改正薬機法の関連省令施行~特定用途薬、検討会議で指定
厚生労働省は1日、昨年公布された改正医薬品医療機器等法の関連省令を施行した。小児用医薬品や薬剤耐性菌治療薬を対象とした「特定用途医薬品」の指定制度を創設し、「医療上必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」による評価で薬剤が指定されれば、医薬品医療機器総合機構による優先審査の対象に加える。世界に先駆け上市した「先駆的医薬品」は先駆け審査指定制度として既に導入されていたが、法制化を契機に指定時期を年1回から年2回の頻度に増やす。
■継続服薬指導は内容記録
今回の施行は、「公布の日から起算して1年を超えない範囲内で政令を定める」とされた改正内容が対象。医療上のニーズを充足していない小児用医薬品と薬剤耐性菌治療薬を対象とした新たなカテゴリーとして「特定用途医薬品」を創設した。小児用医薬品では、小児の用法・用量が設定された既存の治療法がないものや既存治療より医療上の有用性が高い治療法、国際的なガイドラインなどで標準的治療法として確立しているもの、臨床試験の結果で高いエビデンスが得られているものを指定の要件とした。
薬剤耐性菌治療薬では、薬剤耐性を有する病原体の感染力や病原体による疾患の重篤性など、総合的な観点から医薬品の必要性を判断し、指定するか決める。
特定用途医薬品の指定に当たっては、厚労省が製薬企業に開発要望品目を募集し、「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」に応募された特定用途医薬品候補が要件に該当しているか評価する依頼を行い、検討会議が結果を回答する。厚労省から企業に該当性評価の結果を通知した後、厚労省に申請を行う流れとなる。
国内外で承認された医薬品と作用機序が異なる「先駆的医薬品」については、先駆け審査指定制度として運用していた年に1回の指定から年に2回程度の指定にするなど頻度を増やす。これまで企業は指定された時期に申請する必要があったが、いつでも申請できるようにする。
ただ、▽世界に先駆けて日本で承認申請を行われない▽同一の医薬品が海外で承認される▽臨床試験の結果で極めて高い有効性が見込まれなくなった――など要件を満たせなくなった場合は指定を取り消す。
一方、薬局開設者に対しては、患者が適切に医薬品を服用できるよう薬剤師が調剤時に限らず、必要に応じてその後も患者の服用状況の把握や服薬指導を行うことを義務づけた。薬剤師が継続的服薬指導を行う場合には、患者への十分な説明やお薬手帳の活用提案、必要に応じて医師への受診勧奨を行うよう求めた。
服薬指導時には患者への情報提供や服薬指導を行った年月日に加え、情報提供と指導内容の要点、指導した薬剤師の氏名と服薬指導を受けた者の氏名や年齢を記録するよう求め、薬歴の保存期間で定められている「記録の最終記入日から3年間保存すること」を明記した。
また、オンライン服薬指導やQMS適合性調査の見直しなどの改正内容も施行となった。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
厚労省は9月1日、昨年公布の改正医薬品医療機器等法の関連省令を施行しました。今回の施行は、「公布の日から起算して1年を超えない範囲内で政令を定める」とされた改正内容が対象となっています。医療上のニーズを充足していない小児用医薬品と薬剤耐性菌治療薬を対象とした新たなカテゴリーとして「特定用途医薬品」を創設しました。「医療上必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議」による評価で薬剤が指定されれば、医薬品医療機器総合機構による優先審査の対象に加えます。薬剤耐性菌治療薬では、薬剤耐性を有する病原体の感染力や病原体による疾患の重篤性など、総合的観点から医薬品の必要性を判断し、指定するかを決めていきます。