FIMガイダンスを改訂~てんかん薬の死亡例受け
厚生労働省は、国内第I相試験を対象とした「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」を改訂した。エーザイの抗てんかん薬の被験者が死亡した事案を踏まえた対応。治験を行う医療機関内で精神科医などの診察ができることや有害事象が発現する可能性を医療機関と被験者に情報提供すること、有害事象を発現した場合の治験中止や緊急入院の実施などを追加。被験者保護をより徹底した内容となった。
改訂後のガイダンスでは、中枢神経症状を引き起こすリスクがある医薬品の治験を行う際、治験を依頼する製薬企業は、医薬品のリスクに応じて施設内で精神科医や神経内科医の診察可能な医療機関に依頼するほか、治験責任医師に精神科や神経内科の専門医を含めること、適切な観察期間を設定することなどを求めた。被験者の家族など、治験参加前から被験者の状況を知る人から情報を収集できるよう、予め同意を得ることも勧めている。
重大な転帰につながる可能性がある有害事象については、治験を行う医療機関に十分説明すると共に、被験者には文書で情報提供すべきなど、被験者への説明、情報提供も重視した。
重大な転帰につながる事象の発生に対応するため、心肺停止状態や意識消失などの緊急事態に対応できる設備を備え、医師を配置しておくべきとした。専門外の事象が発生した場合は、事前に専門医と連携し、迅速に対応できる体制を構築することを求めた。
被験者保護のため、必要であれば有害事象を発現した被験者に対する治験の中止、緊急入院の実施、入院期間の延長、家族に連絡することを求めている。中枢神経症状を伴う重大な転帰に陥る可能性がある際には、精神保健指定医の診察を受けるよう協力を求めることも盛り込んだ。
治験に参加するスタッフとして、臨床薬理学に精通した人や、医薬品の作用機序や予想される有害事象を理解し、臨床的な経験がある人との適切な協力関係があるべきとした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
昨年6月、エーザイの抗てんかん薬の被験者が死亡した事案を踏まえて、厚労省は国内第Ⅰ相試験を対象とした「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」を改訂しました。改定後ガイダンスでは、中枢神経症状を引き起こすリスクのある医薬品の治験を行う際、治験を依頼する製薬企業は、医薬品のリスクに応じて施設内で精神科医や神経内科医の診察可能な医療機関に依頼するほか、治験責任医師に精神科や神経内科の専門医を含めること、適切な観察期間を設定することなどを求めました。