ブックレビュー 公開日:2015.05.13更新日:2021.01.20 ブックレビュー

薬剤師としての働き方を考える1冊

がんばろう薬剤師 − 医療貢献のための道を探る

【書籍概要】
薬剤師、研究者である著者が、薬剤師として身につけるべき技術や知識、これからの薬剤師のあり方についてまとめた本。著者の髙村氏は大学病院に薬剤師として勤務した後、九州保健福祉大学薬学部の教授として教鞭をとり、臨床技術の研究にも従事。そのなかで見えてきたのは、薬剤師という仕事が一般はもとより医療関係者の間でも十分に理解されていない現状でした。
「なぜ、今日まで薬剤師が主役の感動のドラマやドキュメンタリーが存在しなかったのだろうか?」
本書ではこのような疑問を切り口に、薬剤師とは何か、薬剤師として身につけるべきスキルを改めて問い直します。さらに、現在の薬剤師養成の現場が抱える問題を提起し、それに対する解決策も提示するなど読み応えのある1冊です。

薬剤師の業務は患者さんだけでなく医療関係者にも意外と知られていないもの。それを表した実例として著者が挙げるのが、医師や看護師が主人公のドラマは存在するのに薬剤師のドラマはないという事実。「つまり『薬剤師の仕事は、皆に感動を与えない』ということになる」と著者は危惧します。これは社会全体の問題であるとして、その解決策をまとめたものが本書です。
著者がくりかえし強調しているのは、薬剤師が業務のなかで感動体験を得られるようになることと、若手の憧れとなるような薬剤師の存在の必要性です。これはどのような職業でも同じかもしれません。仕事のなかで「やってよかった」と思えるような感動体験をすることや、自分もそうなりたいと思える魅力的な先輩に出会うことは、大きなモチベーションとなるはずです。そのような強いモチベーションを持ってこそ、大変な仕事でも続けることができるし、そのやりがいを後輩に伝えることができるはずです。

 

ご存知のとおり、2006年度より薬学部は6年制になりました。この新たな薬学教育で必要なのは、「治すマインド」を持ち、目の前の患者さんに向き合う力を持った薬剤師の養成だと著者はいいます。そして、そのためには薬学的実践技術(薬術)を開発し、同時に全国各地に散らばる成果を上げている指導薬剤師の実践技術を集めることが必要とのこと。本書では、著者が提唱するこの「薬術」についても詳しい解説がなされており、現役薬剤師はもちろん、薬剤師教育に携わる人にも役立つ内容となっています。 

また、これから薬剤師を目指す高校生にも読みやすいように、薬剤師資格についての基本的な解説や用語説明も掲載されています。将来を担う若い世代に配慮した構成には、後進を育てることに力を注ぐ著者ならではの思いやりを感じます。そして、堅苦しい話だけではなく、気軽に読めるコラムも充実。「トホホ薬剤師」という失敗談を集めたコーナーでは、薬剤師なら思わず笑ってしまうような「あるある」というエピソードが掲載されています。薬剤師としての働き方・生き方について改めて考えてみたい人は必読の1冊です

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