セレコキシブOTC化反対～各学会と業界団体が一致　厚生労働省検討会議

厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議（写真）」は21日、4成分のスイッチOTC化に向けた課題と対応策を議論した。セレコキシブ（販売名：セレコックス錠、ヴィアトリス製薬）など非ステロイド性抗炎症剤（NSAIDs）2成分については、医師が関与する重要性などを踏まえ、全ての関係学会と業界団体がOTC化に「反対」の意見を示した。厚労省は、4成分の議論結果を薬事審議会要指導・一般用医薬品に示す。

セレコキシブについて、日本整形外科学会、日本臨床整形外科学会、日本臨床内科医会は、心筋梗塞や脳卒中など重篤で致死的な心血管系血栓塞栓性事象のリスク増大の懸念から医師による定期的な診察が必要なこと、専門医の管理下で長期治療が必要な関節リウマチを対象疾患としていることなどを理由に、OTC化に「反対」との意見を提示した。

日本OTC医薬品協会も同様の理由のほか、世界で初めて同成分が開発された米国でもOTC化されていない現状も踏まえ、OTC化に反対とし、構成員からも特段の意見は出なかった。

非ステロイド性抗炎症剤のエスフルルビプロフェン・ハッカ油（ロコアテープ、大正製薬）に関しては、整形外科学会と臨床整形外科学会が、消化性潰瘍や腎機能障害などの副作用を生じる可能性があること、変形性関節症に対する定期的な受診機会の喪失が懸念されるなどとしてOTC化に反対。OTC薬協もエスフルルビプロフェン製剤は劇薬で、ロコアテープが高い薬剤吸収性を示して従来のNSAIDs貼付剤より強い鎮痛・抗炎症効果を示しているなどとして、同様に「反対」意見を示した。

尋常性ざ瘡治療剤の過酸化ベンゾイル（ベピオゲル、マルホ）に関して、OTC薬協は副作用の皮膚刺激症状に関する重大な安全性上の懸念が見られないことなどから、OTC化に「賛成」の意見を示したが、日本皮膚科学会と日本臨床皮膚科医会は、米国でOTC製品の一部に発癌物質のベンゼンを含有するものが確認され、含有量が多い製品は販売中止となっていることなどからOTC化は「時期尚早」として反対した。

更年期症状改善剤のエストラジオール・酢酸ノルエチステロン（メノエイドコンビパッチ、久光製薬）では、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が不正子宮出血発現頻度の高さ、適切な対象に適切な期間安全に投与するには専門医の判断が必要などと指摘し、OTC化に反対した。OTC薬協は、使用前後の定期的な婦人科検診など解決すべき課題を指摘しつつ、更年期症状によるQOL低下や社会的・経済的損失を踏まえ、OTC化に賛成の意見を示した。