薬剤師の接遇マナー・テクニック 更新日:2023.03.23公開日:2015.06.24 薬剤師の接遇マナー・テクニック
困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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「コミュニケーション能力」を高めるには?
「コミュニケーション能力」を高めるには?

職場の上司や先輩から、「コミュニケーション能力をつけなさい」とよく言われます。私に足りない部分だからこその指導だとは思うのですが、具体的に何をすればよいのかわかりません。先生はどのような力が「コミュニケーション能力」だと思われますか?

Answer
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まずは「発信する力」を磨くところから

あくまでも私自身の考えですが、コミュニケーション能力というのは「発信する力」が大前提だと思っています。もちろん、一方的に発信してばかりでは双方向のコミュニケーションを図ることはできませんし、相手の話を聞くことも大切です。しかし、相手としっかり関わろうと思うなら、まずは自分が胸襟を開く。何はさておき、自分の考えをきちんと相手に伝えることが第一歩だと思います。
この相談者さんの場合、複数の方からコミュニケーション能力をつけるよう言われているので、おそらく言葉数が少なく、周囲の人からは「何を考えているのか、今ひとつわからない」と思われているのではないでしょうか。こうしたコミュニケーション能力は、性格やこれまでの生き方の中で身についてきたものなので、一朝一夕に変えられるものではありません。日頃から意識して自分の思いを口にしてみる。そのくりかえしで実践的にスキルアップしていくしかありません。
 
しかし、最近は失敗を恐れ過ぎる人が多いような気がします。「こんなことを言ったら引かれるのではないか」、「変なイメージを持たれないだろうか」など、色々考え過ぎてしまうせいで、思ったことを口に出せずにいる人も多いのではないでしょうか。くりかえしますが、“相手に心を開いてもらおうと思ったら、まずは自分から”。たとえば、「私はそそっかしくて失敗ばかりなんです」と具体的なエピソードを披露すれば、相手も安心して「実は私も……」と話してくれるものです。

相手に必要とされる情報を提供できるようになったら上級者

なかには「特に言葉数が少ないことはないが、うまく周囲とコミュニケーションが取れない」という方もいるでしょう。そのような方は、もしかしたら肝心な部分を相手に伝えられていないのかもしれません。
自分のことを発信できるようになったら、次のステップ。「相手に必要とされる情報を発信する」に進みます。すれ違いや認識のズレの大きな原因は伝えた「つもり」になっていること。言葉数は多いのに、本当に伝えるべきことを伝えられていないのです。何を伝えるべきかを知るには、相手が何をしたいのか、どう行動するつもりなのか、想像する必要があります。
 
たとえば会社員の患者さんが昼休みを利用して薬局に処方せんを持ち込み、「会社帰りに取りに来ます」と言ったとします。その際、「わかりました。お待ちしています」と笑顔で答える。一見、コミュニケーションは成立しているようです。しかし「会社終わりに来るということは夜になるな」と想像することができれば、「念のため、薬局の営業は19時までですので、それまでにお越しくださいね」と一言添えられるのです。
ここまでできればかなりの上級者。相手の行動を読み取り、必要な情報を提供できる薬剤師を目指してください。

まずは自分の思いを口に出してみる。失敗を恐れず、ひたすら練習あるのみ!
まずは自分の思いを口に出してみる。失敗を恐れず、ひたすら練習あるのみ!

村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
株式会社スマイル・ガーデン : http://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: http://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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