医療

自治体病院の赤字深刻化~診療所利益率と格差大 厚生労働省

薬+読 編集部からのコメント

医療機関の経営状況に関する分析結果を、厚労省が中医協総会に提示しました。自治体病院は、医業利益、経常利益が平均値・中央値でマイナス、病院も医業利益率がマイナスで赤字割合が過半数を超え、高度急性期、急性期病院は特に利益率が低かった一方、医科診療所の医業利益率は平均値、中央値共にプラスとなっており、医業利益の黒字割合は過半数を超える対照的な結果となっています。

厚生労働省は27日、医療機関の経営状況に関する分析結果を中央社会保険医療協議会総会に示した。自治体病院は、医業利益、経常利益が平均値・中央値でマイナス、病院も医業利益率がマイナスで赤字割合が過半数を超え、高度急性期、急性期病院は特に利益率が低かった。これに対し、医科診療所の医業利益率は平均値、中央値共にプラスとなっており、医業利益の黒字割合は過半数を超える対照的な結果となった。

従来の診療報酬改定では11月に公表される医療経済実態調査の結果で医業経営の実態を明らかにし、それを基礎資料に議論していたが、医療法人の利益率低下が指摘される中、早期に医療機関の経営状況の実態や要因を踏まえた評価を検討していく必要性から、医療法人経営情報データベースシステム(MCDB)を用いて2023年度病院類型別の経営状況を調べた。

 

その結果、病院の医業利益率の平均値は全体でマイナス0.7%となっており、療養型病院を除いて赤字だった。中央値も全体でマイナス0.9%であり、いずれの病院類型でもマイナスだった。

 

医業利益が赤字となった病院は55.2%と過半数を超えた。経常利益率は平均値・中央値いずれもプラス1.2%だった。

 

機能別の医業利益率(平均値)では、急性期に分類される病院が他の分類と比較して低い傾向にあり、高度急性期はマイナス2.3%、急性期Aはマイナス2.7%、急性期Bはマイナス2.5%となった。

 

地域分類別では、特に人口少数地域型の赤字割合が62.1%と高いものの、大都市型は53.5%、地方都市型は54.6%といずれも赤字割合が過半数を超えており、地域に限らず病院の経営状況が厳しいことがうかがえる。

 

それ以上に厳しいのが自治体病院だ。18~23年にかけて医業収益が12.8%増となったが、それ以上に医業費用が15.1%増加した結果、23年度の医業利益率はマイナス11.3%、補助金や繰入金を含めた経常利益率もマイナス4.2%だった。機能分類別の経常利益率は、いずれの機能分類においても平均値・中央値は共にマイナスだった。中でもこども病院、高度急性期、急性期の利益率低下が大きい。

 

そのほか、国立大学病院は18年度から23年度にかけて収益が17%増となったものの費用が20%増、私立大学病院も収入の17%増に対し、支出が17.5%増と費用増加を賄えていない。

 

一方、医療法人立の医科診療所の医業利益率は、平均値6.9%、中央値4.1%といずれもプラスとなっており、医業利益の黒字割合は66.6%と過半数を超えた。入院収益ありの医科診療所は利益率が低く、約半数の診療所で医業利益が赤字だった。

 

薬局も薬局数が増加傾向にあり、大手調剤薬局やドラッグストアは積極的な新規出店・M&Aにより、調剤事業売上高が伸長している状況が示された。

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出典:株式会社薬事日報社 

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