医療

【26年度調剤報酬改定展望】「在総加算2」の行方焦点~かかりつけ要件見直しも

薬+読 編集部からのコメント

2026年度調剤報酬改定で在宅医療に関連した評価項目で高い注目を集めるのが「在宅薬学総合体制加算2」の行方です。厚労省は同加算の施設基準となる「直近1年間のかかりつけ薬剤師指導料・同包括管理料の算定実績」の見直しを議論の俎上に載せました。

2026年度調剤報酬改定で在宅医療に関連した評価項目で高い注目を集めるのが、24年度に新設された癌末期などターミナルケア患者、医療的ケア児への対応を評価する「在宅薬学総合体制加算2」の行方だ。厚生労働省は、同加算の施設基準となる「直近1年間のかかりつけ薬剤師指導料・同包括管理料の算定実績」の見直しを議論の俎上に載せた。日本薬剤師会は要件を維持すべきとの考えだが、在宅中心に展開する薬局からは「全てのかかりつけ薬局が在宅癌緩和ケア患者に対応するのは難しい」「在宅の医療提供機能と外来におけるかかりつけ薬剤師・薬局機能は別に考えるべき」と見直しを求める声が強い。

 

同加算は、より高度な在宅ニーズに対応した薬局が高い点数を算定できるよう新設されたもの。「在宅患者訪問薬剤管理指導」の届出を行い、直近1年間の算定回数が24回以上などを要件とする「在宅薬学総合体制加算1」が処方箋1回につき15点を算定できるのに対し、50点の算定が可能となる。

 

施設基準は、在総加算1の基準を全て満たし、かかりつけ薬剤師指導料等の算定回数を年に合計24回以上などをクリアすることが要件となるが、現場の薬局では「かかりつけの要件」の是非をめぐり意見が割れている。患者数が少ない地方部は、かかりつけ要件の緩和で同加算を算定しやすくしたい狙いがあると見られるが、都市部の扱いがポイントだ。

 

日薬は、かかりつけ機能を持った薬局が退院後から自宅療養、看取りまで患者をフォローする先発完投型の薬局が望ましいとの考え方に立ち、「かかりつけの要件は必要」との立場を強調する。

 

これに対し、在宅中心に展開する薬局はかかりつけ要件の撤廃を要望している。都内で在宅支援薬局を4店舗展開している「おとどけ薬局」は、江東店と墨田店で昨年6月から9月の3カ月間実績として居宅患者1099人、そのうち癌患者116人、小児在宅患者12人に対応しているが、在宅を専門に実施しているため、かかりつけ要件を満たせず在総加算2は算定していない。

 

同薬局は「かかりつけ薬局が外来、在宅、看取りまでシームレスな機能を有するには、一つの薬局で全てカバーするのは難しい」と指摘。「一定の居宅患者数の実績を持つ在宅専門薬局であれば、それに特化した算定ルールがあってもいいのではないか」と提案する。

 

在総加算2を算定する薬局にも厳しい目が注がれている。現行ルールでは無菌製剤処理設備を持つ薬局は無菌調剤の実績がなくても同加算の算定が可能だ。しかし、簡易型クリーンベンチなどの無菌製剤処理設備を持つ薬局では、直近1年間の無菌製剤処理加算の算定がない薬局が約3分の2を占めた。

 

十分な機能を持たない都市部の小規模薬局の乱立が問題視される中、地域内で無菌製剤処理設備を持つ薬局機能の集約化も検討課題となっている。無菌調剤の実績で評価すべきとの声もあり、体制で評価するストラクチャー評価から実績で評価するプロセス評価へと要件が厳格化される可能性がある。

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出典:薬事日報

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