ネオクリティケア製薬破産~一部製品の供給に影響も
注射剤の製造・販売、アンプルなどの受託製造を行うネオクリティケア製薬が破産手続きを開始したことで、10日には一部製品の供給に影響が出る恐れが出てきた。製造を委託している企業は、在庫確認、代替品確保など慌ただしく動き始めている。「直前に訪問した時もこのような話はなく、突然のことで驚いた」との声が上がった。厚生労働省も安定供給に向け関係企業に対応を求めた。
福岡資麿厚生労働相は9日の閣議後会見で、この件について記者の質問に、同社に対しては、代替薬の増産依頼を他の製造販売業者に行うといった必要な調整を行うよう指示し、委託企業に対しては、代替供給先の確保などの検討を依頼したと明かした。
同社に抗癌剤「ステボロニン点滴静注バッグ」のバッグ製造を委託していたステラファーマは9日、同社との取引停止と共に「一定数の製品在庫を確保しているが、供給計画等の見直しを検討している」と発表した。同社によると、年1回1日の製造委託で、委託費は2025年3月期時点で2658万円。現在新たな委託先の選定を急いでいるという。
10日には高田製薬が限定出荷品(一部出荷停止)を医療関係者に伝えた。具体的には(屋号は略)▽塩酸メトクロプラミド注射液10mg(2mL×10管は出荷停止)▽グラニセトロン点滴静注バッグ3mg/50mL、同3mg/100mL▽ブチルスコポラミン臭化物注射液20mg=出荷停止▽ミルリノン注22.5mgバッグ▽リドカイン点滴静注液1%▽エダラボン点滴静注30mgバッグ▽オザグレルNa点滴静注80mgバッグ▽シーパラ注。
共和薬品の担当者は10日、「在庫状況、代替品の手配をしており、固まり次第、品目を含め案内する」と話した。
トーアエイヨーの担当者は、「委託品目の製造移管をほぼ終え、供給に影響はない」と説明した。
ネオクリティケア製薬について、8日の帝国データバンクの倒産情報によると、5日に東京地裁に準自己破産が申請され、同日に破産手続き開始が決定。
同情報によると、「一部製品の生産中止や原材料の調達難などから25年3月期の年間売上高は約30億1600万円にとどまり、当期純損失約7億4600万円と6期連続の最終赤字で財務の毀損が進む中、資金繰りが限界に達し、事業継続を断念した」という。
東京商工リサーチの9日の発表では、23年3月期には債務超過状態にあり、その後、資金繰りが逼迫し「支払遅延、給与遅配、不動産差し押さえなどが表面化する中、今回の措置となった」と説明している。
両社とも、経営悪化のきっかけの一つに20年7月のソフトバッグ製剤の製造工程における環境モニタリングの不備発覚を挙げている。自主回収、代替品対応、委受託契約解除などで業績を悪化させ、負債は25年3月期末時点で約44億7100万円だという。
出典:株式会社薬事日報社
薬+読 編集部からのコメント
ネオクリティケア製薬の破産手続き開始により、一部製品の供給に影響が出る恐れが出てきています。製造を委託している企業は、在庫確認、代替品確保などに慌ただしく動き始めており、厚生労働省も安定供給に向け関係企業に対応を求めました。