医療

「専門薬剤師認定機構」創設へ~各学会の認定基準統一化 厚生労働科学研究班

薬+読 編集部からのコメント

専門薬剤師の第三者評価・認証機関「専門薬剤師認定機構」(仮称)の設立が、厚生労働科学研究班により計画されています。様々な領域別認定薬剤師や専門薬剤師制度が設けられる中、認定基準を統一化し、専門薬剤師制度の質保証を実現したい考えです。

厚生労働科学研究班は、専門薬剤師の第三者評価・認証機関として「専門薬剤師認定機構」(仮称)の設立を計画している。関連学会や職能団体による様々な領域別認定薬剤師や専門薬剤師制度が設けられる中、認定機構がこれら認定基準を統一化することで、専門薬剤師制度の質保証を実現したい考え。国民に分かりやすい専門薬剤師制度に向け、認証した専門薬剤師が患者に資格を広告できるよう検討中で、病院薬剤師や専門医療機関連携薬局で働く専門薬剤師のキャリア形成の支援を目指す。

 

病院薬剤師のキャリア形成では、薬剤師免許取得後、卒後臨床研修を経て認定薬剤師、領域別認定薬剤師、専門薬剤師、指導薬剤師とステップアップする道筋が示されている。その中で、専門薬剤師は学会や職能団体が独自の方針で制度化しているものの、種類や数が多く国民に分かりづらいとの指摘が出ていた。必要な研修の実施など専門薬剤師の更新申請に必要な外形基準を満たしていない学会も見られていることから、今回、専門医や歯科専門医の評価・認定と同様に、第三者機関による専門薬剤師認定機構を立ち上げることになった。

 

認定機構の設置については既存の機関、新たに創設する機関の両面で検討する。今年度中にも専門薬剤師の評価・認証方法や、認定機構の業務内容などを盛り込んだ専門薬剤師整備指針案について一定の結論を得る方向だ。

 

認定手続きに向けては、認定機構が各学会で独自に運営していた専門制度要件を統一し、各専門薬剤師の領域で満たすべき到達目標や経験症例数などの指針を示したい考え。指針に基づき各学会は、専門薬剤師の認定・更新基準や養成・研修プログラム、研修施設の基準を作成する。

 

その後、認定機構が専門薬剤師の認定基準と養成プログラムの評価・認定を行い、第三者機関認証の専門薬剤師として認証していく仕組みを想定している。

 

第三者機関認証の専門薬剤師の認定を受けた薬剤師は、患者に対しても広告可能とする方向で検討を進めている。研究代表者を務める東京薬科大学薬学部の益山光一教授は「医師や歯科医師のように、患者に対してしっかりと説明できる制度にしたい」と語る。

 

新たな専門薬剤師制度を整備することで、「薬局に比べて専門薬剤師を目指す人が多い病院薬剤師のキャリア形成を支援していきたい」との考えも示す。専門医療機関連携薬局も学会認定を受けた専門薬剤師の配置が要件のため、認定機構が地域医療に対応した高度な専門薬剤師を認証し、薬局サービスの質向上につなげたい狙いもある。

 

一方、認証を受けた専門薬剤師に見合った処遇を実現できるかが課題となる。特定の領域や疾患で高度な知識や技術を身につけて専門薬剤師を取得したとしても、対価として報酬や職位を引き上げるなどのインセンティブが乏しければ、専門薬剤師を目指す意欲が低下する恐れがある。

 

日本病院薬剤師会の調査では、キャリア形成の障害要因として「時間的制約」を挙げる薬剤師が多く、キャリア支援の仕組み構築も課題となりそうだ。

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出典:薬事日報

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