創薬・臨床試験

【政府方針】創薬貢献の薬学人材拡大へ~次期改訂コアカリに反映

薬+読 編集部からのコメント

政府が創薬構想会議の中間取りまとめを踏まえた政策目標を公表。2026年度から検討が開始される次期薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向け、創薬につながる薬学人材養成のための教育内容を検討し、薬学教育のあり方を見直す方針です。

政府は7月30日、創薬構想会議の中間取りまとめを踏まえた政策目標を公表し、アカデミアやスタートアップの絶え間ないシーズ創出に向け、薬学部・薬系大学院修了者のうち、創薬関連の仕事や研究に就く人を現状より増やす成果指標を示した。2026年度から検討が開始される次期薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向け、創薬につながる薬学人材養成のための教育内容を検討し、薬学教育のあり方を見直すと踏み込んだ。臨床薬剤師の養成を進める大学薬学部・薬科大学における教育の方向性にも影響を与えそうだ。

 

 薬学教育に異例の言及

現在、薬系大学院修了者のうち、創薬関連の仕事・研究等に就く人は薬学6年制課程導入後も一定程度増えており、修士課程では11年3月に修了した908人が23年3月修了では1033人、博士課程では15年3月に修了した128人が192人と推移している。

 

しかし、創薬分野におけるトップ10%論文数の国際シェア順位は1995~97年の平均では2位、05~07年は5位、15~17年は8位と低下している状況にある。

 

今回の施策では、創薬に貢献するための医療人材養成に向け、大学の教育プログラムの充実について検討し、新たな臨床試験や創薬のあり方を踏まえた人材育成や教育内容を見直す。構想会議の議論でも、構成員から薬学教育の段階から新たな臨床試験や創薬のあり方など教育内容の見直しも検討されるべきとの指摘や、薬剤師等の医療職を志す学生に対し、治験・臨床試験の実施意義、臨床開発の方法論に関する教育を強化することが重要との声が出ていた。中間取りまとめでも、「新たなモダリティの研究開発やスタートアップ創出に貢献できる人材を確保・育成するためには薬学の変化に迅速に対応した人材を育てていく必要がある」と指摘されている。

 

施策の工程表では、今年度から次期薬学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に向け、創薬につながる薬学人材養成のための教育内容について検討し、26年度から改訂の検討作業へと進める計画を打ち出した。薬学部・薬系大学院修了者のうち、創薬に携わる人材を現状の1225人から増加を目指す。

 

22年度の改訂コアカリでは、大学と医療現場が連携して教育に当たる「臨床薬学」が追加されるなど医療人養成の側面が強かったが、今回の施策ではコアカリにも言及し、国策として薬系大学を創薬人材を養成する教育機関に位置づけたとも言える。今後、大学側には、医療に貢献する薬剤師の養成だけではなく、創薬に携わる人材育成という課題への対応も求められることになる。

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出典:薬事日報

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