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ビタミン類、漢方薬と判明‐ハーボニー偽造品を分析

薬+読 編集部からのコメント

2017年2月1日(水)、厚生労働省はC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」偽造品の分析結果を発表しました。それによると、まだら模様の薄い黄色の錠剤はビタミン類のサプリメント、薄い紫色の錠剤は一般用漢方製剤の小青竜湯だったということです。合わせて「もう偽造品はほぼない。今後、健康被害が発生する可能性もない」との認識を示し、関係者の行政処分も検討すると伝えられています。

流通ルートで健康被害なし

会見する伊澤課長(中央)
会見する伊澤課長(中央)

 

厚生労働省は1日、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品について、流通ルートをほぼ解明し、患者が服用したケースはなかったと発表した。奈良県内の薬局チェーンの関西メディコで発見された偽造品を分析した結果、まだら模様の薄い黄色の錠剤はビタミン類のサプリメント、薄い紫色の錠剤は一般用漢方製剤の小青竜湯だったことも明らかにした。厚労省は、薬事監視の観点から実施した調査が一つの到達点を迎えたとし、「今回のルートで偽造品はほぼない」と断定。健康被害の可能性もないとの見方を示した。今後は警察当局の捜査に委ねる考え。


 

厚労省は、ハーボニーの偽造品が関西メディコの薬局で5ボトル、東京都の卸売販売業者で9ボトル発見されたことを受け、奈良県、京都府、東京都、大阪府と連携して流通ルートの解明と偽造品の内容分析を急いできた。

 

今回明らかになった流通ルートによると、新たに東京都の卸売販売業者で1ボトル発見された。見つかった偽造品は計15ボトルとなり、これら偽造品は全て東京都の現金問屋とされる卸売販売業者1社から納入されたことが分かった。

 

偽造品を納入した関西メディコは、昨年5月以降、正規の取引先であるスズケン以外の卸売販売業者から「ハーボニー配合錠」の仕入れを開始した。奈良市のサン薬局平松店で患者が気づいた偽造品は、昨年12月26日に東京都の卸売販売業者1社が納入し、同日中に別の2社に次々と転売され、翌27日には生駒郡のサン薬局平群店、年明けの1月5日か6日に平松店に納入された可能性が高いという。厚労省は、偽造品を販売した卸売販売業者の納入先について「個人の可能性は否定できない」との見方を示している。

 

また、奈良県と東京都で発見された偽造品の分析結果も明らかにした。関西メディコで見つかった偽造品5ボトルの内容を国立医薬品食品衛生研究所などで分析した結果、まだら模様の薄い黄色の錠剤は複数のビタミン類を含むサプリメント、薄い紫色の錠剤は鼻炎や感冒の時に服用する一般用漢方製剤の小青竜湯だったことが判明。

 

C型肝炎治療薬「ソバルディ錠400mg」、「ハーボニー配合錠」と外観が似ている錠剤には、それぞれソバルディとハーボニーの正規品、東京都で発見された偽造品6ボトルには複数のビタミン類を含むサプリメントが入っていた。正規品が入っていた理由については不明という。

 

医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の伊澤知法課長は、「ビタミン類や漢方製剤の成分は、国内で容易に入手が可能なものであり、海外からの輸入品ではなく、国内で製造されたのはほぼ確実」との見方を示している。

 

さらに、奈良県が関西メディコの薬局でハーボニー配合錠の調剤を受けた患者62人に調査した結果、偽造品を服用したとの回答はなく、偽造品による健康被害はなかったことが明らかになった。厚労省は、一連の調査で流通ルートはほぼ解明されたと断定。「薬事監視の観点からは限界まで調査を行い、一つの到達点を迎えた」とし、「もう偽造品はほぼない。今後、健康被害が発生する可能性もない」との認識を示した。

 

今回見つかった偽造品は、薬機法に定められている外箱や添付文書がない状態だったことから、関係者の行政処分も検討する。処分の内容については今後、都道府県と協議していく考えだ。

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出典:薬事日報

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