
医療に欠かせない職種でありながら、どこか影が薄いと言われてしまうこともある、薬剤師という哀しき存在……。「あるある話」を通して、もっと知ってください。私たち薬剤師のこと!
薬剤師は「給料が高いんでしょ?」と言われるけど…【薬剤師のあるあるシーン #9】

「薬剤師イコール高収入」とは限らないし、もっと大事な「働きがい」があるんです
薬剤師ではない人が「薬剤師は給料が高いことを働きがいにしていると思う」と発言するのを聞いたことがあります。親戚から「お給料、いいんでしょ?」と言われることもしばしばあり、どうも薬剤師は相当に給料が高いと思われているようですね。
確かに、統計(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」による平均年収のデータ)を見ると、薬剤師の給料は医療従事者の中で高い部類に入ります。しかし、どんな職業でもそうですが、薬剤師の給料も職場や年齢、役職などによって違い、必ずしも「薬剤師イコール高収入」というわけではありません。
かつて私が経験した職場では、夜勤がない薬剤師より、夜勤手当の付く看護師の方がずっと給料が高いということがありました。それこそ生体リズムを乱しかねない夜勤という大変な働き方をしているのですから、それも不思議ではないと私は納得していましたが。
そもそも、高い給料がモチベーションの維持に役立つことは確かですが、「それが本当の働きがいか?」と問われたら、首をかしげたくなる方もいるのではないでしょうか。
そうではなくて、例えば患者さんから「この間の薬がすごくよく効いて、体が楽になりました。ありがとうございました」と声をかけてもらえた時、「この仕事、きっと辞められない」と思う薬剤師は少なくないようです。
「患者さんからのお礼の言葉を直接聞けるのが働きがいだ」というのは、薬剤師ばかりでなく、医療従事者全般から共通して聞かれる話。確かに、患者さんからの前向きな言葉は励みになり、頑張っていこうという気持ちにさせてくれます。
こうした患者さんの言葉に薬剤師が直接接する機会は、看護師などに比べれば多いとは言えないと思います。だからこそなおさら、薬剤師は患者さんの言葉に敏感に反応するのかもしれませんね。

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
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