ビューティー
更新日:2020.03.05公開日:2015.11.13 美容&健康トレンド薬剤師兼美容家として活動する花田真理さんが、「薬剤師として知っておきたい美容の知識」「手軽にできるヘアアレンジ」など、“薬剤師と美容”をテーマに語るコラムです。
乾燥肌の対策について
乾燥肌を予防したり改善するためには、「角質層を整え、バリア機能を回復させる」ことが大切です。
角質層を整えるのは、前回お伝えした「皮脂膜」、「NMF(天然保湿因子)」、「細胞間脂質」の3つ。バリア機能の回復にはこの3つの物質が欠かせません。そのためにはこれらを「落としすぎない」「こすりすぎない」「外から補う」ことが大切です。一つずつ実践していきましょう。
落としすぎない・こすらない
まず、「落としすぎない」という点について説明します。
「落とす=クレンジング・洗顔」をイメージしてください。クレンジングや洗顔を行うことは大切ですが、洗いすぎると乾燥が進行してしまいます。
クレンジングや洗顔をすると、お肌の汚れや余分な皮脂を落とせますが、皮脂膜やNMF(天然保湿因子)、細胞間脂質も多かれ少なかれ洗い流されてしまいます。もちろん、肌には失った皮脂膜やNMF(天然保湿因子)、細胞間脂質を回復させる機能があるので回復はしますが、洗顔回数が多すぎると回復が間に合わず乾燥が進行する原因になってしまいます。
【注意したいこと】
- 顔を洗うときはぬるま湯(32℃程度)で行いましょう。
- お風呂の温度は38~40℃程度にしましょう。
- 長時間の入浴はやめましょう。
- メイクのクレンジングには時間をかけすぎないようにしましょう。
- 石鹸や洗顔剤はきめ細かく泡立てた泡をたっぷり肌にのせ、やさしく洗いましょう。(ゴシゴシこすらないこと)
- 乾燥がひどいときは洗顔料の使用は夜のみにし、朝はぬるま湯でかるくすすぐ程度にしましょう。
- 洗浄力の強いクレンジング剤や洗顔剤を使わないようにしましょう。
- タオルで顔や身体をふくときはやさしく、肌についた水分を吸い取るようにしましょう。
外から補う
加齢などによりNMF(天然保湿因子)や細胞間脂質の生成力が衰えている場合や、肌が回復しないレベルにまで乾燥が進行している場合などは、不足している分を外から補うとよいでしょう。
NMF(天然保湿因子)の大半を占める成分であるアミノ酸や、細胞間脂質の約半数を占めるセラミドなどの成分が配合された化粧水や美容液で補給することができます。あるいはセラミドを作り出すのをサポートする成分(ユーカリ抽出液やライスパワーNo.11エキスなど)を補給することで肌内部が潤うようにするとよいでしょう。
【注意したいこと】
- 洗顔後はすぐに保湿をしましょう。
- 身体の乾燥がひどい場合は、入浴後すぐに保湿ローションや保湿クリームなどを全身に塗りましょう。
- パック(シートマスクやコットンパックなど)を長時間するのはやめましょう。
パックを長時間するとシートマスクやコットンが乾燥し、肌の水分が逆に奪われてしまったり、角質層の細胞間脂質や天然保湿因子を流出させ、乾燥を悪化させることがあります。 - スキンケア商品を選ぶときは見かけ上の「保湿(とろみやべたつき)」ではなく、NMF(天然保湿因子)や細胞間脂質の成分がしっかり配合されているものを選びましょう。
- 刺激になりやすい成分(アルコール、精油など)の入っていないものを選びましょう。
最後に
乾燥肌の人は刺激の強い成分が配合された化粧品を使用すると、かぶれなどの肌荒れが起きてしまうことがあります。
刺激の強い成分としてアルコールは有名ですが、近年、商品数が一気に増えたオーガニック化粧品や、ナチュラルコスメには精油や刺激になりやすい成分が含まれていることもあり注意が必要です。
また「セラミド配合」と書かれている保湿剤や化粧品でも、配合量が低いものではあまり使用する意味がありません。セラミドは比較的高価な原料なので、安価な商品にはあまり配合されていない傾向にあります。アイテムや量にもよりますが、4000円以上のものを選ぶといいかもしれません。
乾燥肌はスキンケアだけで改善できる場合もありますが、ストレスや睡眠不足、過激なダイエットなど生活習慣の乱れが原因で起こっている場合もあります。スキンケアに加えて、栄養バランスのよい食事を摂ることや規則正しい生活を送ることも大切です。
乾燥しやすい冬は加湿器で湿度のコントロールも忘れず行いたいですね。
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