薬剤師・薬局の仕事は、一般の利用者の立場からは分かりにくい部分も多いかもしれません。薬剤師・薬局に関する素朴な疑問について、薬剤師さんに詳しく解説してもらいました!
薬剤師が「残業」するのってどんなとき?
閉店間際の患者対応、薬歴の記入、病院での急患対応など、職場によって理由はさまざま
薬局の窓口は、銀行や役所のように決まった時間にシャッターが下りるイメージが強いため、「薬剤師に残業があるの?」と不思議に思われる方もいるかもしれません。しかし、薬剤師を含めた医療職には少なからず残業があります。
厚生労働省の統計によると、薬剤師の月間平均残業時間(超過実労働時間数)は8時間となっています。ちなみに、同じ医療職である医師は19時間、看護師は6時間で、職種によって差はあるものの、やはり時間外労働は発生しているのが現状です。
では、具体的にどんなときに残業をしているのでしょうか。これは、働く職場によって大きく理由が異なります。
まず、皆さんに一番身近な調剤薬局の場合、最も多いのは閉店間際に患者さんがやって来た場合の対応です。また、患者さんに薬を渡した後に行う薬歴(薬の服用記録)の記載業務が業務時間内に終わらず、残業して書き上げることも珍しくありません。最近では在宅訪問をしている薬局も増えており、その対応で時間が押してしまうこともあります。
ドラッグストアの場合は、小売業としての側面も強いため、棚卸しなどの店舗運営に関わる業務で残業が発生することがあります。そして病院の場合ですが、こちらは急患対応や業務時間外に開催される勉強会などが主な理由です。
どの職場にも共通して言えるのは、やはり人員が不足していると1人当たりの負担が増え、残業が発生しがちになるということです。
私自身、病院薬剤師として長く勤務していましたが、定時で上がろうとした際に救急車が到着という場面には何度か遭遇しました。病院では、搬送された患者さんが普段どんな薬を飲んでいるかを確認したり、早急に必要な薬を準備したりする必要があります。そうしたときは、患者さんの状態が落ち着くまで帰宅を遅らせて対応しますが、全員が残るわけではなく持ち回りで1人だけ残るなど、チームで協力して対応していました。また、全職員対象の接遇研修(患者対応の研修)などが夕方から開催されることがあり、そういった必須の勉強会への参加も残業の理由の一つ。とはいえ、私の経験では日付が変わるような長時間の残業になることはなく、1日1時間程度の延長で帰宅できていました。
また、厳密には残業ではありませんが、休日出勤も医療現場ならではの特徴です。ゴールデンウィークや年末年始など世間が大型連休のときでも、病院には入院患者さんがやって来ます。薬を止めるわけにはいかないので、カレンダー通りの9連休中でも、常勤医の勤務に合わせて2~3日程度は出勤。ただ、こちらも全員一斉ではなく、1人ずつ交代で出勤して現場を回していました。
このように、シャッターが閉まった後の薬局や病院の中でも、患者さんの安全を守るため、薬剤師たちが翌日の準備や記録、緊急対応などに奔走していることを知っていただければ幸いです。

東北大学薬学部卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に勤務。現在はライターとして医療系編集プロダクション・ナレッジリングのメンバー。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。
ウェブサイト:https://www.knowledge-ring.jp/





