医薬ニュース楽読 公開日:2020.11.26 医薬ニュース楽読

最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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病院・クリニック・介護事業者・薬局関係者が一堂に会する、医療と介護の総合展「メディカルジャパン」が10月14~16日に幕張メッセにて開催されました。この中の次世代薬局EXPOでは、オンライン服薬指導やオンライン資格確認、電子処方せんなど、デジタルデバイスを活用した最新のトレンドについて、次世代薬局のあり方をテーマに多種多様な講演と展示が行われました。そのなかから、いま薬剤師がおさえておくべき業界トレンドを厳選して紹介します。

医療と介護の総合展「メディカルジャパン」で見た次世代の薬局トレンド

ラク~にまとめ読み

2020年10月14日から3日間にわたり医療と介護の総合展「メディカルジャパン」が幕張メッセで開催。次世代薬局EXPOでは、デジタルデバイスを活用した新サービスの展示や講演などが行われ、医療関係者・薬局関係者の関心を集めた。

調剤薬局で物販50万円を達成した手法とは?

「薬局の物販戦略」の講演では「物販から始める店舗改革の実践・実例」をテーマに(株)ビューティドラッグサイトウ・サイトウ薬局うらわ岸町店の渡部敦店長が登壇。調剤薬局でありながら、物販で月間50万円以上の売り上げを達成した手法について講演しました。

渡部氏は「薬局の安定運営に欠かせないコミュニケーションスキルを磨くために物販は効果的。店舗の総合力を上げるためにも、ぜひ薬局で物販に取り組んでほしい」と説明しました。物販を通じて地域の健康拠点としての存在感を発揮した結果、◇コロナ禍でも新規顧客を獲得◇薬局長でありながら有休、育休、介護休暇などを取得◇地域支援体制加算を始めとする各種加算を取得――などの波及効果があったと紹介しました。

具体的な方法としては、例えばドラッグストアと異なり調剤薬局は入店から退店まで、患者の動線をコントロールできる点が強みだと指摘。待合時の目線や投薬カウンターなど「必ず視界に入る“ゴールデンゾーン”(下図参照、図はサイトウ薬局提供)を上手に活用すれば、商品も勧めやすいし、患者様が感じる“体感の待ち時間”が減るため、一石二鳥です」としました。

投薬時は患者さんの目線を確認し、商品を見ているとわかったら「スタッフのお気に入りですよ」などの会話をきっかけに、リアクションを確認しつつ話題をふるといいとしました。このほか健康食品グッズを詰めた福袋を企画したり、フットケア指導士と連携したフットケアを提供したりするなど、地域住民の健康のためにスタッフ全員が様々なアイディアを出し合うことが、薬局運営に大きくプラスになっていることを強調しました。

年間8億回の顧客との接点をもつ、販売チャネルとしての可能性

「マーケティング視点で捉える薬局物販のあり方」をテーマにした講演には、(株)YRK andチャネルプロデュース事業部健康寿命延伸チームの大西文太マネージャーが登壇。薬局業界の外から見た薬局の販売特性について解説しました。

大西氏は「全国で年間8億枚の処方せんを受け付けるということは、対面でのコミュニケーションが8億回は発生しているということ。インターネットでの販売が増える中、確実に顧客と対面で接点が持てる薬局は、販売チャネルとして大きな注目が集まっています」と説明。リアル店舗だからこそ価値を提供できる、薬局とのコラボレーションを希望する他業種が増えている現状などを解説しました。

テクノロジー活用による地域密着型かかりつけ薬局の進化

「次世代薬局のあり方~大手調剤薬局と大手ベンダーの視点~」では、「well being社会の実現を目指す次世代薬局の行方」をテーマに(株)ココカラファインの塚本厚志代表取締役社長が登壇しました。

塚本氏は「キュア」「ケア」「ファイン」をキーワードに未病への取り組みや医療、介護の地域連携などに力を入れている取り組みを紹介。また、デイサービス利用者の不調を介護スタッフがキャッチし、訪問診療へとつなげていった事例を引用し「1人の患者様、利用者様を中心に、専門職が連携してキュア・ケア・ファインを実現している」としました。

このほかデジタルデバイスに関する今後の見通しについても言及しました。同社のお薬手帳アプリはすでに25万ダウンロードを数え、毎月、ダウンロード数が増えています。処方せん画像送信機能も1月当たり2万件を超え、「利便性の高さから今後はさらに普及するでしょう」と見通しました。また、オンライン服薬指導についてはMICIN(マイシン)のオンライン服薬指導ツールcuron(クロン)を導入し、小児、精神科などを中心に、患者から広く好評を博していることが紹介されました。

オンライン資格確認で月間7~8万円の未回収金を防止

メーカーの立場からは(株)EMシステムズの大石憲司取締役会長が「次世代薬局に求められる“システム像”」をテーマに講演。調剤、医科、介護の3分野のサービスに対応している強みを生かし、テクノロジーを活用した地域ネットワークの構築への取り組みなどを紹介しました。

電子処方せんについては、厚生労働省・経済産業省・総務省の3省連携で実施した「健康情報活用基盤実証事業」に参加した際の成果を報告。処方情報を電子化することによって「(Do処方による)繰り返しの疑義紹介が大幅に減った」など、薬局業務の効率化に大きな効果があったとしました。

また、オンライン資格確認については、広島県の協会けんぽおよび約300の薬局が参加する実証実験を紹介。各種データを参照すると、処方せん全体の1~2%は資格切れによる返戻になっていることから、ごく大まかな試算として1薬局あたり7~8万円の損失を出していると指摘しました。その上で「未回収金を回収する作業は事務員に大きな負担となり、薬局経営にも損失は小さくない。これを防ぐことのできるオンライン資格確認は、すべての薬局で導入するメリットがある」と話しました。

服薬フォローや在庫デッドストックの流通など様々な展示

同時に開催された展示会では、オンライン服薬指導や薬局業務の効率化、患者フォローアップなどに関する様々な機器・システムの展示でにぎわいました。

株式会社ユニケソフトウェアリサーチは、リリース予定の電子薬歴レセコン一体型システム「ピーキューブエヌ」を展示。同システムは、対人業務へとシフトする薬局業務をサポートするためのシステムが搭載された、次世代型電子薬歴です。「頭書き情報」と「薬歴記入」の連携を実現し、薬歴入力に関する負担を大きく削減したほか、薬局ごとにカスタマイズできる薬剤別ガイダンス機能などが搭載されています。このほかSNSを活用した継続的な服薬フォローサービス「フォロナビ」も展開。電子薬歴と連携し、設問コンテンツなどを活用しながら、LINEを使って患者とのコミュニケーションをサポートします。

電子薬歴レセコン一体型システム「ピーキューブエヌ」には服薬フォローサービス「フォロナビ」も標準搭載されており、フォローアップの経過も管理しやすい。イメージ画像はユニケソフトウェアリサーチ提供。※開発中商品のため実際の商品とは変更される可能性があります。

株式会社リバイバルドラッグでは薬局でデッドストックとなった医薬品を会員間で融通し合う「リバイバルドラッグ」を展示しました。リバイバルドラッグは、デッドストックの医薬品を段ボールにつめて宅配便で送るだけというシンプルな仕組み。蒲谷亘代表取締役は「薬剤師会などでも同様の仕組みはありますが、同一地域内では不要になる医薬品も似通っていて、うまく機能しません。そこで会員間でできるだけ医薬品の廃棄をなくすためにシステムを立ち上げました」。新型コロナの感染拡大による受診控えなどが影響したのかは不明ですが、4月以降会員数は大幅に伸びて、2019年12月には4181件だったものが2020年10月時点では5000件を突破したということです。

台湾発のH2株式会社は、AI(人工知能)搭載型の健康管理アプリ&医療者向けプラットフォーム「シンクヘルス」を紹介しました。シンクヘルスは、患者さんが血糖値・血圧・体重などの測定データや、食事・運動・薬などの日常生活をアプリで記録し、医療者はその健康データをプラットフォームで確認できます。医療者は受診や来局の間の日常的な健康データを治療に生かすことができ、患者さんは自身の体調を正確に把握できるメリットがあります。また大京アステージ株式会社が管理する約1100世帯の住民を対象に、アプリのチャット機能やデータ共有機能を使い、有限会社プライマリーファーマシーや薬樹株式会社など、提携薬局に健康相談ができる実証実験もスタートしました。大京アステージは高齢化等による生活習慣の改善や健康増進に関する居住者のニーズに応える一方、提携に加わった薬局は、今までつながりが持てなかったマンション居住者と、チャットなどの健康相談を介して関係が生まれ、将来的に居住者が気軽に処方箋を持ってくるケースが期待できます。

 

取材・執筆/横井かずえ

医療ライター。医療系の専門紙「薬事日報」の記者として13年間、日本医師会、日本薬剤師会、厚生労働省などを担当。独立後は医療・介護・ヘルスケア分野を中心に取材、執筆。現在は、医師向けドキュメンタリー誌や介護情報誌『あいらいふ』、ケアマネ向け在宅情報誌『ふれあいの輪』などで執筆するほか、ニッポン放送・草野満代の『健康あるあるWONDER4』などで一般向けの情報発信を行っている。
■サイトURL:https://iryowriter.com/
■Twitter:@yokoik2

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