薬剤師のスキルアップ 更新日:2023.12.25公開日:2023.12.12 薬剤師のスキルアップ

アドヒアランスとは?コンプライアンスとの違いやアドヒアランス不良を招く原因を解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

医療の現場では、患者さんが薬を正しく服用できているかどうかを判断するために「アドヒアランス」が用いられます。混同されがちな言葉に「コンプライアンス」がありますが、この2つには根本的に異なる点があるのをご存じでしょうか。さらに、「コンコーダンス」という言葉も広まりつつあり、医療や看護の現場では、患者さんとの向き合い方に変化が表れ始めています。今回は薬学生や新人薬剤師に向けて、アドヒアランスについて詳しく解説し、アドヒアランス向上のポイントについてお伝えします。加えて、コンコーダンスとの違いやアドヒアランスの向上が期待できる対応策、看護におけるアドヒアランスについても見ていきましょう。

目次

1.アドヒアランスとは?

アドヒアランス(adherence)とは、「患者さん自身が治療方法を理解・納得し、積極的に治療に参加する」ことを指します。患者さんが治療方針に納得し、薬をきちんと飲めている状態を「アドヒアランス良好」と表現し、一方で、何らかの理由があって飲めないことが多い場合は「アドヒアランス不良」と表します。
 
アドヒアランスの正しい把握は、円滑な治療を続けるためにも大切です。薬剤師は服薬指導の際に、これまでに渡した薬が問題なく服用できているかを確認してアドヒアランスをチェックしなければいけません。もし、不良の場合にはアドヒアランスを改善するための提案が求められます。
 
服薬状況のチェックとして、最近はアドヒアランスを使う機会が多くなりましたが、以前は「コンプライアンス」を用いるのが主流でした。どちらも薬の服用状況などを表す言葉ですが、大まかに、患者さんの治療に対する姿勢が積極的か受動的かによって、使用される表現が異なります。

 

1-1.アドヒアランスとコンプライアンスとの違い

コンプライアンスは患者さんが「医師の指示に従って正しく服薬できているか」を表すもので、患者さんの治療への参加はあくまでも受動的なものです。一方、アドヒアランスは「患者さん自身が治療方針の決定に参加できているか」がポイントになります。こちらは患者さんが積極的な姿勢で治療に取り組んでいるかどうかに着目したものといえるでしょう。
 
また、アドヒアランスとコンプライアンスは、服薬状況が良くないときの原因の捉え方、原因をどの視点で把握するかに違いがあります。コンプライアンスでは、薬を正しく飲まない患者さんの方に原因があるように思われがちでした。しかしアドヒアランスでは、医療者・患者さんそれぞれに問題があるとされています。
 
そのためアドヒアランスを良好に保つためには、以下の3点について、医療者と患者さんがお互いに考えて解決することが大切です。

 

①治療法が患者さんに合っているか
②服薬を妨げる原因は何か
③問題解決にはどうするべきか

 

アドヒアランスは、医療者と患者さん双方の姿勢が問われるものであり、向上させるためには医療者と患者さんのコミュニケーションが重要なポイントになるといえるでしょう。

 
🔽 服薬コンプライアンスについて詳しく解説した記事はこちら

 

1-2.アドヒアランスとコンコーダンスとの違い

コンコーダンス(concordance)とは、「調和」や「一致」といった意味を持つ英単語で、患者さんのライフスタイルや気持ちを重視し、薬物治療との調和を目指す考え方を指します。
 
1997年に英国王立薬剤師会が「コンプライアンスからコンコーダンスへ」という報告書において、薬の服用に関する新しい解決策として提案しました。患者さんが治療方針を理解し納得して治療を受けるためには、医療従事者が患者さんの価値観を理解し寄り添うことが大切です。そのために重視される概念がコンコーダンスです。
 
アドヒアランスでは、薬物治療を受けることを前提として治療方針の決定に参加するのに対して、コンコーダンスは患者さんの価値観やライフスタイルを中心として考えます。そのため、患者さん自身が人生や生活において薬物治療が必要と判断した場合に、薬物治療を始められるのが特徴です。
 
コンコーダンスにおいて「服薬順守は絶対ではない」、つまり「薬物治療を受けないという選択肢もある」という点が、アドヒアランスとの大きな違いだといえるでしょう。

2.アドヒアランス不良がもたらす3つの課題

それでは、アドヒアランスが不良だと、どのような問題があるのでしょうか。ここでは患者さん自身に起きる問題と、社会全体の課題として以下の3点を考えてみましょう。

 

2-1.効果的な治療ができない

患者さん側の課題としては、アドヒアランス不良によって、効果的な治療ができない可能性が挙げられます。例えば、服薬回数が医師の指示よりも少ないと、薬の血中濃度が有効域を下回り不十分な結果になりかねません。
 
また、体調が良くなったからと自己判断で薬をやめると、再び症状が悪化する恐れもあります。さらに、不安定な血中濃度は思わぬ副作用を引き起こすリスクもあるでしょう。効果的な治療のためには、アドヒアランスを良好に保つことが大切です。

 

2-2.副作用が起こる可能性がある

服用していた薬を自己判断で中止してしまうと、その反動で副作用が起こる可能性があります。例えば、ステロイド薬は、適切に減量していかなければならない代表的な薬でしょう。自己判断で服用中止すると、全身の倦怠感や食欲低下、脱力感、疲れやすくなるといった離脱症状が現れることがあります。
 
重症な場合、吐き気やおう吐、下痢などの消化器症状や発熱などが現れるかもしれません。副作用を防ぐためにも、患者さんのアドヒアランス向上に努める必要があります

 

2-3.医療費の圧迫につながる

社会的な面において課題となるのが、処方・調剤されたにもかかわらず、飲まれないまま捨てられる残薬の問題です。アドヒアランス不良は薬の飲み忘れにつながりやすく、残薬問題と無関係ではありません。
 
2008年に行われた日本薬剤師会の調査によると、飲み忘れなどにより飲み残されている潜在的な薬剤費は年間475億円に上ると報告されています。アドヒアランスの向上は、医療費増大を予防し、医療の安定供給へとつなげる薬剤師の大切な業務だといえるでしょう。

3.アドヒアランス不良を招く8つの大きな原因

患者さんのアドヒアランス低下につながる原因を8つ紹介します。原因が分かれば、効果的な対処が可能です。アドヒアランス不良となる理由が、どのパターンに当てはまるのかをチェックしてみましょう。

 

3-1.薬を飲む必要性を感じていない

医療者の説明不足により患者さんが薬を飲むべき理由を見いだせず、アドヒアランスが低下してしまうケースです。
 
痛みなどの自覚症状が少ない場合や、生活に大きな支障がない場合には、病気であるという意識が薄くなりがちです。「たいしたことはないだろう」「自分は大丈夫」といった考え方がアドヒアランス不良を招きます。

 

3-2.副作用が怖い

薬を飲む必要性は感じているものの、副作用を恐れるあまりにアドヒアランスが低下するパターンです。近年はインターネットなどを利用して簡単に添付文書の閲覧ができるため、副作用報告などを読んで怖くなってしまう患者さんも少なくありません。
 
また、テレビや雑誌で自分の処方薬が「飲んではいけない薬」と紹介され、不安に駆られてしまうケースもあります。

 

3-3.副作用が強く薬物治療を継続するのが難しい

副作用を実際に経験したことで、アドヒアランスが低下することもあります。例えば、車や自転車の運転中に薬の副作用として眠気が出てしまい、危険を感じた経験がある場合は、服薬を控えてしまう可能性があります。
 
あるいは、薬の影響で下痢が続いて生活に支障が出てしまう場合は、服薬を継続するのが難しくなることもあるでしょう。その他、体重増加やむくみなど、薬の副作用発現を避けたいという理由から、アドヒアランスが低下することもあります。

 

3-4.服用する薬の数が多い

薬の数が増えると、副作用のリスクが増えるだけでなく、飲み間違いや残薬といったアドヒアランスの低下につながります。
 
また、薬剤数が多いために引き起こされるポリファーマシーの恐れもあります。ポリファーマシーとは、多剤併用による副作用などの有害事象に関わるリスク増加を指します。

 
🔽 ポリファーマシーについて詳しく解説した記事はこちら

 

厚生労働省の資料によると、高齢者では、6剤以上の薬を服用していると有害事象の発生増加に関連しているとする調査結果もあります。
 
参照:平成30年度診療報酬改定の概要 調剤|厚生労働省

 

3-5.薬の飲み方が難しい

用法が多かったり、特殊な飲み方をする薬があったりする場合も、アドヒアランス低下につながります。上記の厚生労働省の資料では、1日当たりの服薬回数が少ないほどアドヒアランスが向上することが報告されています。
 
一方、起床後すぐに服用する薬や、空腹時にしか飲めない薬など、特殊な用法も飲み忘れリスクが高いといえるでしょう。その他にも、高齢で飲み込む力が弱くなり、普通錠の服用が難しくなるケースもあります。

 

3-6.薬物治療に無関心

自覚症状のある疾患は不快な症状を伴うため、薬物治療の必要性を理解しやすいでしょう。しかし、高血圧や高脂血症といった症状があまりない疾患は、治療の効果を実感しにくく、治療に必要性を感じられないこともあります。
 
そういった疾患の治療を行う患者さんは薬を飲んでも飲まなくても症状の変化を得られにくいため、薬物治療自体に無関心になることもあるでしょう。

 

3-7.重症な精神疾患を患っている

うつ病や統合失調症など重症な精神疾患を患っている場合、疾患の特性上、アドヒアランスが低下しやすい傾向にあります。
 
例えば、うつ病の患者さんは、何もやる気が出なかったり、考えが働かなかったりするといった症状により、服薬管理への意欲が湧かないといった場合が考えられます。
 
また、希死念慮を抱えがちな重症のうつ病患者さんは、病気を治すという意識が薄いため、服薬に意義を見いだせないかもしれません。
 
統合失調症の患者さんは、一度に多くの情報が入ると混乱してしまったり、話の内容がつかめなかったりすることがあります。服薬について十分に理解できていないことが原因で、アドヒアランスの低下につながることがあります。

 

3-8.自己効力感が低下している

近年、看護現場において注目されているのが、自己効力感です。看護現場では、アドヒアランスが低下している患者さんの中に、自身で服薬管理をすることに自信がないと感じる「自己効力感」の低い人がいると考えられています。
 
自己効力感とは、心理学者のアルバート・バンデューラ博士が提唱した概念で、自分ならできる、きっとうまくいくと思える状態のこと。英語では「self-efficacy」と表現されています。
 
「薬を飲んでも症状は変わらないかもしれない」「指示通りに服用するのは自分には難しい」「飲もうと思ってもどうせ忘れる」と患者さん自身が感じてしまうことで、アドヒアランスが低下することがあります。

4.アドヒアランス向上の6つのポイント

アドヒアランス不良の原因が異なれば、対処法も変わります。ここでは、薬剤師ができるアドヒアランス向上のポイントを紹介します。

 

4-1.丁寧な服薬指導で薬を飲む必要性を伝える

服薬指導で、なぜ薬を飲んだ方がよいのか、薬を飲まないとどのようなデメリットがあるのかを丁寧に伝え、受け身ではなく積極的に治療に参加するよう促すことが大切です。
 
その際、病気や薬の知識を伝えるだけでは、患者さんの不安をあおる可能性があるため、注意が必要です。患者さんに不必要な不安を感じさせず、なおかつ分かりやすい言葉で説明しましょう。

 
🔽 服薬指導について詳しく解説した記事はこちら

 

4-2.ポリファーマシー解消のための提案を行う

薬の数が多いと、アドヒアランス低下につながりやすくなります。しかし、高齢者は内服薬が多くなる傾向があり、厚生労働省の資料によると、75歳以上では約1/4が7種類以上、4割が5種類以上の薬剤を処方されているという報告もあります。
 
参照:高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)|厚生労働省
 
そのため、患者さんから話をよく聞き、服薬で困っていることはないかを事前に確認するとよいでしょう。必要であれば、医師へのトレーシングレポート提出など、ポリファーマシーを解消するための提案も行います。

 
🔽 トレーシングレポートの書き方について詳しく解説した記事はこちら

 

4-3.薬を飲みやすくするための工夫を提案する

患者さんが服薬を負担に感じている場合は、飲み方の工夫を提案します。例えば、患者さん自身で薬の管理が難しいときは、一包化で対応する他、お薬カレンダーやピルケースの利用を勧めてみましょう。家族と同居している場合は、協力してもらうのも一案です。
 
また、高齢で薬を飲み込むのが苦手な患者さんには、ゼリーやオブラートの使用を促す他、口腔内崩壊錠や貼付剤などへの剤形変更を医師へ提案する場合もあります。

 

4-4.気軽に相談してもらえる信頼関係を作る

患者さんが薬について不安を感じたときに、気軽に相談してもらえる薬剤師になることも、アドヒアランス向上に役立ちます。
 
そのためには、普段から患者さんとのコミュニケーションを深めておく必要があるでしょう。

 
🔽 患者さんと信頼関係を築く方法を解説した記事はこちら

 

4-5.副作用に対する対処法を伝える

副作用を気にしてアドヒアランスが低下している患者さんに対しては、服用する薬の副作用とその対処法について一覧表を作成し、手渡しておくのも一つの方法です。
 
例えば、薬剤ごとに副作用の初期症状を整理した一覧表をお薬手帳に貼り、症状が出たときは副作用の対処法を確認するように説明するとよいでしょう。
 
また、不安なときは遠慮せず病院や薬局に連絡するよう伝えることで、患者さんは安心して服薬を続けやすくなります。加えて、副作用の一覧表を患者さんにお渡しすると、患者さん自身が初期症状に気づきやすくなるというメリットもあります。
 
副作用に対して早めに対処できる上に、医療機関や薬局でも副作用を把握できるため、安全な薬物治療につながります。

 
🔽 「副作用が恐い」という患者さんと話すときのポイントを解説した記事はこちら

 

4-6.理解度が低い患者さんへの対応方法を考える

高齢の患者さんや認知症を患っている患者さんの中には、減薬や増量、用法の変更などの説明をしても忘れてしまい、服用方法を誤ってしまう人がいます。あるいは、処方変更があったことを忘れて、いつもの薬が入っていないと怒り出してしまう患者さんもいるでしょう。
 
こういった患者さんには、変更点を口頭で説明するとともに薬袋などにメモを残しておくと、処方や用法の変更があっても説明内容を思い出してもらいやすくなります。
 
加えて、帰宅後や数日後などに、電話で服用方法を確認するといったサポートを行うのもおすすめです。家族にも同様の説明を行うことで、服用方法を間違ってしまったり、処方変更を忘れてしまったりするリスクが軽減されるでしょう。

5.アドヒアランス向上が期待できる4つの対応事例

薬剤師が取り組める具体的な対応方法には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、実際に筆者が経験した事例も交えながら、アドヒアランス向上が期待できる対応事例について見ていきましょう。

 

5-1.患者さんに寄り添い、服薬できたことを褒める

アドヒアランスが非常に悪く、救急車で運ばれて入院を繰り返す患者さんを担当したことがあります。もともと一包化はされていましたが、病気への理解が乏しく、飲み忘れが多い状況でした。
 
そこで、毎日を元気に過ごすためには正しい服薬がいかに大切かを伝え、本人と相談の上で一包化した薬剤に日付を入れる工夫を行いました。
 
少しでも正しく飲めていたら褒めるといったコミュニケーションを繰り返すうちに、徐々にアドヒアランスが向上し、ほぼ毎日服薬できるようになりました。
 
この事例では、成功体験を積み重ねることで自己効力感が高まり、アドヒアランス向上につながっています。

 

5-2.同じ状況の患者さんの成功体験を伝える

同じような疾患を患っている患者さんの成功体験を伝えることも、アドヒアランスの向上に期待が持てます。きちんと内服を継続したことで、薬が減薬できた患者さんがいることを伝えると、服薬に対して意欲が高まるかもしれません。
 
あるいは、薬局内でセミナーを行い、同じ状況の患者さんが接する機会をつくるのもよいでしょう。グループに分かれてクイズに答えるといった話し合いの場を設けると、同じ疾患の患者さん同士が情報交換をする機会を得られます。
 
患者さん同士の会話から成功体験を見聞きする機会があれば、アドヒアランス向上のきっかけになるかもしれません。

 

5-3.検査数値を提示して薬の効果を実感してもらう

疾患によっては、薬の効果を実感できないことがあります。例えば、糖尿病の治療では、服薬によって血糖コントロールが良くなったとしても、体の変化を感じるのは難しいかもしれません。
 
患者さんが薬の効果を実感できるように、検査数値に注目してもらうよう促すことも、アドヒアランスの向上につながります。
 
定期的に血液検査を行っている場合や自宅で血糖値や血圧などを測定している場合は、来局時に検査データを持参するように伝えましょう。患者さんと一緒に服薬の効果を視覚的に確認することで、積極的に薬物治療と向き合ってもらえるかもしません。

 

5-4.患者さんと一緒に解決方法を考える

ある患者さんに、生活リズムに合わせたお薬ボックスを手作りして渡したところ、「ここまでしてくれるなんてうれしい」と喜んでいただき、アドヒアランスが向上した例もあります。
 
アドヒアランス不良になる理由は一人一人異なります。患者さんの悩みや心に寄り添い、一緒に解決法を考えながら、アドヒアランス向上を目指してはいかがでしょうか。

6.看護におけるアドヒアランス

看護現場においても、アドヒアランスは重要な要素です。また、患者さんが納得して治療を受けるために、看護師は患者さんの意思をくみ取る「アドボカシー」の役割も担っています。ここでは、看護現場におけるアドヒアランスについてお伝えします。

 

6-1.看護では行動制限を含めたアドヒアランス向上が求められる

看護におけるアドヒアランスとは、服薬に加え「行動制限」を含めた治療方針について、患者さんが理解や納得をして治療に参加することを指します。行動制限の理解が十分に得られていないと、転倒する可能性があるにもかかわらず車いすから立ち上がったり、ベッドから下りようとしたりすることがあります。
 
転倒は骨折などの大けがにつながる可能性があり、その後のQOLに大きく影響するもの。重大なインシデントやアクシデントにつながることがあるため、行動制限についてのアドヒアランスはとても大切です。
 
薬剤師は、ふらつきやめまいが起こる可能性がある薬について、しっかりと説明を行い、看護現場におけるインシデントやアクシデントの防止に努める必要があるでしょう。

 

6-2.アドヒアランス向上のためのアドボカシー

アドボカシー(advocacy)とは、「擁護」「支持をする」といった意味を持つ英単語です。人権や環境に関する問題などで、社会的に弱い立場にいる人々の権利擁護や主張の代弁といった場面で広く使われています。
 
看護現場におけるアドボカシーは、自分の気持ちを上手に伝えられない患者さんの権利や主張を守り代弁すること。主に看護師が患者さんの代弁者として、患者さんの意思が尊重されるようあらゆる支援をしています。
 
アドボカシーが適切に行われていると、患者さんは納得して治療に取り組むことができ、結果として高い治療効果を得られるでしょう。
 
自身の意思が上手に伝えられない患者さんの服薬アドヒアランスを向上させるためにも、薬剤師はアドボカシーの考え方を理解し、患者さんの意思をくみ取るよう心がける必要があります。

7.アドヒアランス向上のサポートは薬剤師の大切な仕事

「薬を飲みたくない」「ちゃんと飲みたいけれどなかなか飲めない」など、誰にも相談ができずに悩んでいる患者さんは少なくありません。アドヒアランスの向上は、患者さん本人にとってはもちろん、社会的な面でも大きな意味があります。
 
薬剤師として、それぞれの患者さんの抱えている悩みを解決し、アドヒアランスを高めるためのサポートができるよう、普段から前向きな行動を続けましょう。


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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