ブックレビュー

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知識を実務に生かすために学び直したい人へ

くすりのかたち
もし薬剤師が薬の化学構造式をもう一度勉強したら

【書籍概要】

化学構造式や有機化学の知識を、毎日の薬剤師業務で活用するための方法をまとめた1冊。なぜ化学構造式を読むことが必要なのかという説明から始まり、そのために必要な基礎知識、基本骨格、置換基、部分構造のそれぞれを「読み解く」ための方法と手順をイラストや図解を使ってわかりやすく解説しています。
薬剤師として仕事をするなかで、もう一度知識を整理したい人や、毎日の業務をレベルアップさせたい人におすすめです。

COLUMN

薬剤師の実務に知識を結びつけるのは意外と難しいもの。気がつくと目の前の業務に追われ、学生時代に学んだ知識などすっかり忘れてしまった……という方も多いのではないでしょうか。そもそも、なぜ今さら化学構造式を学び直さなくてはならないのかと疑問に思うかもしれません。しかし、これからの薬剤師には患者さんに「より新しい情報」を提供することが求められていると著者はいいます。
 

最近は、添付文書の内容を患者さん自身がインターネットで調べることが容易になりました。薬局での処方時に薬の説明をすると「そんなのもう知っているよ」と言われてしまうことも少なくないとか。予備知識をもって薬局を訪れる患者さんの対応はますます多くなり、薬剤師はとても神経を使うことになります。

 

たくさんの情報があふれている今、情報に惑わされ、不安を感じている患者さんはたくさんいます。そのような不安に対して薬剤師ができることは、専門知識に基づいた、より高度な情報の提供ではないでしょうか。添付文書に書かれている内容をそのまま説明するのではなく、専門家として一歩進んだ知識が提供できれば、それは患者さんにとって大きな安心感になるはずです。さらに、薬剤師と患者さんとの信頼関係づくりにもつながるのではないでしょうか。

 

また、化学構造式を理解することは、医師とのコミュニケーションにおいても役立ちます。本書で例に挙げられているのは、特定の薬への過敏症を持つ患者さんへの処方について、医師から電話で問い合わせがあったというケースです。提案した薬に対して「本当に大丈夫なのですね?」と聞かれた場合も化学構造式を理解していれば、それを根拠にしっかりと説明ができます。このような状況において、「添付文書の禁忌薬剤に書いていないから大丈夫です」と答えるだけでは少々説得力に欠けるでしょう。また、「調べて折り返し連絡します」では、すぐに返事の欲しい医師は不満を感じるかもしれません。化学構造式を使いこなすことで、質問に対してその場できちんと自信を持って回答でき、調剤の専門家としての仕事の質の向上にもつながるのです。

 

本書では、医療現場でよく使われる処方薬を例に挙げ、その化学構造式を読み解くための考え方が具体的に紹介されています。また、医薬品だけでなくトクホ製品の化学構造式が紹介されていたり、化学構造式を読むことで国家試験問題を解く方法が解説されていたりと読み物としても楽しむことができます。図解やイラスト、実際の添付文書からの抜粋なども多く、化学構造式に苦手意識がある人や、もうすっかり忘れてしまったという人でも読みやすくまとめられた1冊です。

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