創薬・臨床試験

多施設研究で責任の一元化~臨床研究法見直しで中間案【厚生労働省】

薬+読 編集部からのコメント

10月20日、厚労省は臨床研究法の見直しに向けた「中間取りまとめの方向性」を厚生科学審議会臨床研究部会に提示。中間取りまとめの方向性は「革新的医薬品等の研究開発促進」と「研究の信頼性確保」の2本柱で構成されています。多施設共同研究で責任者を位置づけ、監査や疾病等報告の判断を一元化すること、責任や役割に応じた罰則の導入などが記載されています。11月の次回会合において、具体的内容が検討される予定となっています。

厚生労働省は20日、臨床研究法の見直しに向けた「中間取りまとめの方向性」を厚生科学審議会臨床研究部会に示した。多施設共同研究で責任者を位置づけて監査や疾病等報告の判断を一元化すること、責任や役割に応じた罰則の導入などを記載。11月の次回会合で、具体的内容を検討する予定だ。

 

中間取りまとめの方向性は、「革新的医薬品等の研究開発促進」と「研究の信頼性確保」の2本柱で構成。

 

革新的医薬品等の研究開発促進では、個別項目として、▽臨床研究実施体制の国際整合性▽研究の法への該当性の明確化▽手続きの合理化――を記載した。

 

臨床研究実施体制の国際整合性については、研究全体の責任主体(スポンサー)として、多施設共同研究において「試験の計画・運営責任を負うべき者」を位置づけ、監査、モニタリング、疾病等報告の判断を一元化する方向で見直すべきとした。責任や役割に応じた罰則等の整備も考慮に入れるほか、責任者の主体や具体的役割といった制度の詳細は検討を続ける必要があるとした。

 

現行法では、観察研究は臨床研究の範囲から除外されているが、観察研究の定義と取り扱いを引き続き検討し、研究目的で行われた検査等で侵襲性が大きいなど、研究対象者の身体・精神に負担が大きい研究以外は臨床研究の定義から除外すべきとした。

 

侵襲性が大きい検査等は、情報を収集して具体例を示すことで、法への該当性に関する判断基準や根拠を示す必要があるとした。

 

研究の法への該当性の明確化に関しては、適応外医薬品を使用する研究でも、リスクが承認を受けた用法等と大きく変わらないことが明らかなものについては特定臨床研究の範囲から除外すべきとした。

 

手続きの合理化として、現行法で変更の届け出が必要な事項のうち、研究者の所属部署など研究の本質に関わらない事項は「軽微な変更」にすべきと記載。利益相反(COI)申告手続きの適正化として、医療機関での事実関係の確認など、実効性が伴わない手順を見直すべきとした。

 

一方、研究の信頼性確保の個別項目として、▽透明性の確保▽研究の質の確保――を記載した。

 

具体的には、透明性確保では、利益相反申告手続きの適正化、研究資金源の提供に関する情報公表の範囲、重大な不適合の取り扱いについて、研究の質の確保では、臨床研究審査委員会の認定要件に関する記載内容とした。ただ、これら記載内容に対する今後の方向性については、次回会合で示すこととした。

 

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出典:薬事日報

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