「ゾフルーザ」承認取消しを~重篤副作用の死亡例受け
薬害オンブズパースン会議は、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」の承認取り消しなどを求める再要望書を、厚生労働省と製造販売企業の塩野義製薬に提出した。ゾフルーザについて2018~19年シーズンの重篤副作用による死亡が37例報告されたことなどから、「もはや承認を取り消すべき段階に至った」と主張。添付文書改訂の実施など安全対策の改善や、改正医薬品医療機器等法の先駆け審査指定制度の厳格な運用も求めた。
再要望書では、ゾフルーザについて、▽承認の取り消し▽副作用に対して積極的な安全対策を取らない現状を改めること▽改正薬機法の先駆け審査指定制度を厳格に運用すること――の3点を求めた。
承認取り消しに関しては、同剤が既存薬に比べて高い確率で耐性ウイルスを発生させる性質があり、使用継続により有効性が低下すること、「タミフル」より高い確率で死亡例が報告されていることを挙げ、昨年4月にも販売中止を求める要望書を提出していた。
今回、18~19年シーズンに報告された重篤副作用が348例501件で、そのうち37例の死亡例が確認されたことなどを踏まえ、「同剤の危険性を含めて総合的に評価すれば、もはや承認を取り消すべき段階に至った」と承認取り消しを求めた。
また、死亡37例のうち33例(89.2%)で、診療した医師が同剤と死亡の因果関係ありと判断しているにも関わらず、厚労省が「情報不足で被疑薬と死亡との因果関係が評価できない」としていることに対して、「使用上の注意改訂などの安全対策を行っていない対応は怠慢と言わざるを得ず、改めるべき」と厳しく指摘した。
改正薬機法の先駆け審査指定制度の施行については、「適用対象は改正前から厚労省が通知で定める指定要件を満たす場合に限ること」「一度指定した後も要件を満たさない場合は、速やかに指定を取り消すこと」を省令に明記し、厳格に運用すべきとした。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2018~19年シーズンの重篤副作用による死亡が37例報告されたことなどを受け、薬害オンブズパースン会議は、厚労省と塩野義製薬に対して抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ」の承認取り消しなどを求める再要望書を提出しました。2019年4月にも販売中止を求める要望書を提出していた同会議は「もはや承認を取り消すべき段階に至った」と主張。ゾフルーザが既存薬に比べて高い確率で耐性ウイルスを発生させる性質があり、使用継続により有効性が低下すること、「タミフル」より高い確率で死亡例が報告されていることを挙げています。