医療

薬大の入学定員適正化を~厚労省検討会が初会合

薬+読 編集部からのコメント

薬剤師に対する教育や薬科大学のあり方などについて、厚労省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」初会合(7月10日)で意見交換がされました。薬剤師の臨床研修の不足を懸念して、免許取得後に病院実習を義務づけること、薬学生の留年や教育の質の低下といった問題を考慮し、現在の入学定員を適正化すべきなどの声が構成員から上がりました。一方、2019年度に入学定員の充足率が9割に達しなかった大学の薬学部が21学部にのぼっていることなど、薬学教育を担う大学の現状を疑問視する声も相次いでいます。

■卒後臨床研修求める声も

厚生労働省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」が10日に初会合を開き、薬剤師に対する教育や薬科大学のあり方などについて意見交換した。構成員からは、薬剤師の臨床研修の不足を懸念して、免許取得後に病院実習を義務づけること、薬学生の留年や教育の質の低下といった問題を考慮し、現在の入学定員を適正化すべきなどの声が上がった。

 

検討会では、医薬品医療機器等法の改正などで薬剤師に求められる役割が変化し続ける状況に対応するため、薬剤師の養成や資質向上に関する課題、需給調査などについて検討することとしている。初会合では、厚労省が薬剤師、薬学教育の現状に関するデータを示した上で、これら課題について意見交換した。

 

宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は、医師と比べた薬剤師の臨床研修の不十分さを問題視し、「卒業後に最低でも2年ほど病院実習を義務づけることが重要だ。薬剤師の偏在問題も解決できる」と提案した。

 

赤池昭紀構成員(和歌山県立医科大学客員教授)は「薬学における臨床教育や将来の進路とは別に、薬剤師の資格を取った人が臨床経験を積むことが必要と感じる」と同調した。

 

政田幹夫構成員(大阪薬科大学学長)も「6年制の過程で臨床に関わることはほとんどなく、実務に必要な薬学は中途半端だ。ある程度の臨床を知らないと薬剤師業務はできない」と述べ、臨床経験の重要性を強調した。

 

一方、2019年度に入学定員の充足率が9割に達しなかった大学の薬学部が21学部に上るなど、薬学教育を担う大学の現状を疑問視する声も相次いだ。

 

安部好弘構成員(日本薬剤師会副会長)は、「入学定員が増加する中、定員割れや留年などの問題を抱えている事例もあり、薬学生を目指す人にとって望ましくない状況」と指摘した上で、「入学定員や在学生の総数が過剰にならないよう一定の規制をするなど、適正化を検討すべき」との考えを示した。

 

武田泰生構成員(日本病院薬剤師会副会長)も「卒業生が入学生の5割程度になってしまうのでは、入学時点である程度の制限をかける必要がある」と問題意識を示した。

 

野木渡構成員(日本精神科病院協会副理事長)は、薬剤師国家試験に合格できなかった人のフォローに言及。「薬学部を卒業した人は、テクニシャンなど何らかの薬剤業務ができるシステムを考えてほしい。まずは、卒業後にどんな経過をたどっているか調査すべき」と訴えた。

 

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出典:薬事日報

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