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品質保証体制の強化急ぐ~「薬都とやま」復権目指す

薬+読 編集部からのコメント

富山県には新薬、ジェネリック医薬品、一般用医薬品、配置用医薬品などのメーカー約80社と100超の製造所があり、日本を代表する薬やロングセラー薬などが製造されています。しかし、2021年以降の違法製造による業務停止処分11件のうち、富山県のメーカーが4社処分を受けました。今回、富山県厚生部くすり政策課の石田美樹課長が薬事日報の取材を受け、富山県が標榜する「薬都とやま」復権に向け、品質保証体制の強化に取り組む姿勢を示しています。

富山県厚生部くすり政策課の石田美樹課長(写真左)は、本紙の取材に応じ、日本有数の医薬品製造集積地で日医工をはじめ県内医薬品メーカーの行政処分が相次いだことへの対応について、業界団体、医療関係団体、行政を挙げて信頼回復策を進めている途上にあるとした上で、「安全・安心な医薬品をしっかり製造、供給できる。それが富山であると思ってもらえるよう県としても支援していきたい」と述べ、県が標榜する「薬都とやま」の復権に向け、品質保証体制の強化に取り組む姿勢を示した。連続生産技術の導入、バイオ医薬品製造など新技術にも「くすりのシリコンバレーTOYAMA」を通じて「チャレンジしていきたい」との意向を表明した。

2020年の富山県の医薬品生産額は全国4位。人口当たりの医薬品生産金額、製造所数、製造所従業員数は全国トップを誇る。新薬、ジェネリック医薬品、一般用医薬品、配置用医薬品などのメーカー約80社と100超の製造所があり、日本を代表する薬やロングセラー薬などが製造されているが、21年以降の違法製造による業務停止処分11件のうち、富山県のメーカーが4社処分を受けた。

この事態を石田氏は「非常に残念に思っている」と述べた。厚生労働省幹部も「気にしている」と言う一般薬メーカーの処分が相次いでいることについては、規模が比較的小さい企業もあるとして、「製造などで困りごとがあれば、われわれに知らせていただき、必要なサポートをしていかなければならない」との姿勢を示した。

 

信頼回復に向けては、県の薬事審議会も動き、21年7月には答申を出している。提言を受け、関係者一丸となって重層的に信頼回復策が進められている。

 

石田氏は、▽業界団体による新入社員・経営陣向け研修などによる企業倫理の醸成▽業界団体と医療関係団体による互いの現場に対する相互理解の推進▽県のGMP調査員の増員や、通告調査の一部に無通告調査を組み合わせるなどの調査手法の工夫――などの施策を継続的に進め、広く理解を得るよう情報発信を強化する考えを示した。

 

取り組みの成果については、「『薬都とやま』の信頼確保に向けて、メーカーなど関係者には頑張っていただいている。そこはぜひ見てほしい」と強調した。

 

その上で、「富山の製造技術を信頼していただいて製造受託されてきた側面があり、安定供給のために今後も安定した生産を行ってもらう必要がある。今まで以上にしっかりと必要とされる医薬品を製造できるのが富山の薬業であり、県として支援していきたい」と今後に向け抱負を語った。

 

原材料高騰やエネルギー価格の上昇などによる製造業への影響については、団体から対策等の要望は受けていないとした上で、「非常に厳しいとの声は聞いている」と述べ、ケースによって新型コロナウイルス対策関連の融資や補助金で支援できる可能性を説明した。

 

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出典:薬事日報

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