薬剤師のスキルアップ 公開日:2025.12.17 薬剤師のスキルアップ

女性薬剤師の平均年収はいくら?年齢別のデータやキャリアプランの立て方を紹介

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

女性薬剤師の年収は、結婚・出産・育児といったライフイベントによる働き方の変化の影響を受けやすいといえます。薬剤師は専門性の高い国家資格職であり、比較的安定した収入が期待できる職業ですが、実際の年収の相場は年齢や勤務地によって異なります。本記事では、女性薬剤師の平均年収について、20代・30代・40代・50代の年齢別、都道府県別に紹介するとともに、職場ごとの女性薬剤師の人数割合、女性薬剤師のキャリアプランの立て方についてお伝えします。

1.女性薬剤師の平均年収

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、女性薬剤師の平均年収は555万8,400円です。一方、男性薬剤師の平均年収は651万1,200円とされており、女性薬剤師より100万円ほど高くなっています。

 

■女性薬剤師・男性薬剤師の平均年収
性別 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
女性 39万5,800円 80万8,800円 555万8,400円
男性 47万2,500円 84万1,200円 651万1,200円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 7 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

1-1.女性薬剤師の平均年収は他職種と比べて高い?低い?

医療・福祉関連職種の女性の平均年収は、以下のとおりです。

 

■医療・福祉関連職種の女性の平均年収
職種 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
医師 81万1,400円 65万1,600円 1,038万8,400円
歯科医師 54万500円 67万2,400円 715万8,400円
獣医師 50万4,900円 46万3,300円 652万2,100円
薬剤師 39万5,800円 80万8,800円 555万8,400円
助産師 39万9,600円 101万400円 580万5,600円
看護師 36万2,300円 83万1,300円 517万8,900円
准看護師 29万3,100円 63万7,000円 415万4,200円
診療放射線技師 33万400円 82万5,200円 479万円
臨床検査技師 32万9,800円 89万7,600円 485万5,200円
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
視能訓練士
29万7,000円 69万9,700円 426万3,700円
歯科衛生士 29万7,400円 48万4,300円 405万3,100円
栄養士 27万1,400円 64万9,800円 390万6,600円
その他の
保健医療従事者
26万1,500円 55万3,400円 369万1,400円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 7 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

女性薬剤師の平均年収は、他職種の女性の平均年収と比べると、比較的高い水準であることが分かります。

2.年齢別の女性薬剤師の平均年収

続いて、年齢別の女性薬剤師の平均年収を紹介します。

 

2-1.20代

■20代の女性薬剤師の平均年収
年齢 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
20~24歳 31万8,800円 9,500円 383万5,100円
25~29歳 36万4,700円 57万1,200円 494万7,600円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 7 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Sta

 

2-2.30代

■30代の女性薬剤師の平均年収
年齢 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
30~34歳 38万7,500円 75万900円 540万900円
35~39歳 36万5,200円 104万8,000円 543万400円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 7 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

2-3.40代

■40代の女性薬剤師の平均年収
年齢 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
40~44歳 39万2,900円 102万3,000円 573万7,800円
45~49歳 42万1,000円 98万4,300円 603万6,300円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 7 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

2-4.50代

■50代の女性薬剤師の平均年収
年齢 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
50~54歳 49万500円 98万1,500円 686万7,500円
55~59歳 47万9,600円 92万1,800円 667万7,000円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 7 職種(特掲)、性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)|政府統計の総合窓口 e-Stat

3.都道府県別の女性薬剤師の平均年収

前述のとおり、厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によれば、全国の女性薬剤師の平均年収は555万8,400円とされています。ここでは、都道府県別の女性薬剤師の平均年収について見ていきましょう。

 

3-1.北海道・東北地方

■北海道・東北地方の女性薬剤師の平均年収
都道府県 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
北海道 33万5,400円 79万4,200円 481万9,000円
青森 39万8,700円 65万1,300円 543万5,700円
岩手 40万9,300円 77万7,900円 568万9,500円
宮城 37万9,700円 95万6,000円 551万2,400円
秋田 45万700円 126万7,800円 667万6,200円
山形 43万2,900円 96万3,000円 615万7,800円
福島 38万9,900円 101万1,200円 569万円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

3-2.関東地方

■関東地方の女性薬剤師の平均年収
都道府県 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
茨木 39万8,800円 123万100円 601万5,700円
栃木 43万400円 135万4,400円 651万9,200円
群馬 33万9,000円 89万2,800円 496万800円
埼玉 37万200円 67万200円 511万2,600円
千葉 45万1,300円 66万6,300円 608万1,900円
東京 38万1,900円 102万8,700円 561万1,500円
神奈川 38万5,200円 78万9,800円 541万2,200円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

3-3.中部地方

■中部地方の女性薬剤師の平均年収
都道府県 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
新潟 42万6,500円 80万4,300円 592万2,300円
富山 37万8,700円 90万9,900円 545万4,300円
石川 43万5,600円 92万1,300円 614万8,500円
福井 37万6,600円 84万700円 535万9,900円
山梨 48万4,700円 8万5,600円 590万2,000円
長野 50万1,000円 91万2,900円 692万4,900円
岐阜 39万5,000円 127万7,900円 601万7,900円
静岡 41万2,800円 121万800円 616万4,400円
愛知 41万1,500円 48万3,100円 542万1,100円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

3-4.関西・近畿地方

■関西・近畿地方の女性薬剤師の平均年収
都道府県 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
三重 43万700円 102万600円 618万9,000円
滋賀 38万3,900円 79万7,900円 540万4,700円
京都 36万3,300円 89万1,600円 525万1,200円
大阪 39万7,000円 84万5,500円 560万9,500円
兵庫 35万9,000円 98万1,300円 528万9,300円
奈良 36万7,500円 117万5,600円 558万5,600円
和歌山 42万4,400円 131万9,200円 641万2,000円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Sta

 

3-5.中国・四国地方

■中国・四国地方の女性薬剤師の平均年収
都道府県 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
鳥取
島根 33万2,600円 105万7,700円 504万8,900円
岡山 33万600円 78万9,500円 475万6,700円
広島 51万1,400円 60万6,700円 674万3,500円
山口 41万3,800円 142万2,200円 638万7,800円
徳島 41万2,700円 90万5,100円 585万7,500円
香川 44万200円 110万8,200円 639万600円
愛媛 45万9,400円 104万400円 655万3,200円
高知 37万8,000円 61万5,800円 515万1,800円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat

 

3-6.九州・沖縄地方

■九州・沖縄地方の女性薬剤師の平均年収
都道府県 きまって支給する
現金給与額
年間賞与その他
特別給与額
平均年収
福岡 33万9,600円 45万3,000円 452万8,200円
佐賀 43万2,600円 75万5,900円 594万7,100円
長崎 39万4,300円 76万6,700円 549万8,300円
熊本 43万5,700円 135万4,600円 658万3,000円
大分 38万6,500円 74万200円 537万8,200円
宮崎 37万2,100円 11万400円 457万5,600円
鹿児島 47万6,200円 20万8,000円 592万2,400円
沖縄 37万3,100円 47万4,700円 495万1,900円

※平均年収:きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat

4.女性薬剤師の人数割合

厚生労働省の「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、薬剤師の男女別の人数や、職場ごとの男女の割合は以下とされています。

 

■医療機関関連
性別 総数 薬局 病院 診療所 介護保険施設
男女 323,690人 190,735人 56,585人 5,878人 1,091人
124,183人 66,876人 20,734人 769人 283人
199,507人 123,859人 35,851人 5,109人 808人

参考:医師・歯科医師・薬剤師統計 令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計 薬剤師| 政府統計の総合窓口 e-Stat

 

■企業、教育、行政機関等
性別 大学 医薬品関係企業 衛生行政機関
または保健衛生施設
その他 無職
男女 4,902人 37,086人 6,927人 8,506人 11,980人
3,508人 21,552人 3,633人 4,165人 2,663人
1,394人 15,534人 3,294人 4,341人 9,317人

参考:医師・歯科医師・薬剤師統計 令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計 薬剤師| 政府統計の総合窓口 e-Stat

 

薬局や病院・診療所、介護施設では、女性の方が男性より割合が高いですが、大学や医薬品関係企業については男性の方が女性より割合が高いことが分かります。行政機関やその他については男女の割合がほぼ同等となっていますが、無職の薬剤師は女性が多くなっています。

5.女性薬剤師のキャリアプランの立て方

女性薬剤師が長期的に活躍するためには、ライフステージに応じた柔軟なキャリア設計が重要です。ここでは、女性薬剤師のキャリアプランの立て方についてお伝えします。

 

5-1.具体的なキャリアアップの目標を立てる

女性薬剤師が長期的に活躍するには、明確なキャリアアップの目標を設定することが重要です。例えば「認定薬剤師資格の取得」「在宅医療への参画」「管理職への昇進」など、自分の強みや興味に合った方向性を見極めましょう。薬剤師としての専門性を高めることで、職場内で評価されやすくなります。
 
また、必要に応じて女性管理職の割合が高い企業への転職も選択肢となるでしょう。短期・中期・長期の目標を立て、定期的に振り返ることで、計画的なキャリア形成が可能になります。

 

5-2.就業先の支援制度について確認する

育児や介護などのライフイベントに直面した女性薬剤師にとって、職場の支援制度は薬剤師としてのキャリアを継続するためのカギとなります。
 
育児休業、時短勤務、復職支援、資格取得補助などは、制度の有無だけでなく、実際に利用しやすい環境であるかも確認することが大切です。
 
上記のような制度を積極的に活用できる職場環境であれば、仕事と家庭の両立がしやすくなるため、薬剤師としてのスキル維持やキャリアアップに向けた取り組みも行いやすいでしょう。

 

5-3.ライフイベントに合わせた働き方を検討する

女性薬剤師としてのキャリアを考える上では、結婚・出産・育児・介護などのライフイベントに応じて、働き方を柔軟に選ぶのも選択肢のひとつです。
 
フルタイム勤務からパート勤務への切り替えのほか、在宅勤務が選べたり、夜勤が避けられたりする職場への転職など、ライフスタイルに合った働き方、働く場所を選ぶことで、無理なくキャリアを継続できます。
 
将来的な復職やスキル再構築も視野に入れ、情報収集や自己研鑽を続けることが、安定したキャリア形成につながります

6.女性薬剤師が長く活躍するためのキャリア設計とは?

女性薬剤師が安定して働き続けるには、丁寧にキャリア設計をすることがカギとなります。さまざまなライフイベントが発生した際、年収の維持・向上を優先すると、家庭やプライベートとの両立が難しくなることもあるでしょう。
 
ある程度の収入を得ることも重要ですが、状況に合わせて働き方や働く場所を柔軟に選択しながらキャリアを継続させることも、長く活躍するための選択肢のひとつです。
 
無理のない範囲で、薬剤師としての専門性を高めながら、自分らしい働き方を実現することが、結果的には長期的に安定したキャリアの形成や、仕事のやりがいにつながるでしょう。

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。