【医療安全情報】製剤量と成分量を間違え~散剤過量投与で注意喚起
日本医療機能評価機構は、散剤の処方で製剤量と成分量を間違えたことによって過量投与した事例が報告されていることを15日付の「医療安全情報」で紹介し、散剤の処方に当たっては処方オーダ画面や処方箋に「製剤量」あるいは「成分量」と表示したり、製剤量と成分量のどちらであるかを明記するよう関係者に注意喚起した。
散剤の処方で製剤量と成分量を間違えたことによって過量投与した事例は8件。具体的には、散剤について成分量で処方オーダーすることになっていた医療機関で、医師は散剤に製剤量と成分量があることを知らず、持参薬から院内処方に切り替える際、診療情報提供書の「アレビアチン散10%2g/日 1日2回朝夕食後」の記載を見て「アレビアチン散10%2000mg/日 1日2回朝夕食後」をオーダーした。
その後、薬剤師から疑義照会があった時、医師は診療情報提供書を確認。2gと記載があったことから2000mgで良いと思い、そのまま調剤するよう伝えた。薬剤師は、成分量2000mg/日(製剤量20g/日)を調製して払い出した。
看護師は、薬包に入った粉の量が多いことを疑問に思わず、患者に投与。2日後、病棟薬剤師が過量投与に気付いた。
また別の事例では、上級医が患者に「ロイケリン散10%」を投与する時、以前に勤務していた医療機関では製剤量でオーダーしていたため、「製剤量」を意図して150mgを処方するよう別の医師に指示した。
その医療機関では「成分量」でオーダーすることになっていたが、医師は指示された通り150mgと入力した。薬剤師から疑義照会があった時、医師は上級医の指示通りに処方したのでそのまま調剤するよう伝えた結果、患者に成分量として1日15mgのところ150mgを10日間投与していた。
こうした事例が発生した医療機関に対し、同機構は処方オーダ画面や処方箋に「製剤量」「成分量」と表示するほか、散剤には製剤量と成分量があることを医師と看護師に教育するよう注意喚起。
施設間の診療情報提供書などによる情報共有時にも散剤の処方は製剤量と成分量のどちらであるかを明記するよう求めた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
2月15日付の「医療安全情報」において、日本医療機能評価機構が、散剤の処方で製剤量と成分量を間違えたことによって過量投与した事例が8件報告されていることが紹介されました。こうした事例が発生した医療機関に対し、同機構は処方オーダ画面や処方箋に「製剤量」「成分量」と表示するほか、散剤には製剤量と成分量があることを医師と看護師に教育するよう注意喚起しました。施設間の診療情報提供書などによる情報共有時にも、散剤の処方は製剤量と成分量のどちらであるかを明記するよう求めています。