製造変更手続を3区分に~「中等度」の新カテゴリ創設 厚生労働省
厚生労働省は、医薬品の変更管理に関する薬事手続について、「一部変更申請」と「軽微変更届出」の中間に位置する新たな変更カテゴリとして「中等度変更事項」を試行的に導入する。変更リスクの程度に基づき、中等度変更事項の対象を特定し、企業による変更案の提出から30営業日程度の短い確認期間で製造方法の変更を行える薬事手続を検討する。欧米と同様に3区分の薬事手続とすることで、一変申請で時間を要していた製造方法の変更手続に関する薬事プロセスを合理化し、医薬品の迅速な安定供給につなげる。
13日に開催された「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会(写真上)」で了承された。医薬品製造方法の変更管理における薬事手続をめぐっては、ICHQ12(医薬品のライフサイクルマネジメント)で変更前に事前申請が必要な「事前承認」、変更計画を提出し、受領連絡から30日以内に連絡がなければ変更が可能な「届出」(中リスク)、変更後に変更内容を提出する「届出」(低リスク)の3段階で例示されている。その一方で、日本は変更前に事前申請が必要な「一部変更申請」と変更後30日以内に届出を行う「軽微変更届出」の二つの方法に限られ、中リスクに対応するカテゴリが存在していない。
こうした状況を踏まえ、厚労省は「中等度変更事項」を試行的に導入する。対象は「変更内容のリスクの程度に基づき、初回承認申請、一変申請の審査においてあらかじめ中等度変更事項として特定された事項」「変更が生じた都度の医薬品医療機器総合機構(PMDA)相談で中等度変更事項への該当性を確認された事項」を想定している。
欧米規制当局で中リスクとされている変更管理は、日本でも中等度変更事項の対象として適用する方針。一方、製造方法の変更内容が中等度変更事項に該当するかは個別の判断となるため、判断指標としてどのような変更内容であれば中等度変更事項に該当するかなど基本的な考え方を示したガイダンスを発出する。試行的導入を踏まえ具体的な制度設計につなげる。
一方、承認書上の製造方法のうち、軽微変更届の対象となっている事項を含む重要度が低い記載については、承認事項による変更管理ではなく参考資料の扱いとし、年に1回、PMDAへの年次報告のみで対応が可能となる制度を導入する。
日本製薬工業協会が実施したアンケート調査によると、日本で一変承認が必要とされた変更事項のうち、海外でも事前承認が必要とされた事項は米国では38%、EUでは28%と少ない。「後発品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」の中間取りまとめで少量多品種構造の解消に向け、後発品の品目統合の推進が示される中、「品目統合では事前承認が必要なものもあれば、中等度のカテゴリーに含まれるものもあるので一定程度の寄与があるのではないか」(厚労省)との見解を示している。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
医薬品の変更管理に関する薬事手続について、厚労省は新たな変更カテゴリとして「中等度変更事項」を試行的に導入。これまでの「一部変更申請」と「軽微変更届出」の中間に位置するものとなります。変更リスクの程度に基づき、中等度変更事項の対象を特定し、企業による変更案の提出から30営業日程度の短い確認期間で製造方法の変更を行える薬事手続を検討します。