて治りました。
 
食材の効能や注意点、どのような時に適しているのかといった基本をおさえれば、簡単に、ラクしておうち薬膳ができます。
 
「簡単で、ラク」であることはとても重要です。そうでなければ、日常に活用できないからです。
 
薬膳は、レストランでたまにいただくものではなく、庶民が日々の中で自分や家族のために活用し、役立てていくべき暮らしの知恵です。ぜひ、これからの寒い冬にじょうずに生姜を活用してみてくださいね。

 
 
参考文献:
・小金井信宏(著)『中医学ってなんだろう(1)人間のしくみ』東洋学術出版社 2009年
・丁光迪 (著)、小金井 信宏 (翻訳)『中薬の配合』 東洋学術出版社 2005年
・凌一揆(主編)『中薬学』上海科学技術出版社 2008年
・中山医学院(編)、神戸中医学研究会(訳・編)『漢薬の臨床応用』医歯薬出版株式会社 1994年
・神戸中医学研究会(編著)『中医臨床のための中薬学』医歯薬出版株式会社 2004年
・翁 維健 (編集) 『中医飲食営養学』上海科学技術出版社 2014年6月
・日本中医食養学会(編著)、日本中医学院(監修)『薬膳食典 食物性味表』燎原書店 2019年
・許 済群(編集)、王 錦之 (編集)『方剤学』上海科学技術出版 2014年
・神戸中医学研究会(編著)『中医臨床のための方剤学』医歯薬出版株式会社 2004年
・伊藤良・山本巖(監修)、神戸中医学研究会(編著)『中医処方解説』医歯薬出版株式会社 1996年
・李時珍(著)、陳貴廷等(点校)『本草綱目 金陵版点校本』中医古籍出版社 1994年
ウチダ和漢薬『生薬の玉手箱 生姜・乾姜(ショウキョウ・カンキョウ)』
小池宙ほか(著)『生姜と乾姜の定義について江戸時代と現代日本漢方での違いとその経緯についての一考察』
第十八改正日本薬局方名称データベース 検索結果
公益社団法人東京生薬協会ホームページ『新常用和漢薬集(生姜)』
武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園『ショウガ』

 
 
 

中垣 亜希子(なかがき あきこ)

すがも薬膳薬局代表。国際中医師、医学気功整体師、国際中医薬膳師、日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー、管理薬剤師。
薬局の漢方相談のほか、中医学・薬膳料理の執筆・講演を務める。
恵泉女学園、東京薬科大学薬学部を卒業。長春中医薬大学、国立北京中医薬大学にて中国研修、国立北京中医薬大学日本校などで中医学を学ぶ。「顔をみて病気をチェックする本」(PHPビジュアル実用BOOKS猪越恭也著)の薬膳を担当執筆。

すがも薬膳薬局:http://www.yakuzen-sugamo.com/

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