安定供給に70億円支援~備蓄積み増しにも充当
厚生労働省は25日、海外依存度が高い原薬を用いた医薬品の安定供給体制を支援する「医薬品安定供給支援事業」で事業者の公募を開始した。今回で3回目の実施となり、製造支援事業と備蓄支援事業で各1件ずつ採択する。補助総額は70億5000万円となる見通し。締め切りは6月24日必着。
厚労省は、経済安全保障の観点から医療上不可欠な抗菌薬など、医薬品のサプライチェーンの強靱化と医療提供の安定化を図る狙いで同事業を実施している。
抗菌薬で用いられる原薬や原材料の多くが海外輸入に依存している一方、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により海外製原薬等の製造停止や輸送遅延が発生し、安定供給が滞る事態が続いているため、実施事業者の公募を行うことになった。
海外依存度の高い原薬の製造所を国内で新設・増産する事業者向けの製造支援事業では、前年度補正予算で計上した70億円を1件に対して補助する。前回実施した事業では30億円を支援したが、大きく上回る額となった。対象原薬の製造・包装工程に必要な設備や製造所の新築・増築に要する経費などが補助対象となり、対象原薬は6アミノペニシラン酸と7アミノセファロスポラン酸としている。
国内で原薬製造設備の構築が進んできたことを受け、今年度から新たに備蓄の積み増しを実施する事業者を支援する「備蓄支援事業」にも着手し、今年度予算の5000万円を1件に補助する。対象原薬を外部倉庫に保管する場合の経費などに充てられる。
医政局経済課は「コロナで工事の着工に遅れが生じており、当初の予定通りには進んではいないが、徐々に事業規模を拡大できるようにしたい」と話している。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
経済安全保障の観点から医療上不可欠な抗菌薬など、医薬品のサプライチェーンの強靱化と医療提供の安定化を図る狙いの厚労省では5月25日、海外依存度が高い原薬を用いた医薬品の安定供給体制を支援する「医薬品安定供給支援事業」で事業者公募(締め切りは6月24日必着)をスタート。今回で3回目の実施となり、製造支援事業と備蓄支援事業で各1件ずつ採択。補助総額は70億5000万円となる見通しです。