【NPhA調査】薬剤師の看取り経験約3割~在宅訪問薬剤管理指導で
在宅訪問薬剤管理を行っている薬剤師のうち、ターミナルケア(看取り期の在宅)に関わった経験があるとの回答が約3割に上ったことが、日本保険薬局協会(NPhA)の調査で明らかになった。ターミナルケアの経験がある薬剤師のうち、訪問間隔「6日以内」の経験があるのは65%、休日・夜間対応経験ありは51%を占めた。
NPhAが在宅訪問薬剤管理の実態調査を行うのは初めて。調査は7月14日から今月3日にウェブ上で実施し、3555件の回答を得た。
在宅訪問薬剤管理を行った経験のある薬剤師のうち、ターミナルケアについては「直近はないが過去に経験あり」14.6%、「直近1年以内に経験あり」10.3%、「現在も関わっている」7.6%、「経験なし」67.5%となった。
経験ありと回答した薬剤師の在宅訪問頻度は、「2~3日おき」33.2%、「4~6日おき」27.8%、「7~14日おき」23.5%、「多頻度訪問の経験なし」11.4%、「毎日」4.0%となった。
休日・夜間対応については「経験なし」48.9%、「1年以内に経験あり」28.6%、「1年以上過去に経験あり」22.6%で、半数以上が休日・夜間対応の経験があると回答。1年以内に経験がある場合の頻度は「月に1~数回」が最も多かった。
ターミナルケアにおける薬剤師の役割については、調剤・服薬指導、服薬状況等の報告以外で、「治療経過や疼痛、薬効、副作用の管理・報告」や「24時間対応」「薬学的管理にかかる説明や提案」といった役割を担っていた。
薬剤師による点滴交換業務についても聞くと、在宅患者に対する無菌調剤経験があるのは11.6%、「月に1回以上」の頻度は3.6%だった。「薬剤師による点滴交換等が認められると望ましい場面にあった経験がある」と回答したのは49.3%と半数近くあり、その頻度が「月に1回以上」と答えたのは33.0%となった。
薬剤師による点滴交換が認められると望ましい場面については「点滴残量が少なくなったことに伴う継続処方」70.0%、「疼痛コントロールの悪化に伴う処方追加・処方変更」61.8%、「看取り期に伴う頻繁な調整」54.1%が多かった。
薬剤師が点滴交換を実施することが認められると望ましいと考える理由は、「医師や訪問看護師の負担軽減」「患者や介助者の負担軽減」などの理由が上位回答となった。褥瘡の治療をしている在宅患者に対する訪問薬剤管理経験がある薬剤師は28.1%となり、「月に1回以上」の実施頻度は9.4%だった。
NPhAは、「(在宅訪問薬剤管理は)採算という意味においては十分に評価されていない。中央社会保険医療協議会でも看取りや医師との同行訪問が議論になっているので、次の改定に向けて薬剤師の活動が評価されるようになれば」と述べた。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
日本保険薬局協会の調査によりますと、在宅訪問薬剤管理を行っている薬剤師のうち、ターミナルケア(看取り期の在宅)に関わった経験があるとの回答が約3割に上ったことが判明しました。ターミナルケア経験のある薬剤師のうち、訪問間隔「6日以内」の経験があるのは65%、休日・夜間対応経験ありは51%を占めています。