創薬・臨床試験

「日本人追加試験は不要」~超希少薬など業界提案

薬+読 編集部からのコメント

希少疾患等に用いる薬剤で海外の検証的試験結果が得られている場合、既存の知見から日本人での用法・用量、有効性・安全性が説明可能であれば日本人追加試験は不要とする考えを、製薬業界が「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」で提案。構成員からはドラッグ・ラグ解消の観点で肯定的な意見が相次ぎました。

厚生労働省の「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会(写真)」が13日に開かれ、検証的試験における日本人データの必要性について議論した。製薬業界は、希少疾患や小児医薬品に関して、海外で検証的試験結果が得られ日本人での用法・用量、有効性・安全性が説明可能であれば、日本人での追加試験は行わないとする考えを提案した。構成員からは、ドラッグ・ラグ解消の観点から肯定的な意見が相次いだ。

日本が国際共同治験に参加できなかった場合、国内で臨床試験を行った上で承認申請が行われているが、“超希少疾患”に関しては、組み入れられる日本人の症例数が極めて少なく、海外試験との一貫性や類似性を評価するには情報量が乏しい現状がある。

 

製薬業界は、日本人患者が少数の試験では有効性等の評価は難しく、推定精度も低いために外国の臨床試験成績と比べて明確な結論を導きにくいこと、症例組み入れには相応の時間や継続的に費用が発生することなどを問題視してきた。

 

希少疾患や小児領域において欧米で承認された薬剤のうち、日本で小規模試験を実施した事例について、日本製薬工業協会の調査結果では、33品目中21品目(64%)が国内未承認で、既承認12品目でもドラッグ・ラグが生じていることが分かった。

 

これらを踏まえ、柏谷祐司構成員(製薬協薬事委員会委員長)は、「希少疾患等に用いる薬剤で海外の検証的試験結果が得られている場合、既存の知見から日本人での用法・用量、有効性・安全性が説明可能であれば、改めて日本人患者での少数例試験を行わなくても良いのではないか」と提案した。

 

小川千登世構成員(国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科長)は、国内試験の計画中に進行性・致死性疾患の患者が亡くなる懸念から、業界提案に賛同。「何らかの条件や期限を付けた上で承認し、薬剤を使用しながらデータを収集することが大事」とした。

 

佐藤陽治構成員(国立医薬品食品衛生研究所薬品部部長)も「超希少疾患の医薬品については、日本人を検証的試験に組み入れるのは統計的にあまり意味がない」と同調した。

 

一方、川上純一構成員(日本薬剤師会副会長)は「患者アクセスの観点から、日本人での治験や投与経験は必要。最初から日本人を外して海外で先に検証的試験を行えば、治験の空洞化が起きないか懸念する」と慎重姿勢を示した。

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出典:薬事日報

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