【医療経済実態調査】薬局利益率が5年連続減~診療所敷地内は二桁
厚生労働省は26日、医療機関や薬局の経営状況を調べた医療経済実態調査の結果を公表した。2024年度の保険薬局(法人)の利益率は前年度から0.2ポイント減の4.9%となり、19年度の6.6%から5年連続の減少となった。立地別では「診療所敷地内」が11.2%と最も高かった一方、調剤基本料別では敷地内薬局を対象とした特別調剤基本料Aの算定薬局が1.3%のマイナスと落ち込み、特Aの適用を免れた敷地内薬局が高収益を得ている実態が浮き彫りになった。
開設者別に薬局の利益率を見ると、個人(39施設)が11.2%で前年度から0.5ポイント低下。法人(1018施設)も4.9%と、前年度から0.2ポイント低下した。
法人の利益率は19年度以降、6.6%、6.4%、5.7%、5.4%、5.1%、4.9%と低下が続いている。
同一グループの法人における店舗数別の利益率は、「20~49店舗」(77施設)が10.2%で前年度から0.4ポイント上昇して最も利益率が高く、「6~19店舗」(151施設)が7.6%で0.5ポイント減、「1店舗」(59施設)が5.2%で0.1ポイント増の順で続いた。
「200~299店舗」(8施設)は1.2%のマイナスで、前年度から2.0ポイント改善したものの、2年連続で利益率が損失となり、店舗数別で唯一の損失となった。
法人の利益率を立地別に見ると、「診療所敷地内」(6施設)が11.2%で最も利益率が高かった。「医療モール内」(46施設)が7.4%、「診療所前」(562施設)が6.0%と続いた。
法人の調剤基本料別の利益率については、敷地内薬局を対象とした「特別調剤基本料A」(59施設)が1.3%のマイナスで、前年度から1.9ポイント減少した。
10月に開催された中央社会保険医療協議会総会の議論でも医療機関と特別な関係にあり、処方箋集中率が50%以上である特Aを算定していない薬局の数は特Aを算定している薬局の数の2倍以上であることが示されており、特Aの算定を回避した敷地内薬局が診療所敷地内の利益率を押し上げたと考えられる。
そのほか、「調剤基本料2」(42施設)が前年度から0.4ポイント減の6.6%、「調剤基本料1」(604施設)は0.5ポイント減の5.5%、「調剤基本料3ロ」(101施設)は1.0ポイント減の3.6%だった。
また、薬剤師の常勤職員1人平均給料年額では、国立病院などで賃上げが十分に行われていない状況にあるようだ。一般病院は2.1%増の581万円で、その内訳を見ると医療法人は1.1%増の540万円、公立が3.6%増の627万円だった。国立は人事院勧告により給与引き上げになるはずが、0.2%減の603万円と減少した。一般診療所の医療法人は、2.7%増の661万円、個人は5%増の613万円となった。
一方、薬局は法人では管理薬剤師が0.2%増の726万円、薬剤師が0.3%増の480万円で、個人薬局の薬剤師は2.8%増の401万円だった。
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出典:薬事日報



薬+読 編集部からのコメント
厚生労働省が、医療機関や薬局の経営状況を調べた医療経済実態調査の結果を公表。2024年度の保険薬局(法人)の利益率は前年度から0.2ポイント減の4.9%となり、19年度の6.6%から5年連続の減少となりました。