【鹿村氏ら初の実態調査】院外処方箋の0.84%で実施~薬局薬剤師フォローアップ
薬局薬剤師の処方箋応需枚数に対するフォローアップ実施率は推計で0.84%であることが、東京理科大学薬学部の鹿村恵明教授らの研究で明らかになった。薬局薬剤師は、フォローアップ事例のうち約4割で把握した情報を処方医に提供しており、処方提案につながった事例もあった。全国規模の実態調査は初めてとなる。
研究グループは、全国の保険薬局の一覧から10%をランダムに抽出し、調査依頼状を郵送。事前にエントリーした薬局561軒のうち110軒(19.6%)が調査に参加し、フォローアップ事例を報告した。
対象期間の昨年6月12~18の7日間に応需した処方箋枚数は計3万8696枚で、期間中に実施したフォローアップ事例は326件だった。
調査は、期間中に応需した処方箋に対するフォローアップ事例を追跡するのではなく、同じ期間中の応需枚数とフォローアップ件数を把握する形で行い、実施率を推計した。
フォローアップ後、薬局薬剤師から医師への情報提供が実施された件数は326件中129件(39.6%)となり、情報提供事例のうち10件(7.8%)で処方提案が行われた。
フォローアップの実施理由(複数回答可)は「初処方・処方変更の薬剤」が最も多く、「薬剤の効果確認」「服薬アドヒアランス」が続いた。薬剤別でフォローアップ対象となったのは「血圧降下剤」が最多で、「抗ウイルス剤」「糖尿病用剤」「抗生物質製剤」「精神神経用剤」が続いた。
フォローアップ手段(複数回答可)としては「電話」(71.5%)が最も多かった。「LINE」(16.9%)の利用も少なくなかった。
フォローアップ事例の約4割で「服薬情報等提供料2」を算定していたが、約4割の事例では報酬は未算定だった。
これまで横断的にフォローアップの好事例を収集した調査はあるが、全国規模の実態調査は初めて。日本薬剤師会と連携して調査を実施した。
研究グループの関谷秀氏(同薬学部臨床講師)は、日本薬学会年会で結果を示し、「薬剤師はフォローアップを通じて情報提供や処方提案を行っており、薬物治療の最適化に貢献していることが示唆された」と報告した。
🔽 アドヒアランスについて解説した記事はこちら
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
薬局薬剤師の処方箋応需枚数に対するフォローアップ実施率は推計0.84%であるという研究結果が報告されました。薬局薬剤師はフォローアップ事例のうち39.6%で把握した情報を処方医に提供しており、処方提案につながった事例もありました。