薬局の対人業務、手厚く評価~診療報酬改定案を答申
■「服用薬剤調整支援料2」に100点
中央社会保険医療協議会は7日、2020年度診療報酬改定案をまとめ、加藤勝信厚生労働相に答申した。調剤報酬では、調剤料と調剤基本料の一部を適正化して確保した財源を「薬剤服用歴管理指導料」や、薬局の対人業務の評価で新設される「服用薬剤調整支援料2」(100点)、「吸入薬指導加算」(30点)、「調剤後薬剤管理指導加算」(30点)、「経管投薬支援料」(100点)などの項目に振り向けた。18年度改定で新設された「地域支援体制加算」は、現行の35点を38点に引き上げ、より地域でかかりつけ機能を発揮できるような実績要件に見直した。病院薬剤師の病棟活動を評価する「病棟薬剤業務実施加算」は、加算1と加算2の点数をそれぞれ120点、100点に引き上げ、「常勤薬剤師2人以上」の要件も緩和した。
■調剤料「8~14日」は55点
調剤基本料は、1~3の点数を据え置いた。ただ、門前薬局や医療モールの薬局が該当する基本料2(26点)については、「処方箋受付回数が1800回超~2000回以下で、集中率が95%超」を新設。基本料3(21点)についても、新たに「同一グループで処方箋受付回数が月3万5000回超~4万回以下で、集中率95%超」を設けて範囲を拡大した。
敷地内薬局を想定した特別調剤基本料は、2点マイナスの9点に設定し、対象には同一建物内である場合を除いた「診療所敷地内薬局」を追加。集中率も現行の95%超から70%超に拡大した。
調剤料は、日数に比例した算定方法を見直した。これまで5点の日数倍だった「1~7日分」を28点、4点の日数倍だった「8~14日分」を55点にそれぞれ定額化した。
18年度実績では、1~7日分の調剤料が平均27点、8~14日分は61点だった。これを踏まえると、1~7日分は平均より1点上がるが、8~14日分は6点下がることになる。
「15~21日分」は3点プラスの64点、「22~30日分」は1点マイナスの77点とし、「31日分以降」は86点で据え置いた。
地域支援体制加算の実績要件は、基本料1を算定している薬局にとっては要件が厳しくなった。具体的には、▽麻薬小売業者の免許を受けている▽在宅患者薬剤管理の実績が年12回以上▽かかりつけ薬剤師指導料等にかかる届け出を行っている――の要件を満たすことが必須となる。
その上で、▽服薬情報等の文書での提供年12回以上▽薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席――のいずれかを満たす必要がある。ただ、基本料1の新たな実績要件が適用されるのは21年4月1日からで、それまでは現行規定を適用する経過措置期間が設けられた。
基本料1以外の薬局については、現行の8要件のうち、「麻薬指導管理加算10回以上」の要件を「調剤料の麻薬加算10回以上」に見直し、「薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に5回以上出席」の要件を新たに追加。9要件のうち八つを満たせば算定できる。
同一薬局の利用も推進する。薬剤服用歴管理指導料について、3カ月以内に再度お薬手帳を持参して来局した患者は2点プラスの43点、それ以外の患者は4点プラスの57点に見直す。低い点数と高い点数の差を広げることで、患者負担の少ない薬局を繰り返し利用してもらうことを見込んでいる。
かかりつけ薬剤師指導料は3点プラスの76点、かかりつけ薬剤師包括管理料は10点プラスの291点に設定。施設基準として患者のプライバシーに配慮するため、「パーテーションで区切った独立したカウンターを有する」を追加した。
外来患者の重複投薬解消に向けて処方状況を薬局が一元的に把握し、処方医に是正提案を行う取り組みを評価する「服用薬剤調整支援料2」は100点(3月に1回まで)に設定した。
喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者などに練習用吸入器を使って実技指導を行い、指導内容を医療機関に提供する取り組みを評価する「薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算」には30点(3月に1回まで)、経管投薬が行われている患者が簡易懸濁法を開始する際に、医師の求めなどに応じて必要な支援を行った場合を評価する「経管投薬支援料」は100点(初回のみ)をつけた。
また、糖尿病治療薬の服用状況や副作用の有無などを電話で確認するなどして医療機関に必要な情報提供を行うことを評価する「調剤後薬剤管理指導加算」は30点(月1回まで)に定めた。いずれも医療機関や患者、家族の要請と同意が必要になる。
■医科の連携充実加算150点‐オンライン服薬指導に43点
外来化学療法の患者に対し、患者のレジメンなどを把握し必要な服薬指導や患者の状況の確認をして医療機関にフィードバックする取り組みを評価する「特定薬剤管理指導加算2」には100点(月1回)をつけた。医科点数で新設される「連携充実加算」(150点、月1回)を算定している医療機関との連携が前提となる。
外来患者にオンライン服薬指導を行った場合の評価として「薬剤服用歴管理指導料4」(43点、月1回まで)、在宅については、「在宅患者訪問薬剤管理指導料 在宅患者オンライン服薬指導料」を新設した。
後発品調剤体制加算は、数量割合の高い加算に重点を置いた評価に見直した。現行の加算1(75%以上、18点)、加算2(80%以上、22点)、加算3(85%以上、28点)の3段階評価は維持した上で、加算1を15点に引き下げ、加算3を28点に引き上げた。
調剤数量が「20%以下」の薬局に適用されている基本料を2点減算するルールは「40%以下」に拡大する。減算規定については、今年9月30日までは現行規定を適用する。
在宅自己注射指導管理料には「バイオ後続品導入初期加算」を新設した。患者に説明し、同意を得てバイオシミラーを導入した場合の評価で、初回の処方日の月から起算して3カ月を限度に150点(月1回)を算定できる。
■病棟加算は20点上乗せ
薬剤師の病棟業務を評価する「病棟薬剤業務実施加算」は点数を引き上げた。加算1は20点上乗せした120点とし、加算2を20点増の100点に設定。加算2の対象に「ハイケアユニット入院管理料を算定する治療室」を加える。
また、「2人以上の常勤薬剤師」の要件を見直し、週3日以上かつ週22時間以上の勤務を行っている複数の非常勤職員を組み合わせた場合でも常勤換算を認める。ただし、1人は常勤薬剤師であることが必要としている。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
中央社会保険医療協議会がまとめた2020年度診療報酬改定案が加藤厚労相に答申されました。調剤報酬では、調剤料と調剤基本料の一部を適正化して確保した財源を「薬剤服用歴管理指導料」など5項目に振り向けました。その他、「地域支援体制加算」は、より地域でかかりつけ機能を発揮できるような実績要件に見直しされ、病院薬剤師の病棟活動を評価する「病棟薬剤業務実施加算」も、それぞれ点数が引き上げられ、「常勤薬剤師2人以上」の要件も緩和されています。